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RELIS  作者: 孤独
ライラ・ドロシー編
305/634

役割①

管理人の役割を今、実行するならばどれだ?



友達の復讐か?違反者の取り締まりか?



恋人と母親のどっちを救うみたいな、管理人なら誰だって迷いそうな二択だ。人間には到底理解できないだろう。

正義ごっこじゃねぇから、難しいんだよ。



「やっぱりお前は特別なようだな」

「げほっ。な、なめやがってよ」



彼に身体を焼かれながらもラッシは持ち前の生命力で立ち上がり、この場までやってきた。身体造りも素晴らしいが、恐るべき精神力も感じる。



「ふーっ。この野郎」



わざとトドメを刺さなかったな。魔力が尽きかけたからそうしたのか?

何ができるか分からねぇが、どうあれ生きたのなら最終的に殺して復讐を成す。



「か、管理人」



夜弧はラッシの登場に顔を青くした。ここまで必死に避けてきたというのに、自分を理解してしまうような管理人と出会ったからだ。

夜弧は震えた手でお腹を擦った。

一方でまだラッシは彼のことに意識を向けていた。炎の中で隠れつつ、守っていやがる。



「気にいらねぇな!」



一直線で放たれた竜巻は燃え盛る炎を凪ぎながら、彼へと飛んでいくのだった。しかし、それをまともに喰らってやるわけがない。



「がむしゃらだな。それでは届かないぞ」

「はぁっ……はぁっ……」



彼はラッシと戦う気は今のところなかった。ラッシを利用するため、生かしておいたのだから利用できるまで使う。

一方で夜弧は悩んでいた。まだラッシが気付かない内に逃げることも出来るが、逃げた後で戦線に戻って来られるかは分からない。

そして、この悩んでいる間に離脱を許しそうにない人物まで到着してしまった。



「遅れたわ!夜弧!」

「ライラ!」



ちょっと、早過ぎる!まだ考えが纏まらないのに!

ここで管理人に私の"正体"がバレてしまったら、大変なことになる。



「俺の方にも役者が揃って来たか」



ブライアント・アークスからしたら、1VS3というとんでもなく苦しい状況に思える。元気な奴、死に掛けの奴、悩んでいる奴。いろいろといるわけだが、さして数に怯える必要もない。奴等がバラバラになっている。



「ラッシもいるようね」

「ええ。そうよ」


とてつもなく、変則的な戦闘だった。

仲間同士に見えて、敵同士にもなり得る組み合わせばかりだ。

3人は仲間というわけではない。協力者に過ぎない。


「…………なによ」


ここに来たライラもすぐに覚悟していた。夜弧とラッシと同じ覚悟だ。この中に仲間はいないという空気を察した。

バトルロワイヤルにしては仲間意識がありそうでなさそうな……。とりあえず、パイスー VS 桂 VS ポセイドンのような、本当に敵同士で力をぶつけ合う状況ではなかった。



「ライラ。悪いけど、ここまでにさせてもらうわ」


悩みながら夜弧は決めた。

自分の"正体"が世界に報告される前にラッシを殺す。そうしなければ、自分を守れなくなる。目的を果たせなくなる。



「あれはライラか……それと……?あ?」



ラッシはついに夜弧の姿を確認した。

悪気はないんだろうが、ライラが夜弧の近くに降り立ったことが原因でラッシの視線が一度向いたのは当然だった。

そして、夜弧を観て気付いたことがあった。



「あ!?」


もう一度、夜弧を観てその驚くべき謎に目を凝らしてしまった。



夜弧はこの目で会った管理人としたら、桂、蒲生、龍、ヒタス、グルメの五人だった。

確かに出会ってはしまったが、彼等と会った状況がとても流される時だったからだ。



桂、蒲生、龍はハーネットという、重要な人物の殺害を行う任についていた。だから、言い方を悪く言うと、三人は夜弧を見逃していたのだ。そもそも、3人とも遠目で夜弧を見たに過ぎず、そこから正体を掴むのは難しいのだろう。すぐに隠れたし。(蒲生にはバレたかもしれないが、殺したことで帳消しである)

ヒタスの時は、彼がブライアント・アークスに敵意を向き出しにし、自分のことを見ていなかったら。グルメは元々、人間であったため出会っても平気な管理人。



しかし、今は違っている。完全に夜弧の"正体"をラッシは掴んでしまったのだ。



「ど、どーゆうことだ!?テメェ!!」


ラッシは夜弧に指をさしながら、復讐を忘れるほどの声を上げた。


「知っちゃいましたか」


完全に"正体"が割れた夜弧は静かに身体の向きをラッシの方へ向けた。



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