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RELIS  作者: 孤独
ポセイドン編
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それはありなのか?

一瞬の緩みがあった。


『!』


無音であろうと声なんてなく、突如としてポセイドンの背後に現れたのは桂。

アレクの炎は消え、また暗闇となった状況。桂はロイがポセイドンを仕掛けたところを確かめた。

わずかに攻撃が止まれば一息の休憩も入れずに飛んできた。



『おっ?』



ポセイドンも驚いた表情であった。

しかし、それはマイナスに感じる要素を一切含んでいない驚き。斬られることには驚いているだけという、不可思議なところ。



『………』



手応えはある。しかし、それだけか。



胴体を切り離された姿は桂やアレクには映らない。生命体内部のグロテスクな部分は語れない。

しかし、これで桂には断言できることがあった。



『この世界のどこかに、"テラノス・リスダム"がある』



ポセイドンと一体化しているならば今の攻撃で戦争は終わった。"一刀必滅"の能力であればどんな再生能力も粉砕しているのだ。


『自信満々だ。そして、見事な成果だな』


それを上回る創造力と構築力。確実に、斬った際のポセイドンにある細胞は全て消滅させた。だが、時間差で元の細胞を構築して生き長らえた。超速で生まれ変わったとも言える技術。


『連続で何度も斬る事ができれば勝負を決められた』



突如いなくなったポセイドンの移動力は変幻自在であった。

もはや、自分の体すら統一せずにどこかに溶け込んで桂から逃げ回っている。液体なのか、気体なのか、そもそも生命体としての機能があるのかさえ怪しい姿になっている。



『ロイの命を無駄にしてしまったか』



ポセイドンの"テラノス・リスダム"は創造することに長けているが、破壊することができない。自分の体を一度破壊されたことで自分に対する創造が一定時間、自由にすることができた。

死と隣り合わせであるが、桂の敏感な感覚でも察知できない変態能力は異常で優秀な力である。



距離を置き、確実に時間を掛けて仕留めろ。



『ふぅー、生き返った』



緊急脱出した後に、元の姿を創造して完全に蘇るポセイドン。

危機をアッサリと凌いでしまう今のポセイドンは確かに、桂よりも優位に戦闘を進めている。情報と状況の差が大きい。

再び防戦一方になる桂。



『くっ』



様々な兵器を創造し、じわじわと追い詰めつつ、自分との距離を離していく。無論、桂の位置をしっかりと把握してだ。



ポセイドンがロイを仕留めたような、環境の操作を行なわないのは消耗が激しいよりも制御が難しく、自分自身にも被害が出る可能性が高いからである。

焦る必要はない。桂が疲労によってミスを犯せばさらに追い詰める。桂に回復能力がないのは把握済みだ。

"テラノス・リスダム"さえ、破壊されなければポセイドンの勝ちは揺るがない。



『はははははは、我こそが!時代の支配者となる者だ!桂!足掻いても変わらぬことよ!』



時間との勝負ではなく、時間の問題だった。戦闘にある流れを跳ね返し、再び桂を追い詰める流れは桂だけでは変えられない。

確かに凄い。偉大でもある。そして、



『弱ぇよ』



俺は慢心しているところと、見下し過ぎるところは絶対に見習わない。あんたの悪いところだ。

ロイが命を散らして、桂さんが死ぬつもりで攻めた。それで俺が何も分かりませんでしたとなっているならすぐに自殺した。掴んだぜ、"テラノス・リスダム"の正体。



『タバコがねぇや』



アレクはポセイドンから離れていく。

暗闇でもゆっくりと歩けばいい。まずは死なないこと、ゆっくりだって良い。"テラノス・リスダム"は逃げやしなかった。


『想像以上だったよ。俺の先生ってだけはあるよ。ありえないさ。だが、俺を先に殺さなかったのが詰めの甘さ。翻りもしねぇのにな』



破壊はまさに困難だろう。

そして、見つけやすさではなく。それが本当に"科学"なのか?と疑うべき物が、"テラノス・リスダム"の形状。よくもまぁ、隠し通して創り上げたものだ。

性能に関して言えば、間違いなく最高。だが、扱いやすさは最悪レベル。



『俺はあんたの弟子だ』



けどな、



『春藍の、師であり続けたい』



まだ間に合えよ。信じるぞ、ポセイドン。

俺はあんたを超えるにはまだ少し掛かりそうだ。ただ、弟子の俺があんたの真似をしてやる。それが、仇の恩返しだ。俺はあんたに出来ることならやってやる。

これから先まで、俺が死ぬまで、……な。



『テラノス・リスダム』



改めて。"それ"を理解して触れれば、負担の少ない"科学"の特性がないことを知る。創造力に刺し込んでくる白の光。全身にやってくる疲労感はかつて感じた事がないもの。



『っ……』



自分の知能と思考にモヤが現れていく。雑念ではなく、無に近づいていく思考ではこいつを操作できない。夢を描いているだけで叶うものでもない。あくまで創造力を実現させるに過ぎない代物。しかし、その極みに達している科学。



『っっっ、これだ。これだ』



春藍の死んだ身体に生きている身体を取り付けろ。

ライラの死んだ身体に生きている身体を取り付けろ。

ロイの死んだ身体に生きている身体を取り付けろ。



敵として戦ったが、同時に俺の仲間だ。


『俺は仲間を、忘れちゃいねぇんだ!!』



本当に細かい部分まで3人をイメージしろ。隅から隅まで、よく知っている奴等だから分かるはずだろ。身体さえ治れば生き返ってくれる、熱い魂を持つ奴等だから。俺も信じて応えてみせろ!



『生まれろ!!』



自分の意識が飛ぶまで、魂と力を込め続けた。



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