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RELIS  作者: 孤独
ダネッサ・オルトゥルス編
286/634

そいつは飛び降りた

「うおおっ!?」


ダネッサは新入りの破壊音と衝撃に目が覚めて飛び起きた。



「なんだなんだ?もう敵が来たのか!?」



普通。目が覚めたときに、街が崩壊していけば悪夢と感じるだろう。しかし、ダネッサはそう思わずに高揚として、槍の科学、"櫓図"を握り締めた。


「俺のところは来たのか!?」


とっくに通り過ぎたのだが……。ダネッサは持ち場を離れずに気配を探り始めた。隠れられるところが多い、この建物街は敵に気付かれずに見つけることもできる。



ドスゥッ



"櫓図"を地面に突き刺すと同時に、それを高く伸ばして上空に向かったダネッサ。隣の高い建物の屋上までやってきて、春藍と同様に上から敵を探る。



「おーーっ、新入りとあいつも戦ってるのか。おい!俺だけハズレじゃねぇか!敵はどこだ!?」



戦況が見えない両者の派手な戦い。ダネッサの目は羨ましさから少し奪われるも、自分の持ち場を覗いてみればすぐに敵を認識した。


「あいつは……あの時のガキか!ハズレじゃねぇな!新入りに向かおうとしているな!?」


せっかく、屋上までやってきたというのに。すぐにダネッサはこの建物から飛び降りて地上で走っている春藍を追った。

上から敵がやってくるなど、春藍には想像もできておらず。他の戦闘を察知したことで自分への危機感がなかった。そこへやってくるダネッサの攻撃は外さなければ、決定打となっただろう。

槍は春藍の背中にめがけて伸びていき、あと少しで串刺しにできるところまで迫った。



バヂイイッッ



「えっ!?」


後方から発した銃声と合わさった衝突音に、春藍は振り返った。



「お……あ!やべぇっ!俺、このままじゃ地面に落下するぞ!!」


一体何を言っているのか分からないダネッサ。お前が屋上から飛び降りたのだろう?そうだろう?なのに、地面に落ちることを考えていなかったアホ。

思い切り地面に衝突して痛がるダネッサ。



「ええっ!?い、いつの間に敵が……」



春藍の足は止まり、落ちて来たダネッサと交戦しようと戦闘体勢をとったが……。



「あのー!春藍様も、そこの馬鹿も!こっちに気付いてください!」

「……え?」

「おーっ……痛ぇっ」



建物の影から三日月の仮面を被った夜弧が、拳銃を握り締めて現れた。夜弧の銃撃が春藍のピンチを救っていた。射撃の腕前は中々のようだ。



「夜弧!来てくれたんだね!!」

「春藍様!少しは周囲に気をつけてください!ここには敵が多いんです!」



夜弧はゆっくりと歩きながら春藍との距離を縮めていく。ダネッサは立ち上がり、2人相手という状況を警戒していた。馬鹿とはいえ、この状態になると手強い。純粋な強さはかなりある。



「思い出した。お前もあの時の奴だな。あの時のあれだ。そのあれだ」

「思い出してないじゃん」

「あ、あははは。なんだか、少しダメな人達で固まったね」


自虐か!?


「春藍様、笑い事じゃないです!もー……」



ダネッサにはライラが見えていなかった。故に4人目が夜弧ではないかと、推測してしまった。一方で春藍達からすれば二つの戦闘は3人に絞られたということだ。

このまま2VS1でダネッサを倒すことは定石だと判断するべきだったが……。



「ここは私に任せてください」


夜弧は春藍には戦わせないため、守るように前にスッと出た。

これには春藍も?を浮かべて


「え?いいの?」

「それは危ないよ!夜弧!……とかじゃないんですね」

「ご、ごめん」


心配してくれないのは天然なんだと思う。夜弧がダネッサとの戦いを望んでいるわけではないが、事情がいくつかあったからそう言った。

夜弧は管理人とは協力できない密約がある。ここ以外で始まっている2つの戦闘の内、1つは管理人のラッシである可能性が高い。その可能性はものの見事に的中。向かった先で援護ができなければ彼女は無駄足でしかない。

もう1つにダネッサの強さを考慮すると、戦闘を回避できないこと。こうして遭遇した以上、ダネッサを別の仲間と合流させる危険はなくしたい。また、2人がかりでダネッサを高確率で倒せるとはいえ、どれだけ早く片付けられるかは戦わなければ分からない。ここで討つにしろ、足止めを図るにしろ、夜弧か春藍のどちらかは戦わなければいけない。



「それでも、私に任せてください!」



管理人とは遭遇できないならば、春藍達は別行動をとって暗躍するべし。

だから、ダネッサとの一対一が夜弧にとって都合が良い。春藍の能力も考慮すれば、彼は援護にも治療にも長けていて頼もしい。



「私が怪我をしたらまた治してください」

「……うん!大丈夫だから!勝ってね、夜弧!」



春藍は目的地に向かうため、走っていく。ダネッサも1VS1の方がやりやすいと判断し、春藍が消えるまで警戒しながら待っていた。

やりやすくはあるが、屈辱もある。



「舐められたもんだぜ」


ダネッサはややキレている。それに対し、夜弧は自信のある発言。


「春藍様がおられなくても、あなたに勝つことはできます」



夜弧 VS ダネッサ。

拳銃使いと槍使いという組み合わせのタイマン。

綺麗に三箇所のタイマンとなった戦場の図。



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