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RELIS  作者: 孤独
桂編
335/634

足掻き①

針の山に突っ込むのは危険だろうな。



「関係ないがな」



その創造力はまるで、人を見ていない。自分だけを考えている。

造り出された鋭利な針なんて、"雷光業火"と"一刀必滅"が合わされば、ただの雑草に過ぎない。



バギイイィィッ



「うむ」


やはり、地面に両足が着いた方がやりやすい。自然のエネルギーを使い始めたか、ポセイドン。



「やるやるやるやる」



ヌルリと気色悪い表情になりながら、ポセイドンの体はなんと宙へ突き上げられていた。流れ出る血、両足が痛々しく針に突き刺さっていた。わざわざ、本体を曝け出すとはらしからない。



「おーーーんっ」


突如の閃きからポセイドンの、知恵の暴走が止まらない。自分の体などさして気にしない思想になっている。桂が破壊し、平らとなった地面には自動的に突き刺さる針が再構築される。

それから逃れつつ、同時にポセイドンへと向かっている桂。

構築よりも、明らかに速い。



「殺った!」



正真正銘の、ポセイドンの本体をアッサリと貫く。

"一刀必滅"の効果が発動。いかなる再生力、構築力で助かることは許されない。絶対的な破壊。

石像が落ちて崩れるようにポセイドンの体は朽ちていく。



その満足感はやや少ない。桂はすぐに警戒心を強めた。


「!?」


これが本体だというのは誤りか?

疑問を並べる桂であったが、周囲にポセイドンの姿が見えていない。攻撃の様子も見えていない。



シュパァァァッ



突然と、千切れる音はした。桂の左腕が見えない線で切り離された手応え。


「むっ!」


何にやられたのかが分からなかった。どこから来たのかさえ分からない。

桂が警戒を強めても、ポセイドンの見えない攻撃が続いていた。次に右足を狙われた。



「なんだ……?」


どこからともなくポセイドンの声が聞こえてくる。


『"神の裁き(バランサー・クリエィジョブ)"』


さっきのあれが本体ではない。

と、決め付けていいのだろう。問題は今までの攻撃とは違い、完全に桂でも読みきれない事と、見えないことにある。光や音の存在を消し去ったとも良い難い。



『我が信念によって生まれた。完全な、貴様の殺害手段だ』



この自信。ハッタリではない。

気の狂った発想力で何かを創造したに違いないと確信した桂。"テラノス・リスダム"のもう一つの可能性でも見つけたのだろうか?


『運命は変わらないと思うか?』

「お喋りだな」



これだけお主と戦い、ライラ達の復活もあれば"テラノス・リスダム"の在り処は分かる。まったく、桁違いの物を見せつけ、その時間が無駄であっただろうと分からせよう。



「斬る」



手負いとなっても、桂の動きは封じられたわけではない。

わずかな時間さえあれば、この程度の世界を何度でも斬りおとせる。今のポセイドンの攻め方と同じく、音でも光でも捉えられないものだった。

刹那。

まっさらな大地が上下に斬り分かれる。並ぶ高層の建物の郡がみじん切りにされる。上空に浮かぶ雲も斬られ、その青色を放つ光すらも黒ずんでいく。この一撃に生み出された物は何もなかった。



全てが破壊される。創造も、事象も、消し飛んだ。



桂は完全にこの異世界を。ポセイドンの"テラノス・リスダム"を全て斬り落としていた。平然とやってのけた。



「ネタは上がっている」

『へは』



桂は勝った。



『へははははははは、ひゃばばばばああぁ、ああがががが』



ポセイドンは勝った。

何も見えていなかったのは、膝が折れた方だ。



ドスウゥッ



「なに!?」



桂の腹部に突如、大きな槍が突き刺さっていた。

破壊したと思われた"テラノス・リスダム"はまだ起動していた。

今度もまた、桂が何もできずに攻撃が行われていた。不気味に笑い、そして、勝ち誇っているともとれるポセイドンの心中は?




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