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RELIS  作者: 孤独
アレク・サンドリュー編
317/634

5人目の仲間

最善を尽くしたからといって、不満はある。

出し尽くしたことなんてない。




春藍は完全に倒れた。

ラッシも命を散らした。

ロイも、夜弧も、生きてはいるがアレクとはとても戦える状態にはなっていない。

それに2人は死の淵を彷徨うライラを賢明に治療している。助けられる希望を感じなくても、やれるだけのことをしていた。



「終わったな」



アレクだけがこの世界で立っていた。

あとは残党を蹴散らし、ポセイドンの成果を待つのみだ。



「春藍よ。お前は負けたのだ。だから、これから先で目覚めたときは俺のために生きろ。もう、あいつ等の事は忘れろ」



アレクは春藍を抱え、ひとまず安全な場所へ移動しようとしていた。

ここから先の未来はブライアント・アークスが握ることだろう。まず、人間同士の戦争でアレク達が勝ったのだ。

科学が、これからを支える事だろう。



「ゆっくり寝て考えていてくれ。これからの付き合いを」



この時、アレクの敵は見えなかった。

希望を祈っていたのはただ一人。



「春藍様」



夜弧だけが春藍に希望を感じていた。なぜ希望が持っているのか?それは彼女が予め、準備していたからだ。万が一、春藍の身に危険が及んだら発動するようにしていた。



「どうか、無事に帰ってきてください」



春藍の意識がなくなった時に現れるもう一つの記憶は前世。



「う、うぅぅっ」

「?春藍?」


科学は突き抜けた凄さを持っているのかもしれない。しかし、多くの所業は切磋琢磨しあう。夜弧の"トレパネーション"が、精神や記憶を操作する能力だったからこそ、再び呼び起こされた怪物。

春藍の姿を借りながら、急激に膨らんでいく魔力。銀色に光り始める髪。目覚めた意識はすでに状況を知っていたようだ。



「以前はやってくれましたね」

「!?」



春藍の意識が弱ったことで現れた奴はハーネットだった。

挨拶と同時に繰り出した攻撃をアレクが避けられるわけもなかった。

魔術、"マグニチュード"の攻撃は、速くて強い。

アレクが生み出していた炎が、激しく揺れながら消し飛んだ。



「"震戒"」



バギイイイィィッ



空間にヒビが生まれ、アレクの身体にもヒビが発生する魔術。


「があぁっ!?」


震動が身体を破壊し、一発でアレクをぶっ飛ばして空中に投げ出した。アレクにとっては急転直下の危機。想定外の難敵と、大ダメージに頭が混乱したのは当然だった。

一方で、力と意識を取り戻したハーネットはあの時の借りを返そうと攻め立てた。

二度目の、


「"震戒"」



別の異世界にも影響が出る震動。この破壊力は"魔術"の中で見ても、トップレベルの破壊能力を持っている。

空中に投げ出されているアレクの体内を再度粉々にしてみせる。



「さー。怒っちゃうよ~」



ハーネットは普段キレない人間だ。

だが、キレた時に起こす行動は誰よりもえげつなかった。今、ハーネットの状況はアレクだけしか映っていない。周囲に夜弧やロイがいることなど知らなかった。無論、ライラの危機すら知らない。


「"大地鳴動"」


この異世界がなんなのかを考える気もない。

手加減せずに、魔力の残りすら気にせずに、ぶち込んでいく。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



「ま、また地震!?なんだよ、こんなことをする奴は!?」

「来た!ハーネット様が目覚めてくれたわ!」



見えていなくても状況を知れる夜弧はロイとライラを的確に誘導した。

もう、最後は彼しかない。結果がどうなるかは読めなくなるが、少なくとも春藍と自分の生存だけを考えている夜弧。




「潰れろ」



"大地鳴動"

地殻変動を引き起こし、周囲の大地をコントロールする技。

人間が支える足場を操ることは足を奪ったも同然。空を飛べたとしても、大地は唸り空へと昇っていく。

周囲の大地は全てハーネットが支配下に置いた。

地上に落下していくアレクを上から飲み込もうとする大地。奇襲からの猛攻は完璧であり、避けられる隙も反撃の隙もまるで与えなかった。



「まだまだ」



アレクを包んだ大地は揺れ動きながら何層にも重なっていく。

地形を大きく変えながら、決して光が届かない地中へアレクを追いやった。大地が変わる速度にアレクが対応できていなかった。

しかし、



「これで終わるかな?」


ハーネットはアレクと同じように管理人から教育を受けている者である。

奇襲が完全に決まったとはいえ、



「続きをするかい?」



ポセイドンの一番弟子であるアレクを侮っていなかった。

奴の心臓が動く限り、殺したとはならない。



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