無限牢の限界
時計仕掛けの小部屋。
静かに時を待つ男が1人。寂しいを忘れた者。
【クォルヴァは無事に春藍達と合流できたようだが】
そのイカツイ顔は待ち人とは思えない。そして、百戦錬磨を漂わせる風格から見せる戦闘能力は0。
【藺兆紗がもうこの時代に現れた】
"時代の支配者"は確実に動き始めている。本来いるはずのない人間や魔物が、この地に降り立ったということはそーいう事なんだろう。
問題は藺を含めて、人類が未だそれほどの存在を気づいていない事。
その気付きを教えるのが、ここにいる男の役割。
しかし、まだ"時代の支配者"はここに辿り着いていない。自分は遅くてもダメだし、早くてもダメなのだ。
藺がここに現れたことで厳選するのは難しいだろう。
【頼むぞ、クォルヴァ】
人類が崩壊してしまったら、もう終わりだ。
各々の思惑は様々。
「水羽、一体どこまで行くというのだ?」
「死ぬまででもいいんじゃない?先生」
藺に引っ張られるように眠っていた逸材達が表舞台に現れ始めた。
RELISのように意志を繋いだ者。
「人類の窮地。人は進歩しなくてはならない、いくつの時でもな」
否。全てはただそれに近く再現された存在なのだろう。同じ人間、同じ意志などあってはならない。
パイスーも、桂も、ポセイドンも。彼等と同種である。
人類は死んでいく。篩に落とされて死んでいく。逆に昇る者もいる。
「人材が重要ですよ、ホントにね。もっともっと、仲間が必要です。私が中心となった仲間作りですけどね」
「嫌な言い方だ。友達ができないタイプだ」
『誰もお前の仲間になる気はない。あの2人をもう殺すだけにお前を使う』
支配者が居ない今。覇権を獲ろうとする奴等もいる。この狭い世界は終わろうと、悪戯のように"無限牢"のシステム崩壊が始まる。
時計の小部屋でしっかりと確認していた。
自然崩壊する、管理システムの様子。
【あんたは凄いよ】
2年以上持つ賞味期限が切れる食べ物。切れるその日をズバリ当てて、ギリギリ食べられる時に開封する。それの超ロングバージョンだ。
分かってやれることじゃない。
【なんで、無限牢がこの日。この時。壊れることを予測できているんだ?】
メンテナンスを務めていた管理人がいなくなった理由はあるが、仕掛けずに仕掛けを施してしまう見えない存在。
影すら見せてくれない"時代の支配者"
【だから、俺があんたを止める】
偽物に過ぎない存在。