ポセイドン + 桂 VS SDQ
災害を乗り越えるとは。
「NO」
災害によって壊れ、長い時によって復元できたことになっていた。苦を乗り越えたと、……なるほどと。我々は災害に負け、姿を消した間に戻しただけか。
「IT DO NOT BE WRONG(それは違うな)」
弱者を知る管理人ガイゲルガー・フェルは被災者に夢の冠を与える。"SDQ"だけではなく、災害は数多く存在した。親族を奪われ、居場所を奪われ、事実上の命の脱落を救済する手引きを始める。
一人ぼっちや、孤立を変える。
奴隷や社蓄、実験台……。人間という素体は有効活用する。それが正しいと洗脳してやるのは簡単だった。なぜなら、災害という恐怖は生命の警報音を生んでおり心が弱り切っているからだ。
「YOU MUST SUCCMB TO A NATURAL DISASTER(天災には屈しなければならない)」
乗り越えるという言葉は、災害にはない。人間にしかない。
単純に、現状を受け入れたに過ぎない精神。現状を変えたに過ぎない復興。
ただのプラス思考。
人間が進歩するように災害も長い時を経て進歩し、想定を上回るのだ。
まだ、誰も本当の災害を止めた存在はいない。
「?で?」
ポセイドンは赤ワインを彼にぶっかける。たったのこれっぽちで彼が怒ることではない。
「お前は止められなかったな」
「殺されたいのか?」
「それが屈したのだ」
ポセイドンがアーライアの管理から降りた時。科学使いの中では、ポセイドンの派閥にはいなかった管理人の連中と出会っていた。
「きゃはははは。管理人に夢、見すぎなんだべ!!」
「粕珠」
「ポセイドンが無理なら"SDQ"なんて、一生解けないべ!」
幼女がガブガブとウィスキーをラッパ飲みする粕珠は龍以上に悪い大人だ。様になってやがる。
「テメェが2人いたら違ってるかもしれねぇーべが。足掻きが変わる程度だべ」
「無理な協力など無意味だ」
この二人の実力は買っていた。しかし、その時の自分をポセイドンは恥じた。失敗を受け入れられず、こいつ等に頼むのはとても間違いだった。
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「我の難敵がもう1人」
「拙者の難敵がもう1人」
2人は仲が悪い。だから、共闘なんてありえない。パイスーと戦った時も、隙あれば首を狙いにいった。お互い、1人だったら不可能だった。今、どこかで高揚している。彼等しかいないところで見せる。
「2VS1」
「合わせれば」
管理人最強タッグ。
「無敵だ」
桂の"雷光業火"、ポセイドンの"テラノス・リスダム"。
雪崩のように2人に向かっている災害、"SDQ"を相手に真向から力をぶつけて撥ね退ける。
カチイィンッ
刀が鞘に納まった音だけが残る。桂でも"SDQ"を斬るという所業はできない。あまりにも小さく、斬れたとしても"SDQ"がさらに小さくなるだけで無意味だからだ。
桂がやれることは刀で吹き飛ばすことだけ。
無音のまま、大量の"SDQ"を一振りで吹き飛ばす。
「ポセイドン」
「なんだ?」
「刀を大量に作れ。やはり、"SDQ"が相手では数回で刀がダメになる」
「偉そうに……物がなければ無力とは超人の恥め」
桂は持っている刀を投げ捨てると、すぐにポセイドンが桂の手に握られるように造られる刀が出現する。
「ご苦労だ」
桂の一振りは確実に迫り来る"SDQ"を吹き飛ばし、刀が壊れてもポセイドンがすぐに調達する。簡単には2人が死なないことを証明していた。
「貴殿の見解を聞こう」
朴がやったことは致死毒の入った壷を壊し、ばら撒いたことと同じであった。拭くにも拭けず、放っておくこともできない。
管理人の最高責任者として、管理人の用心棒にタクトを振るう。
「無空間にする」
「それは理解できるが……」
「我がテラノス・リスダムを用いれば隔離空間も可能だ。そもそも、朴がエクスピーソーシャル周辺の異世界を破壊させている。巨大な空間はすでに確保できていると言って良い。巨大なアーライアをまた造れば良い」
被害0は不可能。むしろ、最小被害を導くポセイドン。成功ができないと判断した場合、わずかでも失敗しない選択をとらなければならないのだ。
「ふーーっ、我がいなければ死んでおったぞ。人類」
とりあえず、今は。
「桂、指令を出す。"SDQ"をしばし食い止めろ」
「承知した。ポセイドン」
ドドドドッと、これ以降桂の援護はしないと伝える物が積み重なる音。出来上がる刀の山、その数365本。
「1分、1本だぞ」
「6時間と少しか」
"テラノス・リスダム"のフル稼働。それはポセイドンの難敵、桂を相手にしてはいけない。また、桂も……。なんて、また考えるのはもう当たり前か。今の2人は管理人として立っている。
お互いの命を護るために力を合わせているわけじゃない。
人類を護るため、この災害をここで抑えるつもりだ。




