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RELIS  作者: 孤独
”未来科学”フォーワールド編
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ライラ VS ラッシ+クロネア


時間帯は夜だった。春藍の寮室から外を見た時、灯の数が多く昼間と対して差はなかった。

ライラは変装する手もあったのだが、この内部での戦闘は限りなく0だと睨んでいたため、変装という手段をとらなかった。

おそらく、管理人達は外を警戒するだろう。自分がこの世界にやってきたやり方は広い場所に出なければいけないからだ。

加えて、この世界の労働源である"技術開発局"を破壊しかねない事はライラも管理人も望んではいない。どちらも世界を破壊する事を望まないからだ。



走っている間、春藍以外の人間達とすれ違う。自分の恰好とは全然違う、職人のような恰好(作業着)をしている人達だ。自分がとても場違いであり、不思議な存在と思うはずなのに彼等はライラに目は合うものの関心という物がない。

これは意外と好都合であり、ライラの足を止める存在は"管理人"達だけであった。

外に出られる扉の前に辿り着き、ガサツにぶっ壊して外に出たライラ。



「!!」



外の景色は自分のいた世界とは全然違う。

灯の多さ、生き物を用いない乗り物の数々、見上げるほど高い建造物の多さ、巨大な橋が沢山できている。

華やかというか、進んでいる技術だという印象があった。

あんなにも高い建造物、理解できそうにない乗り物があるにも関わらず、人があまりにも少ない事から華やかさがまるでない(夜というのもあるが)。むしろ、自分の世界の方が華はあるだろう。

外に出れば3分も掛からない。

ベンチェルロ広場は技術開発局が取り囲むようにできており、ライラが見ている建造物や橋のほとんどが技術開発局に繋がったり、関係するものであった。

そこへ出る道はとても綺麗にできている。しかし、



ガシャアァァンッ


ウイィィィンッ



「"科学"の生命体って奴?機械兵器?」


ライラの侵入に気付いていた"管理人"達はすでに外に"科学"の生物を放っていた。

この技術開発局で作られた対人間用の兵器。

そして、その科学を操作するのは管理人の3人、ゼブラと今井、麒麟。

いや、彼等だけではない。勢揃いしている管理人達。


「桂さんの世界の子です。なるべく生け捕りですよ、ラッシ」

「ふん、少しくらいは手加減してやるよ。生きていれば問題ねぇんだろ?クロネア」

「そう言って大火傷させて死なすかもしれませんよ」

「一刻も早く、彼女を止めませんと。桂さんの弟子は派手かつ広範囲な魔術ですよ」

「こちらも油断はできません」



ベンチェルロ広場の中央に集まるクロネア、ラッシ、ゼブラ、今井、麒麟。この世界の管理人達が迅速に行動をとれたのは事前に桂という管理人から連絡があったからだ。ライラはいろんな世界に行っており、その世界で結果として暴れて世界を移動していた。

広い場所を抑えればライラは絶対に彼等と戦わなければいけない。



クロネア

スタイル:魔術

スタイル名:クロツグ



ラッシ

スタイル:魔術

スタイル名:ライヴバーン


ゼブラ

スタイル:科学

スタイル名:教育機関



今井

スタイル:科学

スタイル名:資料整備



麒麟

スタイル:科学

スタイル名:情報処理



フォーワールドという世界は、人間同士が争う世界ではない。彼等が"科学"を作り出すことはよくあるが、それを"管理人"に向けないようしっかりと教育されている。

よってゼブラ、今井、麒麟の三人は戦闘向きの力を持っていない。作られた"科学"を操って戦うしか手段はない。実質の戦闘要員はラッシとクロネアのみ。




ドウウゥゥッ



ライラは自分の足の周囲に"雲"を発生させ、見上げるほどの高さの建造物よりも高く浮いた。世界を、管理人達を見下ろす。その間にドンドン自分の魔力を放出して、雲をドンドン作り出す。


「"ピサロ"」


ライラ・ドロシー

スタイル:魔術

スタイル名:ピサロ


天候を操作する魔術であり、雲を基盤として、雨、風、霧、雷などを発生させる事ができる魔術。

室内の戦いは"ピサロ"をフルに使えないため、外での戦いは望むところだった。

一方、フォーワールドの"科学"は大分先に行っている。


「俺がいく。足場を作れ。ゼブラ、麒麟」

「了解」


ラッシはゼブラと麒麟が操作する科学兵器の上に乗る。手っ取り早く言えば飛行機。役割は空中に足場を作るだけの物だった。飛行できる平べったい科学兵器。

ラッシとここで作っている科学兵器を比べれば、ラッシが圧倒的に強い。


「周囲を壊すなよ」


科学のほとんどは電撃に弱い。ラッシの魔術は雷もあるため、科学使いとの相手は非常に相性が良かった。


「向こうにも言ってやれや、クロネア」



ドゥゥッ


ラッシがライラと同じ高さに辿り着いた時、ポツポツと雨が降り始めた。

ライラが放った雲からの雨…………。ライラは自分よりも上に雲を作っていて、ラッシも射程距離に入れていた。


「科学兵器による援護は?」

「必要はない。我々は下で落ちてくるライラを捕獲するだけで十分だ。流れ弾がラッシに当たる危険もあるしな」


今井の質問にクロネアは答えた。ラッシとは長い付き合いがある(管理人は人間より長寿です)。この世界は戦いがない世界であるが、ラッシの強さは管理人内でも上位には食い込む。魔術の使い方が上手いライラでも勝てる相手ではないと、クロネアには分かっていた。

とはいえそれは、地上での戦いの場合。戦場は空中だ。雲の上も移動領域なライラと、科学兵器の上でしか動けないラッシ。戦場的にはライラが若干有利。



「あんたがラッシって管理人ね」

「そうだが。今は管理人じゃねぇ。テメェをぶっ殺す処刑人なんだぜ」



魔術同士の対決であり、ほぼ同じ能力の対決でもあった。

ラッシは右の拳を溜めるように動いてから、



切り裂き殺風トルネード・ザ・リッパー!」



瞬間風速はライラとは比べ物にならない。ライラほど範囲は広くないが、力がまるで違う。

右腕から放たれ、発生させた極太な竜巻はライラを飲み込もうとしており、彼女を囲んでいる雲すらぶっ飛ばす。



『吸収雲』



自分の体の周りを保護するようにライラも雲を作った。自分の体も雲のように動くことによって、竜巻内に入れば木っ端微塵にされる攻撃を避ける。

雲は吹っ飛んでも、千切れても、ライラの魔力が入っているため再生も呼び戻す事も可能。

風ではやられない。

そして、雲や風だけではない。すでに落としている雨もライラが操る。


「霧散方位」


モヤモヤと落としていた雨をより細かく濃く、霧として変える。

自分の視界も奪う事になるが、ラッシはもちろん。ラッシの足場を操るゼブラ達の視界を奪ったのはデカイ。そして、ライラは視界は奪われても霧内は自分の魔力が入っているため、ある程度の探知もできる。

ラッシが放つ風も一定範囲内。全部の霧をぶっ飛ばすのには時間が掛かる。



「おい!見えねぇぞ!!戦わねぇと、殺せねぇだろうが!!これじゃあよ」


殺戮になっちまうだろうが、……小娘!!


ラッシの左腕で光りだす。

ラッシの"ライブバーン"は右側が風を起こし、左側が雷を起こすようになっている。

単純な構造であり、ライラと違って広くはないが極端に強い。先ほどの竜巻もまだ小手調べ程度。


俺様ライブの日曜日ボルティング・ルーエリス!!」


雲に蜘蛛の巣を掛けるような、広がり方。

左腕から放たれた凶悪な雷はとても広く強力で技術開発局はもちろん、周囲の橋にも激突し、砕いて焼いてしまった。

その光景が出来上がってから。



ガゴオオォォッ



地を揺るがす衝撃と音がやってきた。直撃した橋の崩れた音も混じった。

威力が桁違い。誰からも恐怖される理由が分かるほどの、強さだった。


「はははは!久々に爽快、痛快だぜ!!」


雷は横方向に飛んでいた。ライラはさらに上から。

強烈な破壊に快感を持っているラッシの真上から、彼に負けないくらいの稲妻を



「飛雷!」



バヂイイィィィッ


ラッシの真上に落として、足場も破壊し地上へと落下させた。

作り出した雲をさらに上空へと上げて、ラッシの攻撃を回避して反撃させてみせた。



「いやいや強い」

「!」

「けど、残念ながら。君はここまでだ」



ラッシを倒したライラであったが、いつの間にか近くにいるクロネア。霧で見えないが近くにいるのは分かる。声も聴こえるほどの近い距離にいた。

一瞬で距離を詰められた。時間を止めると春藍は言っていたが



「俺にやらせろ、クロネア。一撃を入れやがって」

「ラッシしかいないじゃないですか」

「へ!?」


時間を止めるとか言っていたのは、このクロネアって管理人だけでしょ!?なんで、ラッシまで瞬間移動してるのよ!?マズイ、背をとられている!



先ほど、雷を直撃させ、地上へと落ち始めたラッシがもう自分と同じ高さどころか目の前にいた。霧が出ていても見える距離。



「くたばれ、小娘」



ドオオォォッ


「うっ……あ……」


両腕による風と雷の波状攻撃。やられた攻撃の倍の威力でライラを襲ったラッシ。

魔力や雲、工夫ではどうにもならないほどの瞬間的で高威力。

一撃で意識を奪われ、身体の自由も効かなくなるほど。ラッシの攻撃は容赦なかった。自ら作った雲は消滅、地上へと落下するライラであった。




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