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RELIS  作者: 孤独
朴編
267/634

ゴミはゴミ。触りすぎると手が汚れるぞ。

整理整頓ができない。

記録が頭に流れて込んでくると自分がなんなのかを一瞬忘れる。今、ポセイドンの頭は記録を読まされている。読まされているという感覚は苦痛でしかなく、それが頭を痛めるとしたら即座に止めたい。楽しくてもできないことだ。すぐに切って良いぞ。



見えず、暗い、深海に潜り続ける体験を比喩するポセイドン。



「一面、ゴミばかりだ」


書物だけで全ての深みが平坦を超え、山となりそうだった。これまでベィスボゥラーが記録していたものはかつての歴史、進路などを含め膨大だった。



「にも関わらず、我が求める物がこの中にある」



ただ1人で宝石を捜す物語。でも、それは彼にとっての序章なのだ。


「はるか前の歴史」


ポセイドンは未だ、隠れている"時代の支配者"を探すべく過去を覗きたかった。この寿命を費やしてでも歴史を知りたかった。

特に、とある戦記。


「"全世界で最悪最凶な戦争"」



この時代から、"時代の支配者"が存在していたとされる。

それはポセイドンが知る奴の足跡だった。前人類は記録するも、それを最後に捉えることはできなかった。ベィスボゥラーの中にはいたという記録だけが残されており、未来からとうに消えていた。

ポセイドンはその時代に存在し、史にわずかでも刻んだ者達を調べ尽くした。

戦争で生き残った者、死ぬまで暴虐を尽くした者、常に護り続けた者、破壊しか知らぬ者、最強を求めた者、支配を求めた者、自分のみを考えた者、観測した者、戦争を生み出す者、夢を見て叶える者。


だが、多くの目的と意志があったにも関わらず、この戦争で勝利した者はいなかった。多くが勝ち負けなどどーでもよかった。




「アシズム」



容疑者は多くいる。


「赤沼純介、阿部のん、天草試練、安西弥生、アンリマンユ、勇薙、伊賀吉峰、出雲安輝、ウィレ・サッチ・ウィークン、裏切京子、大野鳥夜枝、沖ミムラ、木見潮朱里咲、キャム・パテルマン、キルメイバ・フレッシュマン博士、工藤友」



誰がどーゆう奴かまでは詳しく書かれていない。記述が少ない者の方が多い。




「鮫川隆三、慈我、ジェルニー・ギーニ、瀬戸博、センラン・カグラ=ベリス、ダーリヤ・レジリフト・アッガイマン、酉麗子、トームル・ベイ」



記録では全員、死んだか。行方不明。



「ヒトニス・ホフニング、広嶋健吾、藤砂空、福道春香、松代宗司、三矢正明、宮野健太、メテオ・ホール、山本灯、山寺沙耶、山寺光一、弓長晶、リガー・ロペス、林崎苺、ラスト・ララチェール」




今なお生きている者はいない。



「ラブ・スプリング」



……。

それでもなお、いるということは死んでいないということか?

違うな。生きているとしたら、我々がどれだけ奴に遅れをとったか。不覚にもほどがある。また、生命の構造上。億を超える年月に耐えられる生命体はいない。

それは絶対にありえない。でも、いるのなら



「答えは一つだ。貴様は自分が造られることを知って逝ったんだ」



自分という魂を進む歴史に隠し、現在から消え失せる。つまり、我々が今歩んでいる道のりは奴が生まれるまで決まっている道筋。


管理人が誕生し人類が管理を望んだ事も、人類が緩やかに復活し、世界が安定したことも。"RELIS"の発症も、パイスー率いる黒リリスの一団が作られたことも、そして、我が管理人との決別を計ろうとするのも……。



「貴様が決めていた。だが、それもここまでだ!我が全てを断ち切り、支配しよう!」



今に生まれていないという事は未来に刻まれないことだ。ここまでどれだけ多くの現実が、奴の未来に繋げられたか。

"時代の支配者"は己の時代のため、別の時代を変革している輩。時も命も誰も、お前の好きにはさせない。


しかし、ポセイドンの読みの浅さがある。誰も"時代の支配者"が作り出そうとする未来が、どーいったものか分からないことだ。奴が現れるとしか分かってはない。


……………




「はぁぁっ」



ポセイドンの体はボロボロになっていた。栄養失調間近の面に、巨体を支えるのには相応しくない筋量。さすがに命を殺すことに特化した技を喰らえばこうなる。



「研究に余念はないんだ」



ポセイドンはベィスボゥラーから記録を見る想定でいくつもの実験を前もってしていた。

一つは"RELIS"の研究。科学の力によって"RELIS"を再現し、記憶と記録の齟齬のチェックを行っていた。

インティはその実験台であり、彼女から多くのデータを入手することができた。

もう一つ、ベィスボゥラーの能力をより研究することだった。そのためには披見体が必要であり、彼からデータを取り寄せていた。


そうした地道な努力の元、ベィスボゥラーの記録を知りつつ、自分の身を護ることに成功したポセイドン。

死力を出し切ったような体でその場に立っている。



「そうみたいですね」



ドゴオオォッ



弱々しい体に成り果てたポセイドンに強烈な飛び蹴りをかます朴。同時に彼と繫がっていた腕が外れた。

"超人"ではないが、格闘センスならば朴の方が上であった。持っている感覚が抜群に優れている。



「その防護服も、私対策のつもりですか?」



体が弱っていても、身を包んでいる装備が護っていた。しかし、もうポセイドンからの反撃を感じられない。進んでいく崩壊も近づく。



「私とは逃げられませんよ」


朴の打撃よりも先にこの世界が滅んで共に消滅できる。それが朴の読み。朴の想定だった。ポセイドンは逃げられないことを知っている。

だが、弱りながらも


「もう終わらす。心配するな」

「は?」



まだまともらしい手。朴とベィスボゥラーを殺害するという行動に移す。




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