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RELIS  作者: 孤独
引継編
346/634

希望を託された人

スタイル:魔術

スタイル名:ディスカバリーM


黒リリスの一団の一員。いちお、副団長。上は和装で下は一般的なズボンだという恰好。

管理人がいなくなってしまったこの世界ではもう、自由自在に異世界への移動ができない中。若の"ディスカバリーM"は、自由自在に異世界へと移動することができる。また、第三者にも移動ができるリングを提供することで、第三者も異世界へ移動することができる。

黒リリスの一団は管理人との戦いで敗れ、全滅したという記録が残っていたが。




「僕は桂に捕まって、この場所に閉じ込められたんだよ。まったく、最悪だった。でも、春藍君達がやっぱり来て良かったー」

「お前をダッシュで運んだ俺の身にもなれ!」

「だって、本だらけでさ。お風呂も石鹸もないんだぞ。体が臭くなるに決まっているだろ」



ロイが"超人"だから成せる早業。ボロボロな若を担いで、来た道をダッシュで引き返した。そして、桂の屋敷にある風呂場に若を放り込んでお湯をぶっかけた。強い激流を浴びても気持ち良さそうな表情をする若。


「はー、本当に生き返ったー」

「……お前、もしかして5年間もそこに閉じ込められたのか?」

「そうだって言ってるじゃんか!出られなくなるし、出たら出たで桂が『次は殺す』と脅してきたんだ。普通出られないだろ!?」



誰も入れない場所だが、入ったら入ったで。出る時に桂と出くわすとしたら最悪だな。


「そういえば、お前には異世界を移動できる力があるだろ?」

「それはあったけど、黒リリスの一団が壊滅を知らされて。僕を助ける存在がどこにあったと思う?ロイみたいな戦闘力は僕にはない!!」

「威張るな。じゃあ、もしかすると。大量の食料は桂さんが用意したのか?」

「ああ!まったく酷い奴だよ!自分以外の誰かが来るまで、飯食いながら本を読んで待っていろって!もう少し清潔になれる道具とかくれないかな!?簡易トイレも最悪だった!掃除もちゃんとしろって言うし!!」



桂さんはオカンだな。姿が大人な女性の雰囲気があったし、シックリ来てたか。



ロイは若がどこかへ逃げないように監視の役目をライラから伝えられた。とはいえ、パイスー達がいなくなってしまったこの世界で若が縋れる場所は、ライラ達しかいないのは明白。


「!もしかして、ロイ達が来てくれたって事は桂はどうしたんだよ?てっきりいるのかと思ったけど……」

「ああ。そういえば、若はまだ知らないか。管理人は2週間ほど前に全滅。もう管理された人間社会じゃなくなったんだ」

「……は?」



黒リリスの一団の目的が、まさか自分の関わりのないところで達成されるとは思ってもみなかった。


「なんだってーーー!?えっえっ!?パイスーは死んだって聞いたし、他に一体誰がそんなことをできるんだよ!」


若の反応はパイスーという戦士を知っているから来る反応。人間では世界中の一握りしか、管理人を倒せそうにないはず。


「色々あったが、簡単に言えば仲間割れだ。桂さんとポセイドンの大喧嘩、大戦争。双方、総力戦の末、桂さんもポセイドンも死んだ」



かなり省いたがロイの言葉をしっかりと聞いた若には、確かに起こりうる可能性だと判断した。


「なるほどなー。確かに、あの2人が戦えば……って、他の管理人まで全滅って……そこまでなる理由はなんだ?」

「まだ1人いるらしいけどな。ただ、そうなるように桂さんとポセイドンが仕組んだって事だろう。小難しい事はライラに聞いてくれ」



ロイと若がゆっくりと体の疲れと、匂いを消毒している頃。

ライラ達はまだ"遺産もない図書館"にいた。これからの方針を四人で話し合っていた。



「まず、"フォーワールド"に戻るのが急務だ」



当たり前だが、管理人がいなくなった異世界。

故郷を大切に思う気持ちは当然ある。アレクはこの場で誰よりも強く発言した。



「春藍の"創意工夫"は壊れたまま」

「アレクが結構悪いけどね」

「世界の混乱をまず把握するには一番、俺達の仲間がいる場所へ向かうべきだ」

「そうですね」



桂が死に、ライラ達は異世界への移動が困難だった。

きっと、桂は黒リリスの一団との戦いでここまでの未来を視たと感じる。ポセイドン達に若の存在がバレて殺害されていれば、世界はより閉鎖的になった。この時のため、大切に護って来た人材。

ライラ達は認めたくはないけど。彼がこの状況でもっとも必要な能力を宿していることを感じた。


「問題は若がちゃんと協力していただけるのか」

「その点は問題ないでしょ?」

「どーして判断できる?」

「だって、若にいる仲間なんてきっと私達しかアテがないでしょ。パイスー達と組めたのなら、私達とだって仲良くできるはずよ。ねー、春藍」

「た、たぶんね。きっと今の若には僕達と協力した方が良いって思うはずだよ」



手探りだらけ。

それでも、小さな導を残してきた桂とポセイドンを拾い始めよう。



「"フォーワールド"に一時、戻るのは賛成ね。桂が造った"吉原"はそう簡単に崩れる異世界じゃないわ」



ライラもアレクの提案には賛成である。

あそこには、ヒュール・バルト、ジャン・アルルエラ、春藍謡歌など、協力者が数多くいる。きっと、彼等だって管理人がいなくなった異世界で多少混乱しているだろう。

そして、そこを拠点に……。


「ただ、本当にすぐに会いに行きたいわ」

「え?誰に?」


忘れたのかしら?春藍って、馬鹿?


「最後の管理人、クォルヴァ。協力してくれるらしいなら、なんとしても会わないとね」



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