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RELIS  作者: 孤独
引継編
352/634

ロイ VS 王


「発見」



藺の部下、奴隷的な存在が捉えたのはアレクとライラ。

そして、もう一つ。その二人とメテオ・ホールとは別方向に走って逃げているのか、それとも何かを追いかけているのか。追っても掴めないだろう、春藍達を発見した。



メテオ・ホールさんが負けるわけないですし。2人はあの人に任せますか。

それとも、気になりますね。私以外に異世界を移動できる能力を持っている存在がいるとは、何かの縁ですね。



「王くん。ここから北西の方まで、私をおぶって走ってください。指示を出します」

「俺がおぶるのが前提か。仕方ねぇな」




藺と王は春藍達を追いかける。背を追うわけではなく、春藍達が通りそうな道へ先回りする形だ。

伊賀の部下は散ったことでこの異世界の地形をある程度知りえた。

まだ、春藍達は追跡されているということに気付いていない。





それから5分後ほどだ。


アレクの業火によって、彼には近寄ることは困難だと生物は悟る炎だという。にじり寄りながら接近する炎の生命体が1体。



『蒸発などせん。また、透明になれるだけじゃない』



メテオ・ホールの"元素"は名の通り、元素を操り、自分の体を自在に変化させているのを得意としている。

煙のようになれれば、炎にも、水にも、時には雷にさえなりれる。まさに無敵。


炎の中で移動しながら、アレクの背後から接近し爆破させてやろうと狙っていた。しかし、そんなカメレオンのような行動など。アレクにはお見通しだった。

アレクも目に見える位置までメテオ・ホールが接近するのを待っていた。無論、肉眼ではメテオ・ホールは炎にしか見えていない。



「だから、バレバレだぞ。臆病野郎」

『!!』



自分の放った炎以外がここにあれば違和感でしかない。アレクの猛攻がすぐさま決まったのは当然。炎の舞に叩きこまれたのはメテオ・ホールの方だった。



『ぐはぁぁっ、うおぉっ』



メテオ・ホールは明らかにその素質だけが顕著に伸びており、それ以外の経験は何一つ。苦を知らないからこそ、数多く見せた隙。

能力にかまけた馬鹿野郎だった。



「炎になったとしても、炎が効かないわけじゃねぇな」


厳しい呻き声を確かに聞いたアレク。メテオ・ホールでも受け流せない物があることは確か。しかし、炎に対して炎でやり合うのはどうやら不向き。



「任せたぞ」


メテオホールの呻き声を元に位置を掴んだのはアレクだけじゃなく、ライラもだった。炎になった体に浴びせるのは水の塊。室内に突然の豪雨が襲う。


「局地豪雨」


アレクの放った炎のほとんどを一瞬で消すほどの恐ろしい雨。メテオ・ホールも当たっているのもそうだが、アレクも巻き込んでしまっている。ダメージはあるが、人間より炎にとっては激痛だろう。



『うぎゃあああぁぁぁっ』


断末魔を上げている炎と無言で雨の中で立つアレク。タバコが吸えんと文句を言いたい顔だった。さらに雨が強くなって、立っていられなくなる。

炎が消え、水びだし状態の中。

ずぶ濡れのアレクは起き上がった。一方でライラは息切れを起こしていた。



「ったく、タバコが全部逝った」

「私に余裕があるわけないでしょ。まったく……少し、肩をかしなさい!魔力がかなり尽きた」

「じゃあお前はあとでタバコを奢れ」



ライラ + アレク VS メテオ・ホール。


驚異的な強さを持っていたのはメテオ・ホールであったが、経験と技術などが上回っていた二人の勝利。

メテオ・ホールが死んだかどうかまでは確認がとれなかったが、反撃も奴の魔力も感じられないことから、敗れたと断定していいものだった。



一戦の決着のおよそ2分前。

藺と王が春藍達が通るであろう通路に先回りしていた。藺が先ほどから集めていた囚人達を操り、春藍達の足止めに使ったのだ。藺という存在を知らない春藍達はただの暴動に巻き込まれたと錯覚したのは当たり前だった。



「ようやく、出会えましたね」

「藺。降りてくれ。こっからは俺の仕事だろ?」



春藍、ロイ、夜弧、若の4人が藺と王に出会った。



「!っ……あなたは、藺様!?」


夜弧が藺を見て、小さく声を発していたのを横にいた春藍がしっかりと聞いていた。春藍達の後備から囚人達が追ってきている。前に現れたこの2人については分からない。


「誰だテメェ等?囚人っぽくねぇな」



ロイが4人を代表して、前を出た。そして、王も藺を守るように一歩出た。


「藺、言ってやれよ」


王は一切、ロイから目を離さない。自分が言葉を出すより、藺に出して貰った方が手短に済む。



「やー、どうも!私、藺兆紗!こちらは王震源くん!あなたの言うとおり、私達はここの囚人共じゃありません。……あなた方4人も同じですよね?」



藺がアッサリと白状するような声を出し、ロイ達に探りを入れた。



「お前等はなんでここに来たんだ?俺達になんの用だ?」


藺の言葉で100%、自分達と同じく異世界から来た者と判断できた。そのどうやってを誰も考えない。そちらが問題ではない。しかし、藺は思わぬ言葉を発した。


「あれれ?おかしいですね、いつからこちらが尋問されるような立場なんでしょうか?ねぇ、王くん」

「そうだな」

「私達はあなた方の質問に1回答えました。今度は私達が質問して、あなた方が答える番じゃありませんか?異世界人同士じゃないですか」



確かにそうだが、お前等は答えを出しやがった。この口車はとてもやりにくいと、春藍達は感じた。ロイは嫌な顔をしながら、藺の質問に聞く耳を持った。



「あなた方の目的はなんです?」


とんでもない核心を訊いてきた。

嘘を言える質問ではない。そして、この質問は答えないという回答ですら、藺がもらえる利益がある。


「……あーっと……夜弧、春藍!どー答えりゃいい?」

「ロイ。そーだねー……」

「言えないこともありませんか?」


藺はロイの言葉で4人の内、3人の名を知れた。与えてはならない情報だとは、春藍達には分かっていない。



「あれ?答えにくいものですか?それは失礼しました」



この凄く嫌らしい態度。春藍達も藺と王が何やら怪しいのは事実。4人共、藺の狙いを知りたいと思ったのは事実だろう。そこへ先手を打ったのが藺。


「では、私から答えましょう!我々の目的は人材の発掘にあります!素晴らしい人材を追い求め、異世界を旅している者です!この王くんもその1人でございます!藺兆紗、私のことをお見知りおきを!」


スーツのポケットの中から名刺まで取り出して、4人分をちゃんと投げて渡す。


「ご無礼な渡し方に失礼します。近づくことも警戒してらっしゃる」


春藍とロイが名刺を取り上げた。確かによく分からない奴だが、知っておくべき存在と感じたのだ。

藺には分かった。これだけのやり取りで、4人共手が動きそうなほど良好な人材だと判断した。自分の手の中に抑えたい。抑えたい。欲求を必死に嬉しく堪えていた。

一体どれだけの才を秘めているか、隠れている。



「王くん。お願いします」



向こうの戦闘要員と思われるロイを指差し、藺は王に命令をくだした。互いの力量を測るため



「偶然出会えたわけです。手合わせでもしましょう!」



場の空気は藺に支配されていた。ロイ達の意識が王の後ろに隠れている藺にいってしまうのは仕方ないこと。手合わせの有無を言わさず、王がロイに突っ込んできた。

戦闘の特有な匂いから、ロイは一瞬で王が自分と同じ"超人"であることを理解した。



ロイは王の掌打を素早く対応し、捌いてみせる。


「!むっ」

「春藍、夜弧、若!手ぇ出すな!俺がこいつを相手にする!!」



不気味なのは藺の方だ。ロイが王の奇襲を受けながらも、上手に対応しつつ。的確な指示を3人に下した。うさんくさい野郎だ。手の内を見せることが嫌に思える相手は久々だ。


「ロイ!でも、」

「引っ込んでろ、春藍!俺1人でこいつ等は十分だ!!先に行け!」



数秒の打撃戦で王の実力を掴んだロイ。春藍達を別ルートから進ませる。王も、藺も、春藍達の後を負わせない。

王は"超人"だがそこそこのレベルだと察する。

桂、パイスー、蒲生といった"ワールドクラス"じゃないのは明らか。インティ、梁河よりも下だと理解できる"超人"だ。こいつ相手に負ける要素はない。

手の内を見せたくもない。7割程度でこいつを抑え込めるとロイは理解する。間違ってはいない。



キュウゥッ



「!?」


肉体のレベルに差があるのは知っている。強いと驕らないのは王がまだ、上に行きたいという証拠。

強敵と出くわした時、正々堂々よりもただ勝つ事に拘る。ロイの体に巻きつくように王は、関節技を掛けようとしていた。




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