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RELIS  作者: 孤独
桂編
333/634

AMAKUSA SHIREN

返してくれないのなら、また創ればいい。ゆっくりとした発想だった。そのゆっくりが警戒心を徐々に和らがせた。

だが、この状況はもうゆっくりしていられない。



「桂よ。お前を殺す前にもう一回確認しておこうか」

「なんだ?」



人間側がこっちだ。



「お前に人類を救えるのか?」


全ては困難を乗り越えるため、管理人としての役割を果たすためだ。他を裏切っても護るべき者。管理人はポセイドン。



「救えるわけがない」



桂の表情はとても真剣さが欠けたものだ。この戦いの意味、



「貴様は今ぁぁっ!!人類を滅亡させるというのかぁぁ!?」


ポセイドンの声と怒りは本気であった。仮面でもとれたような鬼神面のまま、桂に訴える。


「管理人を皆殺しにし!!我の研究を破棄させ!!終焉に近づけようとするかぁ!!」


あれだけ仲の悪かった2人。利害の一致は管理人の皆殺しまで。そこからはお互いの勝利が決めること。今のポセイドンは絶対の勝利が無くなり、怒りを見せながら桂に迷いを生ませようとした。



「人類のために動く我と!己の想いで動く貴様では話にならん!人類が繁栄するために取るべき選択は我にある!その研究がまだ続いている!」



しかし、決心してやってきている桂はいかなる揺さぶりにも動じない。



「だからなんだ?」

「むっ!?」

「確かにポセイドン。お主の科学力があればいずれ、"SDQ"を駆逐できるやもしれん。いや、可能性があるのはお主しかおらんのよ」


桂が選んだ道は変わらない。変えるには桂を殺すしかない。



「拙者はもう先を見てるつもりだ。だから、一時的にお主に協力した。実際は拙者もお主も役目は終わった」

「言葉は通じんか?」


正気か?

怒りから不信な目に移り変わるポセイドン。



「管理社会は本当にもう終わる。拙者がお主を殺してな」


未来を決める二人の闘い。それは自分自身を賭けているし、自分の想いもある。お互いに周りの声もある。今日まで引き摺っている物もある。


「人類は今。管理から解き放たれるべきだ」


それは事実だ。もうそれは終わっている。


「ポセイドン。その手を降ろせ。首は拙者が切り伏せよう」

「ふざけるな!!具体的に何をするか答えろ!!貴様は何もしないクズ野郎か!!」

「お主を殺す。拙者の仕事は"もう"それだけだ。人類に手を貸すつもりはない」


分かっていた。いずれその時が来る事。


「我はまだ終わっていない!!人類はまだ!繁栄にも、生存にも繫がっていない!我が手がなければいけない!!管理はまだ続けるべきだ!!」

「過保護な手だな。それも切り落とそう。それから、やはり魂の名も伝えよう」



自分こそが正しいという理念はいずれ、幻想を現実にする。それがあるかないか。ポセイドンの志は本物だ。

人類が繁栄、生存。並べる言葉は桂よりも高尚だ。誰もがポセイドンに賛同するべき、安全と安心だ。

だが、違うよ。あんたは生きたいんだ。管理人を止めたくないんだ。意地悪いほど生に縋る、本物の悪党。本当に今でも憧れちまうよ。

だからこそ、あんたが一番。管理人として有能なんだ。人類を支配するべく、器である。本当はそうじゃねぇって、謙遜しなくていいんだ。



天草試練あまくさ しれん

「!!」

「拙者の管理人としてのベースとなった人間だ。今、彼が強く反応している」



管理人が、過去の人の手によって造られた者の多くにはかつての人間がベースとなっていることが多い。その本体が造った者もいれば、意志を継いだ者がいたり、残った記憶と記録から造られたものだったり。

共通することはどいつもこいつも、参考となったのは化け物揃いだということ。


「"あんたらしい"、だとよ。鮫川組長」

「………ちっ」



余計な色を言いやがって。



「そんなものは関係がない。我はポセイドンだ!造られた魂などカンケーない!お主もだろう?過去にこいつ等が何をしようが、今を決めるのはポセイドンである我と、桂である貴様だ!」

「そうだ。異論はない。拙者も拙者でいく」



大事なのは今、この時だ。



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