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RELIS  作者: 孤独
朴編
272/634

自然災害が分かっていたら

ビビビィッ



ポセイドンの"テラノス・リスダム"は"無限牢"にも影響を与えることができる。朴が引き寄せたアーライアだが、彼がここまで持ってくるまでにアーライアに飲まれて消滅した異世界をいくつも確認した。

消滅した空間を並び替え、エクスピーソーシャルの周囲は"無空間"と言って良い異世界がいくつも並んだ。"SDQ"の総量よりも、この"無空間"の広さが大きく上回った。

それでも"SDQ"が外部に漏れないよう、外側に厚い障壁を建造する。



「くっ……」



ポセイドンの負担は大きい。朴、龍、ベィスボゥラーなどと戦っていた影響がある。

それでも時間内に巨大な異世界を築くため、弱音は吐かなかった。それにポセイドンのため、あの桂が必死に刀と肉体だけで"SDQ"と戦っている。



バヂイィィッ



桂の戦いで激しい音と火花が起こった。桂に降り掛かった"SDQ"が彼の体を激しく焼く音。管理人最強といえど、自然災害には強さなどないに等しかった。

一部のダメージが、桂の動きを鈍らせたのは確実。それに加え、"雷光業火"の連発は桂の体に大きく負担をかけていた。



「はぁっ……」



6時間か。


「長いな」


桂、ポセイドンも死力を尽くしている。

しかし。災害はやはり想像を超えている。おおっ、すげー怖いなー。という無駄に凝った映画のような演出など何もなく、ただ単純に襲ってくる災害だからこそ脅威。

そして、この脅威が徐々に成長していくという未曾有。



チャキィッ



「もうないぞ」

「分かっている。拙者とて、焦ってはおらんぞ」



もう桂が手にした刀が最後。にも関わらず、残り時間は


「あと5時間。どう凌ぐとするか……」

「とにかく凌げ。それしかない。こちらの準備はまだまだできていない」



2人は、"SDQ"が成長しているというより学習しているという考えだった。

桂の、"雷光業火"+抜刀を活かした単純なぶっ飛ばしを封殺するよう、性質を意図的に変えていることを悟る。

とにかく、"SDQ"に触れた刀が瞬時に腐ってしまい、桂は次の刀を手にするしかなかったのだ。

この学習能力は災害とは言いにくい。



「"SDQ"に、生物型(意志がある能力)が動力として宿る可能性はあるか?」

「なくはない。あれは全ての集合体」



災害が自我を持つ?笑えない。

しかし、その可能性は限りなく低いとポセイドンは見解している。



「だが、"SDQ"をコントロールするなど。絶対にできん」

「成長、学習、増加があっても否定するのか?」


2人がふと浮かべたのは、前の戦いで死亡した管理人、ヒタスの能力"支配拳"。彼は自然すら支配することができ、自分の意志を受け継ぐ存在を作り出せる。

彼の暴走と今の"SDQ"は非常に似通っていた。

だが、2人が詮索する間にも押し寄せてくる。



「予定より壊すぞ」



問答無用で桂はポセイドンを掴んで、"雷光業火"で上空に連れて飛んでいく。


「貴様!ここで塞がなければ大変な事になるぞ!」

「理想を言っている場合じゃない。今は、ポセイドンしか"SDQ"を止められない」



"雷光業火"のスピードには"SDQ"も追いつけない。不規則に動きながら、確実に安全な場所まで逃げる道を選択する桂。



「さらに遠くへ行くぞ」



"SDQ"がないところへ、物理的に数多の異世界を突破して逃げる桂。少し後ろを気にしたのは"SDQ"が自分達を襲うため、動き出すかという可能性だった。しかし、そんな可能性は0であり、災害は災害として雪崩れ込んだ地を荒らした。



「この辺で大丈夫か」

「……離れ過ぎだ。さらに被害が生まれただけだぞ」



安全地帯を確保した時。ポセイドンは再び構築に移った。この時間だけでさらに異世界を失った。だが、桂が"SDQ"を相手にもう戦えなかった。相性の悪さもあるが、"SDQ"が相当な災害。



「ふぅーー」

「一息つきおって!」

「仕方あるまい。拙者もおぬしもまだ少し死ぬには早かろう」



ポセイドンの構築を傍で見ながら、桂は戦った感想を吐いた。



「あれが災害とは言えないな。生き物とも違うが、拙者達を操るようにいつまでも居座っている」

「その答えは?」

「"時代の支配者"は1人じゃない。いくつの因果を惹き付けている。"SDQ"はその一つ。これを使って、自分の未来を作ろうとしている」



真っ当な答えは確かな災害。だが、桂の見解は当たり。



「"時代の支配者"が見ているシナリオは命だけじゃないんだろ」


それが当たりだ。なら、どんだけ。この後ろに控えている者は異常者か。未来の災害を見て来ただけじゃなく、それによってどれほどの被害が起きるかまで。細かく知っていなければ未来は作られない。



「ここからなら成功する。不安があろうが、ポセイドンが隔離空間を作れる」

「貴様も生き残るか」

「もう管理人は4人、管理社会は終わっているんだ。これからはケジメをつけるだけ。"何が"次を継ぐか決める」



スタートダッシュだけ、考えれば桂が圧倒的優位。

しかし、それをさせまいと2人に近づいてくる二人の男がいた。



「ポセイドンは討たせない」

「桂がいくら強かろうと、これだけ弱ってれば二人相手はできねぇだろ」



黒い龍の仮面をつけた大男の博士と、ダネッサ。

ポセイドンは桂が"SDQ"と戦っている間に自分の位置情報を送り、自分の回収をお願いしていた。桂が自分を連れて別の異世界に移動した時はかなり焦ったが、偶然なのか、それとも話し合っていた奴等のせいなのか。2人が待機していた近い異世界に桂が来ていた。



「ホントに偶然だな」

「だろうな」



戦えないポセイドンでも、桂が殺せない理由が今の時間にはある。念のため残した刀はあるものの、実力派の2人を相手にするのは難しい。また、その気もなくなった。

準備もまだいろいろある。



「ポセイドン、休戦だ」



桂はポセイドンの部下達に刀を向けながら宣言する。破棄すればどうなるか分かっているなと、アピール。



「予定通り、拙者等とお主等の戦争になる。その前にお互いやれるだけのことをしなくては、死んでも死にきれない」

「そうであるな」

「管理社会が変わる影響を考えれば1週間以内での決着が理想。お主は場所を決めろ、拙者は"跡継ぎ"を用意する」



一時は協力した二人であったが、もう組みことはないだろう。

朴達は先に散った。残るのは桂のやり方と、ポセイドンのやり方だけ。どちらがこの先を操る権利を握るかは次の戦争で決まった。



「では、その時に会おう」



桂は"雷光業火"でこの場から立ち去った。"SDQ"はポセイドンの手によって一時的止められたと考えれば、二人は大仕事をしたと言えるだろう。



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