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RELIS  作者: 孤独
引継編
344/634

遺産もない図書館①

"和の国"吉原。


この異世界にある奇妙な施設。外見はお化けが現れそうな、暗くて、ボロそうな雰囲気をかもし出している。

しかし、その頑丈さはライラの"ピサロ"の雷にも耐え、桂の"雷光業火"でも粉砕できない造りが成されている。入るには特別な鍵が必要であり、それを護って来たのは桂であった。何かの間違いがない限り、入る事はできないだろう。



「一回だけ、桂から盗んで入ったことがあるけど」


ライラは久しぶりにそこへの道を歩いて行く。この世界の住民も、滅多には足を踏み入れない地域だった。



「これまでから、さらに昔の記録が詰められている場所。それが」


あの時、盗んだのと同じ鍵を持ち。春藍、夜弧、ロイ、アレクといった、大切な仲間も連れて再びこの場所へやってきた。



「"遺産もない図書館"」


桂の遺言を聞き、ライラ達はここにやってきた。

ライラにとっては久しぶり。そして、変わっているものが何もなかった場所。


「あんまり大きくはないね。2階建てかー」

「窓もない。ドア一つって単純な造りですね。雰囲気もあります」


見上げるほどの建物じゃなかった。


「資料の多くは地下に眠っているわ。私が行けたのは地下1階までだけど」

「2階建ての家に収まる程度の歴史じゃないよな」



ライラは建物、唯一の扉に鍵を差し込んでゆっくりと回して、開けた。前に来た時と同じ、あの光景だったことはライラは知っている。


「行きましょう」

「うん!」



五人は中に入った。そして、五人全員が入ると自然に扉は閉じていった。

建物の中はすでに本一色と言って良い。綺麗に並んだ本棚の廊下。テーブルも、椅子も何もない。詰め込まれる歴史書の数々。



「すごい。本だけの廊下だよ」

「しかも、一本道ですね」


春藍と夜弧はその壮観な本の、本による道に驚きながら進んでいく。一方でライラは進みながらキョロキョロとわずかに視線を横にやっていた。

そんな時、


「ライラ」

「なによ、アレク」

「ここには何か俺達の邪魔するような奴はいないのか?」

「は?」


ライラとは違い、来ていないからこそ出た疑問。意味合いは違うが、アレクはライラに尋ねた。ライラの声は不機嫌そうだった。


「大切な場所なら、侵入者を撃退する仕掛けがありそうなものだぞ。その鍵一本はさすがにないんじゃないか?」



現在の5人状況。

ポセイドンなど、ブライアント・アークスとの死闘の傷はまだ癒えていない。特に春藍は自分の科学、"創意工夫"を失った状態。戦力ではない。また、この室内ではライラの"ピサロ"も威力半減と戦力にならない主人公とヒロインといった状況。



「地下1階までは大丈夫よ。昔のあたしがそこまでいけたから、何もないはず」


だいたい、こんな場所で戦えば残した歴史を消すことにもなる。管理人側はそれを望まない。だから、何もないはず。



「ま、出てきたら俺が殴り倒してやるよ。アレクもライラも、ここじゃ戦いにくいだろ?」

「ロイ程度で迎撃できれば、楽だがな」

「なんだとこの野郎!こんな狭くて、大切な物だらけのとこで戦えば、全部燃やしちまうだろ!」

「そこ、喧嘩しない!本が落ちたりするよ!」


進めば進むほど、ライラの違和感は確信になっていく。アレクが質問したのも、何かある。進みながら降りる階段まで迷う事無く辿り着き、さらに下へ。



「私達以外、入ってきてないわよね?」

「急にどうしたの?」

「いえ。上手く言えないし、わかんないと思うけど」



ライラが感じていること。以前来た時より、綺麗に本棚が並んでいることと汚れが少ない事だった。桂が清掃していたというのなら分かるが、自分が潜入した時以来、入ったという情報はない。

進む先も本棚だらけ。休憩できるスペースなんて一切なく、過ごせるような環境ではないほど



「寒いですね」

「少し、暖をとるか」



アレクがライターを点け、周囲の気温を変化させる。少しだけ辛さから解放される。そして、地下1階も何事もなく進んでいき、ライラも行った事がない下の階へ行ける階段。


「なー、ライラ」

「なによ?」


その手前でロイはライラに尋ねてみた。本しかないこの場所に気分を悪くしたのだろう。頭が痛いポーズだ。


「この建物、どれだけ降りればいいんだ?最初で言って申し訳ねぇーけど。頭痛いし、狭いしよ」

「知らない」

「え?」

「私も、分からないの!どこまで降りられるか、桂から聞いてないし!教えてもくれないし!」



ずーーーっと、ずーーーっと。本が並んでいるかもしれない。

また、階段で普通に降りるため、帰るときは普通に上がらなければいけない。地下100階まであれば相当……。

100で済めばいいが、それ以上かもしれない。入ったら二度と出て来れないほど、深いかもしれない。



「お、お前。この先の道は何も知らないんだろ?」

「ええ。でも、行くのよ。そーしないと意味がないの」


ここに何かある。それがなんなのか。桂は教えてくれなかったけど、行くしかない。



「大切な本だとしたら、俺の命を使っても見つけられないぞ!もう10万以上の本は見た気がする!」

「そこまでいってないわよ。まだ1万程度よ」

「それでも多いだろー!」


こーいったことは苦手なロイは苦しんでいる。敵に遭遇していないのに、苦しむという異常な環境。

ライラ達はロイのことを置いて先に行ってしまう。


「あ、待ってくれよ!俺を1人にするな!」



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