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RELIS  作者: 孤独
桂編
334/634

SAMEGAWA RYUUZOU


名前も、姿も、扱う能力も、大分変わってしまった。

引き継いでる魂は削られながら徐々に個へと変わっていく。それは進歩なのだろうか?



「テラノス・リスダム」



異世界そのものを操る。本体を悟られぬよう、自分の姿や形をいたるところに出現させていた。ポセイドンの本体は自分を透明な何かで覆いながら、異世界にとある物を降らせる。


「朴を見習うとしよう」


本物ではないが、創造できる範囲内での災害を引き起こせる。自分のトラウマを抉ってでも桂を倒す。



「"SDQ"の創造か?」


己の恐怖を人にぶつければ確かに本当に伝えられるだろう。だが、本当ではない物で桂を止められるわけがない。



キイィィィンッ



一太刀で場を叩き斬る。すでに攻撃は刀の間合いを遥か超えている。世界を丸ごと斬り落とす本物の、兵器。

桂の破壊力が明らかにポセイドンの創造力を上回っていた。そして、それが現実なのである。一呼吸すらいれずに桂はポセイドンの軍勢に向かっていった。


短期戦でも、長期戦でも、ポセイドンに勝ちの目はなかった。


それだけ管理人としての造られ方が違っている。



「お主が堅固な要塞に隠れようと丸ごと斬る」


ロイを封じ込めたような気象異常は桂にも通じるであろうが、その前にポセイドンがくたばるだろう。光や音、匂いを消し去っても万が一の事故もあり得る。また、今の桂には離脱という選択肢もある。死ぬまで、ポセイドンが逃げ切れる保障もない。



「死ぬ選択をとれんな」



戦うという決心をしながら、生き残る決心が強い。道連れで良いのならポセイドンにも勝ちの目があった。しかし、それがなかった。自分のダミーで凌いでもいずれ、本体に近づくだろう桂の攻撃。

ポセイドンは焦っている。




ど、どうすればいいんだ!



桂がまだ、ポセイドンの本体の位置とテラノス・リスダムの本体に気付いていないという事だけがポセイドンの利。

相討ちはできない。桂が一撃で敵を葬れると同じよう、こちらも一撃で葬るが理想。


「ぐっ」


無理だ!絶対にできん!!桂は"超人"だ!爆撃したところで生き残る!一撃では無理だ!悩める我にはまだ選択の余地はある。それも多いはずだ!



焦ってはいる。焦っているが、冷静に状況を判断している。ポセイドンは侮れない。

ここで楽に手を討てたらどれだけ戦いが楽か。勝つ見込みが限りなく減ったこの状況で、易々と選べるわけがない。

演技にしろ、本気にしろ。あれだけ啖呵を切った人間が、まだ冷静でいられるのは恐るべき強さである。

決して、格上との戦いを楽しむ輩ではない。彼は格上に勝つことを強いられる。



スゥゥッ



桂から飛んで来る見えない衝撃波が世界全土を駆け抜けた。



ガゴオオォォォッ




巨大な螺子が外れたような轟音と共に、縦斬りされる異世界。桂にとってはここの全てはまな板に乗る生きた魚に等しいものだった。

斬られた場所は開きながら崩壊してくる。


「外したか?」


激しく揺れ動く。そこで平然と立つ事ができる桂は優秀な武芸者だ。ポセイドンは本体も偽物も含めて、膝をついて転ばないようにするだけだった。




しまったぁぁっ。ライラからのメッセージか!?それとも、奴らしい無差別の破壊の方か!?"テラノス・リスダム"の修復には時間が掛かる。

気付くな!気付くな!"テラノス・リスダム"も失うわけにはいかんのだ。本当に勝てる要素がなくなってしまう。



「くっ」


再び、あの衝撃波を生み出す抜刀の構えをとる桂。奇跡的に自分が避けられたこと。"テラノス・リスダム"が破壊されないことを祈るしかできないのか?いや、修復が先に間に合うはずだ。防ぐ手段、もしくは封じる手段を……。



「あ、あ、あ、あ、あ」



閃いたぁぁぁ!



「かあぁぁっ!!」


ガッツ。ガッツ。ガッツポーズ!!3回、揺れる地面に止まれと訴えるよう、会心のポーズを生み出して即座に創造する。どちらかというと、変更する方か。



「傾けぇぇっ!!」



桂が根を張るように踏む地面が凸凹に突き上がった。桂の体勢が崩れるもその威力は決して減ったわけではない。しかし、方向が大きくずれた。多く契れとんだのが、空に浮かぶ雲。そして、異世界の限界の高度。



ベロオォンッ



隣の異世界が剥がれて見えてしまっている。


「きききき、かかかかかか!!」


創造力はその場のテンション。その覚醒によって蘇ってくる。絶体絶命を体験し、乗り越えたときに来る安堵感と幸福感で生み出すイメージは圧倒的。



「針針針針ハリイイィィィーーー」



桂の封じ方はいくらでもあった。まず、奴の足場を奪おう。パイスーとは違い空中戦にも自信があり、実績も持つ桂であるが、足を奪われる針山はお断りだろう。地面に立てなければ正確に大地にいるポセイドンは討ちづらい。


「噴火噴火!焼き尽くすぞ!」



レプリカの"SDQ"なんかよりも、単純に黒煙の方が良い。窒息も狙えるし、なにより針山で地面に立てなくし、煙で桂の視界を封じつつ、空中戦にも対応できる。

勝てることを考えすぎるな。過程を描くのだ!



「くはははははは!今の我は冴える、冴えるぞおおぉぉっ」


テラノス・リスダムの創造を可能にする力は少なからず、ポセイドンの精神状態に影響を与えていた。一方で、桂は


「あんまり調子に乗るなよ」


これから行なうポセイドンを正面から、勝負する。



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