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RELIS  作者: 孤独
引継編
348/634

クォルヴァを巡る冒険②


"常世の牢獄"エンディング。


「知っている、若?」

「僕が全部知っているわけないでしょ。あくまで移動できる能力があるだけ」


若が行った事もない異世界。早速、その位置を能力で確かめている。解析し、準備するまでに半日は待って欲しいとのこと。



「春藍、とてもじゃないが"創意工夫"を造れる状況じゃねぇ」



一方で、春藍はアレクと共に失った科学を取り戻そうとしていたが、技術開発局にある資源や道具が満足に揃っていない状況であった。さらに



「もう一回造るには早くても2週間は必要だな(最低限の機能である場合)」

「そうですよね。とても今やっているわけにはいきませんよね」


時間があまりにも足りていない。

クォルヴァの捜索だけじゃない。これからはきっと、読めないほどの出来事に巻き込まれるのは必然だろう。そういった暇はないはず。

少し残念がっているアレク。あの万能かつ、汎用性が高い科学を失わせてしまったのは大変申し訳ない。しかし、春藍はそのことに深く落ち込んでいるわけじゃなかった。両腕に抱えた彼女のパーツ。


「アレクさん。あなたにお願いがあります」

「それはリアの体か?」

「はい」



元々、春藍の両足は義足であった。だから、これからお願いする事に対して相当な覚悟ができていた。


「僕を、リアのように。リアの体を僕に埋め込んで欲しいんです」



人間の機械化。サイボーグ。

リアという天然の科学と融合していた人間がいて、アレクという立派な科学者がいれば決して不可能な要望ではないが。



「すぐに全身をそーすることはできないな」

「ははは、そこまでとは言いません。まずは、僕の両足からリアの体を入れていこうと思います。彼女の科学を僕が引き継げれば、みんなの足手まといにはなりません」


春藍はきっと、そーゆうつもりだ。ためになるなら、自分がどーなろうとしったこっちゃない。周りの気持ちを見ない。

アレクはタバコを吹かしながら、まず。


「俺とお前だけで決められることじゃないが。両足の件については了承しよう」

「ほ、ホントですか!?」

「ただ、体全部を機械にするってことは周りの気持ちを理解し、納得を得られてからにすることだな。俺はお前が決めるなら、それで良いと思っているつもりだけれど」



さっそく、春藍は技術開発局のとある場所にアレクと共にやってきた。自分が造った両方の義足を取り外し、自分の足に合うようにちゃんと測った。アレクもリアの体の一部を拝借し、彼女の力が活きるように改造。春藍の足にもちゃんと合うものに変えていく。


手術には半日ほど掛かると見込んでいる。



「わ、私も夜弧さん達とご同行して宜しいでしょうか!?」


一方で。夜弧とロイは意外な人物から、お願いを喰らっていた。


「確か、春藍様の妹様。謡歌ちゃんですね?」

「はいっ!私も、お兄ちゃんのために役に立ちたいんです!今からでも色々な異世界を回って、勉強をしたいんです!」



夜弧はロイの方を睨んだ。どーして、ロイと同伴しているかというと、ライラからの命令がロイに下されたから。

しかし、今の状況はどー考えても


「ロイ!あなたはどー思っているの?」

「いいんじゃねぇの?(女の子増えるのは良いし)」



今の言葉と声は本心なんでしょうか?"トレパネーション"で心を探ってやりたい。しかし、しなくても分かる事は


「ダメです!とっても危険なことです!」

「で、でも……」

「ライラにではなく、私とロイに言ってきたのは振られると感じてのことでしょう?自分自身がよく分かっているのでは?」


戦力にならない人間は冒険に役立つことはまずない。謡歌にはまずそれが何もない。知識と謳ったものなど、安全と安心が奪われた場所では意味もない。

通じないところ。



「ただ」

「はい!」

「春藍様が異世界に飛び出し頃。それはきっと、無力だったでしょう。ですから、謡歌ちゃん!きっと、あなたが春藍様と一緒に旅ができる日は必ずあります。今は信じて待つのです」



"自分が無力だった頃"を含め、謡歌にあるであろう機会をしっかりと教えた。

夜弧の言葉を理解した謡歌は俯いたが、言う事を守った。またしばらく……。



「うーむですぞ」


一方、少し時が経って。ヒュールは悩んでいた。住民達の安全と安心を考えているのだが、このまま一ヶ月。食料の入手や資源の確保がなければ、人口の多さと土地の限りによって崩壊してしまう。

全世界の流通の多くは管理人が管理しており、それが止まった。それを作り出すにはやはり管理人が必要。あるいは、……



「何を考えている。ヒュール」

「アレク!」

「とはいえ、何十日もお前一人の頭でフォーワールドを回していたんだ。少しは自分を褒めろ」


本来はアレクの方がその器が見合う。


「ただの代理ですぞ。ともかく、場所が分かったからにはすぐに連れて来るのですぞ。お前達の行動が、どれだけの世界を救えるかに掛かっているんですぞ!」

「まったくだ。管理人というのは自己中心的な奴等で困ったものだよな」


余計なことを言うなと、言いたげ。ドタバタしたというより、ゆっくりと首を絞められているような状況。

ヒュールはライラに賭けてくれた。それがもっともみんなが救える方法。穏便なやり取り。時間が経てば食料がなくなるという事実を全国民が知るだろう。さらには仕事の価値が変わって行く事。あってはならない。この世界において、製造は食料より安くてはいけないのだ。



「ところでアレク。お前は私に訊きたいことがあって、ここにきたのであろう?」

「ああ。お前の見立てで、あと何十日。フォーワールドを存続できる?」



仮にクォルヴァをその期間内に連れて来ることができても、流通が回復するまでここが持つかが心配だ。出来る限り早めるつもりだ。

その上で期限を聞かなければ。


「良くて1ヶ月。つまり、30日ですぞ」

「それを過ぎたら?」

「訊くつもりなのであろうか!?」


人間が極限状態に達した時、計算などという式は成り立たない。その本性を現す。それがフォーワールドの崩壊。それを防ぐ異様な奇手。


「人を食料に変える」

「!」

「命は喰らうとはそーゆう理ですぞ。あくまで最終手段。本気にはしたくないから、アレク達に賭けるのですぞ。すまんなぁ、私達にはそれしかできんのですぞ」



人を静かに減らすことで生き長らえる。文明の維持が伸びる。

危機的な状況を中和するには奇想天外の発想しかなかった。



「ああ。そーはさせねぇよ。必ず、連れて来る。必ず、救うさ」

「無事に帰ってきたらタバコの火をもらうですぞ」



"常世の牢獄"エンディング。その異世界に踏み込む者達に希望は託された。春藍、ライラ、アレク、ロイ、夜弧、若。新たなメンバーを加えるための冒険。




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