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RELIS  作者: 孤独
"銀座山脈"チヨダ編
34/634

男と酒と女とコスプレとVIPルーム


「こちらになりますなの!」

「よく案内してくれた」

「ノリノリですね、アレクさんが。ふふふ、とても楽しそうです」

「人からかってるだけでしょ。っていうか、なんで私まで」



看板娘に案内され、この店で一番豪華なVIPルームに案内される。



「というか、なんで僕はここに入るまで沢山殴られたんだろ」

「うっさい!」

「春藍、それすらまだ分からないのか」


すでにライラに攻撃されまくり、傷だらけになっている春藍。未だに状況を理解できない。

VIPルームに入るまで、楽しそうにしている男性と女性達の姿を何組か見た感じ、楽しそうではあるとは思っている。

VIPルームに入ると


「おおおぉー」

「な、何よここ。すっごく派手なとこ、グラスのタワーもあるし」

「お洋服がいーっぱい。コスプレって物が並んでますね。着替える場所もあるなんてすごーい」

「今度、こーゆう服を作ってみようかな?可愛いなー」

「皆様ソファにお座り、メニューからお好きな者をお選びくださいなの!」


案内されて春藍達はソファに座って、四人に渡されるメニュー。そこには飲み物や食べ物よりもピックアップされているのは色んな恰好をしている綺麗な女性達の写真ばかりであった。


「うわー、みんな可愛いなー」

「…………」

「警察官?美容師?巫女?武将?学生服?水着?看護師?色々ありますね」

「…………」

「俺は君と、この水着の娘を頼む」

「…………」

「かしこまりましたなの~、ご指名ありがとうございますなの~」

「…………」


純粋にちゃんとした使い方を分かっているアレクを含め、三人をジト目で見ているライラ。こいつ等ってすごいのに馬鹿なところもあり過ぎである。


「ライラは誰を指名するの?」

「私に無茶な振りをすんな!!!できっか!!」

「え、えぇぇ」

「サイドメニューの日本酒を2本!それだけで良いわよ!っていうか、私が頼む!!」

「わ、分かったよ。じゃあ、僕のも一緒に頼んでくれない。"ロリロリ中学ブルマッ娘"、"萌姫武将相良ちゃんとオタ家側室遊馬名さん"、"薄ワンピースだけの自然な恵みのお嬢様"、"イケイケ女子大生歌手ユニットERO'S"の4組をお願いするよ」

「えーっと、ロリロリ………って4人も一気に頼んでんじゃないわよ!ネセリアがオブラートに包んでいたとこ全部言うな!」

「そ、そんな……。僕は多い方が良いと思って7人も呼んだのに」

「一気に7人だったし!マジだ!!武将と歌手ユニットは、ペアで来る!?マジであんた信じられない!」



春藍が一気にそして同時に7人も指名する大羽目っぷり、そして、ライラが大羽目した分、春藍を殴りつける。最後のネセリアが



「メイド服各国バージョンセットをお願いします」

「承知いたしましたなの」

「ネセリア!ここはファッションを楽しむ場所じゃない!なんであなたはコスプレ衣装だけを頼んでいるの!?」



それぞれ注文を終えて、数分後には続々と呼ばれた魅力的な女性達がVIPルームに入ってくる。男2人の女9人の飲み会が行われた。



「ご指名ありがとうございますぅ~」


春藍が指名した7人は最年小で14歳。最年長で美貌を見せ付ける26歳。ソファとは別に、また小さな椅子を用意されてそこに座れる女性もいる。春藍を囲むように座っていた。一方、アレクは両脇に水着の子と客引き女性を置いて、ビールを注いでもらっていた。


「きゃーーー。七人も指名した人がこんなにショタい方だったなんて初めてーー!!」

「春藍くん!君、お金やお酒は大丈夫なの!?」

「向こうはダンディなおじさん、こっちは可愛い赤紫髪ショタっ子なんて、すごい組み合わせ!!」

「最近は筋肉ムッキムッキのおっさんばかりなのに、この可愛い成分は嬉しいー!」


この世界では完全な小柄で、細身で女と思われてしまうような弱々しい男の姿をしている春藍に、新鮮な男子と感じて目の耀きを増し、テンションを上げている女性陣。純粋に仕事をしている感より、楽しんでいる感を出している。

七人の女性に囲まれて、指名しておきながら春藍は


「う、うん」


少し、照れなのか。緊張しているのか?もしかすると、期待していた事とは全然違う事による戸惑いを出しているのか。


「わー、このメイド服。可愛いなー」


唯一、会話とは無縁にメイド服に夢中になっているネセリアがある意味、良い空気のバランスをとっている。春藍の様子をジト~っと睨み、熱々にしてもらった日本酒の一升ビンを掴んでラッパ飲みを行っているライラ。あんた、飲み方が間違っている。

そんな女性2人に気にせず、春藍に指名された女性達は春藍に接客+アピールを始める。

お酒は飲めないと言っていたが、サワーなら大丈夫っしょと仕組まれて、アルコールは少し入っている。トクトクと注がれ、もうアピールをされる春藍。



「春藍くんはこの七人の中で誰が一番好みなのかな~~?お姉さんは知りたいな~」

「あたし聞きたいでーす!」

「私も!」

「色んな世代と恰好の女性をお選びなさるなんて、さぞ女性にお興味があるのでしょうね」


とてもおかしそうだったり、本気だったり、楽しそうだったり。反応は様々に見せて訊く女性達。



「い、一番好みはその……みんな可愛いかったら、七人も選んだよ」

「きゃーー!欲張りな子ーー!」

「もーぅ!一番を選べない男の子も、中々乙ねーー!」

「じゃーあ、サワーを少し飲んでから、私の胸を少し見て触ってからもう一度考えてくださらない~。自慢の美乳です」

「え、えぇぇっ」



春藍、押しにあまりにも弱く。言われた通りにサワーを少し飲んでから、その誘惑している女性が差し出している豊かな胸におそるおそる手を伸ばしていた。


「エッチな子ー」

「いや、だって触って……って言うから」

「ね、ね、ね、少し意見は変わったんじゃない」


春藍が自分の意志で女性の胸に触れた瞬間、女性もまたそれを促すようにもみもみと揉ませてあげる。どうやら、この歌手ユニットの1人は春藍の事を本気で好きになっている模様。

そのアピールに春藍はちょっとどうしたら良いか分からない表情だったが、彼女の意志を汲み取ったかのように言葉を出した。


「す、少し君の事が好きになったよ」


人の胸揉みながら(半分されながら)言いやがったこいつ。

その言葉に連れて来られた七人はかなりの興奮を声に出したが、入っていない一名はペキンッと一升瓶にヒビを入れ、もう一名はなんだか少し変な気分になって春藍の方を見た。ライラは魔力を色濃く出しながら、黒い声で呼ぶ。


「春藍」

「はひぃ!」


一升瓶が床に転がって、ライラはそれを拾うよりも、


「お前、その女の胸から手を離せ」

「ひいっ!」


猫が逃げるように胸から手を離した春藍。それでも、ライラの殺意に満ちた目は消えなかった。


「変態野郎」

「はぅ、ううぅぅ」


殺意を見せながらライラは椅子を持ってきて、ドカァンッと春藍と向き合うように置いて。もう両隣には沢山いる女性店員の1人を指差して、


「日本酒を4本追加!」

「しょ、承知しました!今すぐ持ってきます!!」


楽しい雰囲気を一瞬にして凍らせる、とてつもない威圧感。凄まじい地雷を踏んだ。


「どうしたの、続けなさいよ?あんたが指名した七人が囲んでるのよ~」

「え、いや、その」


春藍がかなり怯えている様子を見せながらも、春藍に好意を見せる女性達が酒を注いだり。


「それじゃあ遠慮なく!」

「春藍く~ん、私と一緒にポッキーゲームをしましょう!」

「え、あ。うっ」

「こんなクラゲみたいな髪型した悪女の言葉なんて気にしなくて良いから!」

「ね、ね、ね!」


ライラの目つきがさらに鋭くなる。しかも、性質が悪い(春藍の方が上だが)事に春藍にしかプレッシャーという圧力を掛けていない。


「いいんじゃない、ポッキーゲームとかいう遊びをやってあげたら春藍。やるだけならタダなんだからさ。やるだけなら」

「あ、あ、あの。ラ、ライラ」

「それじゃあお言葉に甘えて、これを咥えてください。春藍くん」


言われるがままどころか、無理矢理咥えられる棒状のチョコのお菓子。春藍と女性が向き合って、女性がポお菓子を少しずつ食べていく。顔が、唇が、近づいていく。それがどんな事なのか春藍には分かっていないけれど、少なくともライラが凄くキレていて後が危ないというのは察している。

ジリジリと迫ってくる。唇だけじゃない、体まで近づいてくる時だった。



「みんなー!待ってよー!!春藍も見てー!」



ライラの怒気が和らぐほど、春藍並みの純粋な声でみんなを振り向かせた。ネセリアのその姿。


「なっ!?」

「えっ!?」


ネセリアの方へと振り向いた女性達は一瞬で、その胸の差に驚いた。だが、本人にはそれをアピールする気はまったくなかった。とにかく、可愛い服を着てみてみんなに見せた。

そのメイド服たるや、ネセリアの女性としての最強クラスの兵器の二つである笑顔と巨乳を異常に引き立てるほど、清楚な白が中心となっているのに露出度が過激であった。

棒のお菓子が途中で折れ、誰もがネセリアの方を見た。凝視してしまうほどの大天使がいた。



「どうかな?」

「ネセリア……凄く綺麗だよ」



春藍の言葉も男の何かを感じ取って言っているようだった。


「相変わらず、すっごい胸」

「この子がこのお店に入ったら間違いなくナンバー1ですわね」

「な、な、なんでこんなにメイド服が似合っているのよ」



キャバクラ嬢も認めるほどの美しさを出しているネセリア。

その笑顔は営業スマイルでは作れない、楽しもうとしている笑顔だった。ネセリアはその勢いのまま、ライラの隣に座った。春藍は完全に女性に囲まれた恰好になった。まるで、狼達に囲まれた子羊のようになっている自分を連想した春藍。


「それで何をするんですか?」

「そうね。私は春藍を少し虐めたいって思っているの」

「い、虐めるってなんてサイテーな考え!!悪女め!!」

「ですけど、こんな可愛い子を虐めるなんてゾクゾクしますわ」

「女よりも弱そうな可愛い子供の顔よねー」

「昔、SM嬢をやった血が騒ぐわ」

「うふふふふ、お酒がもっと欲しくなってきたわ。ワインを注文して宜しいですか?春藍くん」


なんだか、ライラだけじゃなくなった。そう気付いた時、最後の助け舟を叫んだ。


「アレクさん!どうすればいいんですか!………って居ない!」

「ダンディなおじ様なら先ほど2人を連れて別の部屋へ行きましたわ」

「早くも3○をするんでしょうか?」

「ライラ、○Pってなんですか?」

「私は知らない。知らない。今は知る必要はないわ」

「アレクさーーん!助けてくださーーい!!」



自業自得。馬鹿って、ライラとネセリアが少しだけ言っていた気がした。



「あ!とりあえず、みんなでメイド服を着ませんか?」

「ネセリアには全員負けるんだけど」

「!なら春藍くんもメイドになりましょう。こんなに女の子に囲まれたんだから、心も女の子になりなさい」

「きゃー!それ最高!!みんなでコスプレ大会!?」

「記念撮影するにはとても良いわね」

「ぼ、僕がメイド服!!?そ、それは女の子が着るんじゃないの?」

「あんたメイド服とか作っていたんでしょ?着るくらい我慢しなさいよ。メッチャ面白そう」

「ライラ!僕は男なんだよ!!」

「だからなんなの?」

「か、可愛い春藍くんも、少しだけ見たい」

「それー!逃がさず、着替えさせちゃえ!!」



こうして、春藍達の楽しい夜は過ぎていく。なんやかんやでトラブルが起きたと思えたが、その後は女子同士仲良く春藍慶介という可愛い玩具(男子)を着せ替えたり、パシッたり、一緒にゲームをして大いに遊んだのだった。

朝まで遊んで、もらったお金全額を一日で使い果たした。けれど、誰もが楽しく疲れ、思い出になる遊びであった。




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