表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
ライラ・ドロシー編
308/634

夜弧の裏切り

荒れ狂っている天候。いまもなお、崩落していく建物。身の危険がある地。



「辿り着いた」



カメレオンのような擬態を模しているわけでもなく、慎重に慎重を重ねて進んでいった先にいるのはラッシだった。瓦礫の隙間から覗き、彼がまだこちらに気付いてないことを確認した。


手が触れる距離まで近づくのは困難だ。仕留めるには狙撃しかない。



「これ、狙撃向きじゃないけどね」



ダネッサと違い、相手は瀕死だ。急所に一発当てれば終わる。

問題は外した時と死ぬまでの間。ラッシから感じる魔力の量は……少し回復しているとみた。ラッシ"のライヴバーン"の直撃の痛さは知っている。



「ふぅー…………」



原因はなんであれ。

ラッシを殺すのが、私になるなんてどーゆう運命なのかな?

絶対に成功させなきゃいけないけど、考えるとおかしいよね。ホントに……。



ガチャァッ



向こうは本当に気付いていないの?それとも、あの瀕死の身体だから動けないだけ?



「はぁー……」


余計なことを考えるな、私。一気に六発いく。それでラッシは死ぬ。




夜弧の狙撃はあと数秒に迫っていた。ラッシは未だに夜弧の存在に気付いていなかった。身体の負担もあり、彼は敵が来た瞬間に全力を出して葬る考えであった。



「いつでも、"ライヴバーン"はいけるぜ」



完全なる受けも仕方あるまい。身体がもっと動けていたら、夜弧を殺しに向かっただろう。あっちも狙っているという予感は分かっていた。

だが、ラッシは夜弧の武器や能力を知らない。



パァンッ



唐突に撃たれた瞬間、自分の限界をここまでと決められた。

それを後押しするように弾丸は飛んで来る。近くで戦うライラ達と比べれば随分と静かで、小さな攻撃であった。



「がはぁっ……」



もうどうにでもなれや。



「クロネア。俺も逝くわ」


ちゃんと周りを巻き沿いにしてな!



撃たれた箇所に手は置かなかった。ギューッと両手を広げ、回復してきた魔力の全てを捧げる。右手からは雷を、左手からは竜巻を。

全て、死にやがれと思いを込めて放った。



ドゴオオォォッ



「あっ!?」

「なによ!?」



ラッシが命を捧げた攻撃はライラの雲を、彼の炎を大きく吹き飛ばした。決して長くはなかったが、不規則に動いていく雷と竜巻は2人の戦闘が中断するほどの威力であった。

唐突に発生した出来事に二人共、動揺していた。



「今のはラッシか?」



ラッシの雷と竜巻が止んだ時。ライラと彼は周囲を特に警戒した。特にラッシの居場所を注意深く観察していた。

瀕死の身体であったが、奴には生命力がある。生きていても不思議ではないし、先ほどのエネルギーも頷ける。



ガラァッ



「!ラッシ」

「………てめぇを……殺す」


そして、瓦礫をどかしながらラッシは立ち上がってきた。不気味な雰囲気を漂わせながら、彼に向かって歩いていく。

空から見ているライラには分かる。



「ラッシの魔力が戻ってきてる!?」


理由は分からない。立つ事すらままならない状態ではなかったはずだ。夜弧はどうなったの!?



「2対1か?構わないがな」


夜弧がさっきの攻撃で死んだのか?しかし、ラッシのこのカラクリは一体なんだ?



黒い龍の仮面の博士はバズーカをラッシに向けたまま。しかし、ラッシはそれすら気にせず歩いてくる。この不穏な空気がどう動くのか読めなかった。

そんな中で大胆にも、彼を守るように後ろから現れたのが夜弧だった。


「なんの真似だ?」

「ラッシには死んで欲しい。反撃されて、もう私1人じゃきついわ。協力して欲しいの。少し守ってあげるから今の内にラッシを討って!」



そして、彼と横に並んだ夜弧。そこから夜弧は彼の背を守るように動いてきた。



「あなたとこうして背を合わせる日が来るなんて、そちらも思ってなかったでしょう?」

「……ああ。そうだな。悪くねぇ」



夜弧の魔力と体力はかなり削られていた。拳銃を握っている手が震えている。

そのことを深く理解できる彼ではなかったが、ラッシの不気味さと状況を考えればあっさりと合意した。勘が言っている。今のラッシの方がヤバイと。



「協力か」


夜弧がこうして近くにいるなら盾代わりにできる。


「いいぞ。ラッシをすぐに始末してやるから、身体を張ってライラの攻撃を止めてくれ。泣いてでもいい」

「ええ。数分だけ、仲間になります」


そういった思惑で了承していた。ほんの少し、夜弧への警戒を解いた。

次の瞬間。予想外なことが起こった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ