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RELIS  作者: 孤独
言語編
358/634

言語ショック!?



新たな管理人、クォルヴァがやってきた。

予想以上に早い帰還に想定以上の忙しさだった。



「早く食料を搬入するんだ!」

「仕事だーーー!」



わずかに回復し始めた流通。それを簡単に潰してしまうほどの、人材の多さがフォーワールドにあった。

世界のルール作りの見直し。



「ふーぅ、難を逃れたであるな」

「ツキはあったな」



ヒュールにタバコの火を付けてやるアレク。管理人がやってきたことで大幅にヒュールの負担は減った。特に心配だった流通面と食料面には当分困らない。

まだ開通した異世界は少なく、向こうも同様に混乱が生じていたのは確かだった。ここからは異世界にいるお偉いさん同士の会話になる。



「上手く行きそうか?」

「上手くいかなきゃいけないのである」



ここは手を取り合う場面。交渉が上手くいきそうなのは確かであった。

困っている面が違い、持っている物がある。物々交換と似た原始的な感じに上手く回る。



「!そういえば」


フツーは上手くいく交渉であり、助かる時だった。



「システムに異常が出てくる頃合か」


最初に気付いたのはクォルヴァだった。それは管理人だからという他ならない。交渉面の作業をしていた段階の頃だ。異世界人同士の言葉の使い方に違和感を覚え始めた。



「?何を言っているんだ?」

「6838827183829381782」


数字の羅列のような声を聞いた。


「?だから……」

「746821!」


それは側面だけを聞いただけに過ぎない。この時、多くの人間がもっとも混乱し、心という物を失いかけた事だろう。

なんてことだと、言葉を発しても分かってくれる人間はそういない。



「371923!」

「な、何を言っているの!?ライラ!」

「98437!」

「???夜弧も!何か言ってよ!」

「48??218!!」

「ええっ!?夜弧も何を言っているの!?」


春藍も、ライラも、夜弧も。言葉がよく分からなくなった。想定できるわけがない異常事態だった。表情だけを読み取るならば、春藍と同じ気持ちだろう。

しかし、3人共。どーすれば良いか分からない。春藍は迷わず向かった先、確認のための叫び。



「アレクさーーーん!!」

「?どーした春藍。何が起きた」

「そんなに慌ててどうしたのである?」



アレクとヒュールは会話ができた。それは同じ異世界出身であるからだ。

春藍の言葉も



「あれ!?アレクさんとヒュールさんの言葉は分かる」

「??意味が分からないことを言う」

「何かあったのであるか?」


2人が理解できないのも無理はない。通じる相手としか喋っていない。春藍に続いて、アレク達に確認を取りに来た3人。

ライラ、ロイ、夜弧。



「31738281!!」

「2う89じゃおj!!」

「2190こlt9!!」




アレクとヒュールがここで初めて知り。一体何があったと、理解をするまでに時間が掛かった。言葉が理解できないという異常かつ、予測できない現実に手が止まって、凍りついた顔をしてしまった。



「何を言っているか、分からなくなっちゃった!!」

「……おいおい。どーすりゃいいんだ」

「しかし、我々はお互いの言葉を理解できますぞ」


言葉は理解できないが、春藍とアレクの会話は成立するということはライラ達も気付いただろう。

彼等が混乱するのだから、一般人達にとっては大混乱以上のもの。



「何を言っている!?」

「12731839!?」

「喧嘩売っているのか!?」

「121!2445!」



言葉の対立が生まれるのは、そのまま本当の対立を現す予感がしていた。

どんな提案をしようが相手が理解できぬ状況では何も意味をなさない。アレクとヒュールは、自分達の会話が成立することを見抜いてすぐに全土に放送をかける。

とても辛い選択かもしれないが、フォーワールドの住民とそれ以外の住民を分けるという選択だった。




「お兄ちゃん!私の声が分かる!?」

「分かるよ、謡歌。言葉が分かるありがたみがよく分かった気がするよ」

「我々は無事なようだな、アレクさん」

「無事というより、俺達が同じなだけだ。無事も事故もない気がする」




言葉が通じ合えたグループはいくつかあった。もっとも多かったのはフォーワールドの住民同士。

春藍、アレク、ヒュール、謡歌、広東、山佐など……。この異世界の決定権を持つ者達は言葉が通じ合えた。



「良かった!アルルエラ達の言葉は分かるぞ」

「ロイ様の声が聞けて良かったです。しかし、謡歌ちゃんの言葉が分からなくなったのは辛いです」



ロイ、アルルエラなどの、タドマールの住民達も同じく言葉を理解し合えたようだった。ロイが上手い事混乱を抑えてくれた。この異常事態が終わるまで、なるべくの関わりはないように作ってくれた。



「あたしの言葉は誰にも理解できない」


ライラは誰の言葉も理解できないでいた。


「私も1人ぼっち」


夜弧も同じく。



「やはり私だけしかみんなの言葉を理解できないか」


若の体を借りているクォルヴァだけが全人類の声が理解でき、彼の声を全員が理解できる状態だった。そうなると引っ張りだこになる。

言葉を理解できないという苦しみは通常時とは違い、苦しいものだろう。



「どうすれば良いんですか、アレクさん」

「アレクの意見を聞きたいである」



この異常事態にアレクの判断を委ねる、フォーワールドの住民達。

なんてことを押し付けるとアレクは苦い表情を作った。



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