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RELIS  作者: 孤独
引継編
355/634

クォルヴァ登場


春藍に現れた幻覚の正体。それは夜弧と同じく、自分の中にいる人格。

まだ春藍もぼんやりとでしか認識できていない存在。



「僕?」



髪の色だけが違う自分であったが、その幻はすぐに第三者の介入によって打ち消される。

春藍の周囲の煙が退き始める。すぐになんらかの異変のある方向。隠さずに独特のオーラを発する存在がやってくる。



「手荒なマネをして済まない」

「!誰ですか?」



初めてその姿を見た時、中世的な顔立ち。髪も囚人だったとは思えない美しさ。

桂さんも美しいような容姿であったが、彼は違うような感じ。



「先に会うのなら、君を一番に選んでいた。桂からも高く評価されていた」


ズイッと、春藍の眼前にその顔を近づける。雰囲気はライラと似ているが、ちょっと何かオカシイ。


「あの……」

「ふむふむ。ハーネットの3世代目……いや、実験を含めれば4度目の人生」

「ですから」

「魔術は無論、科学にも精通できるとは。パイスー以来のダブルスタンダード。"RELIS"の副産物ですね」

「どなたですか?」


敵ではないというのは分かる。そして、その言葉からも相手が誰なのか分かってきた。しかし、こー……


「君がここまでの大器なら、ライラやアレク、ロイにも期待していいようだ。ふふふっ」


春藍を視察しただけですぐに、どこかへ行こうとするクォルヴァ。


「あの!!クォルヴァさん!!」

「!」


春藍は彼がそうだと核心して呼んだ。そして、止まって振り向いてくれたからなおのこと自信を持てた。


「いえ、クォルヴァ管理人ですよね?」

「そうだけど?」

「僕達はあなたに会いに来たんです。少し、待ってくれませんか。いえ。あなたの力が今人類に必要なんです!」


春藍は言葉で、クォルヴァを止めようとした。こうして出会えて良かった。

そして、このチャンスを絶対に離さない顔だった。


「ここで僕と待っていてください。ライラも、アレクさんも、ロイも、……みんながここに来てくれます。あなたに会うために、みんな必死で来たんです」


春藍の言葉にクォルヴァ。我を思い出す。


「待ち過ぎたからつい興奮しちゃってね。それは失敬した」



クォルヴァ

管理人ナンバー:001

スタイル:魔術

スタイル名:エターナル



「おわびに、2人の幻覚を解いてあげようか」


クォルヴァの言動は春藍の心を探るため、他ならない。

独特のペースでクォルヴァを取り逃がすとしたら、きっとクォルヴァは協力などしなかっただろう。

本当にちゃんとした声だった。



クォルヴァは指を鳴らして、煙を吹っ飛ばした。元々、彼が蒔いた物だった。



「うああぁぁあっ、……ああ?」


恐怖から逃れた若は地面に尻餅をついてて、叫んでいた。しかし、晴れると同時に何をしていたか思いだして恥ずかしくなる。



「ふぅっ」


夜弧の顔は早々変わっていない。そこまで辛い物を見たという印象ではない。

むしろ、整理ができて良かったという表情。

クォルヴァは本来、気にしていたライラ、アレク、ロイの3人に期待していたわけだが。他の二人もこれまた面白い人材だと分かった。


「おや?なんだよ、なんだい、なんなんですか?」

「?」

「お2人さんも、春藍くんと同じ"RELIS"?これはとても悪い事をしてしまったか。それとも何かな?」



一瞬でそれを理解できるのはやはりクォルヴァが、RELISを作り出したからか。


「な、なんなんだあんた!」

「若。彼がクォルヴァよ」


警戒する2人。しかし、それも虚しくクォルヴァはあっさりと2人を近くで確認する。


「若というのか、君」

「あ、ああ」

「ふーん…………!そうか、そうか」

「?」

「君は覚えちゃいないだろう。そういえば、桂やポセイドンに伝え忘れていた隠し子がいた」



すでに過ぎ去ったこと。

若の能力が特異なものであった理由。


「ライラにはもう1人弟がいたんだ」

「は?」

「双子の片割れでね。弟子はライラにしようと決めていたものだから、君を別の異世界に送り、RELISを用いて記憶を混同させておいたかな」


機密事項をあっさりと人間に打ち明ける辺り。管理人としての適正は微妙。

しかし、こーいった事情を知っているのはトップシークレットに入っている存在なのは明らか。


「若くん。君はライラと血の繫がりがあるんだよ」

「はーーーーーーっ!!?」

「えーーーーーっ!?」

「ライラの、弟……?」



その事実が確実なものかなんて、春藍と夜弧、そして若にだって分かるわけがない。あくまでクォルヴァが言っているだけ。



「なんで僕があんなクラゲ女と姉弟なんだよ!!言いがかりだ!だいたい、僕はあんなのと一緒じゃない。クラゲヘアーとかどこに需要があるの!?」


若はそんな妄言を信じるわけがない。ライラを罵倒しながら否定する。


「へーっ、そーよね」

「そうだよ!!僕はライラやリアみたいな暴力を使う女は大嫌いだ!!女としてどーなんだ!?歳もヤバイし(僕と同い年だけど)」

「ババアってこと?」

「そう!よく言ってくれるな、ライラ………?」



背後から感じる、メテオ・ホールとは違った怒気を察した若。ゆっくりと後ろを向いた時。

ライラはその真相を否定しながらも、罵倒されたことに腹を立てていた。若はまだ幻覚を見てた方が良かったと思った。


「ぶ、無事だったんですねー……ら、ライラさん」

「あんたはこれから無事じゃなくなるけどね?」


ライラの右ストレートが若を襲う。


「死ね!死ね!生きながら死ね!!」


暴力で若をボコボコにするライラ。つまりは、



「アレクさん!ロイも!無事だったんだね!」

「おう」

「お前がクォルヴァか」



出会った時、アレクもロイも同じ事を感じただろう。

雰囲気が桂やポセイドンとは違う。言葉にはできないが、ともかく。こいつも化け物であるのは確かなようだ。



「初めまして、クォルヴァです」




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