龍管理人
炎が猛ける中。合図を受け取った両者は即座に動いた。
「"ラ・ゾーラ"」
朴ごと、消し去る!
馬鹿なことを逝く前に言ってしまったが、悪くはさせねぇ。俺が1番になったら、俺がポセイドンみたいな管理人にもなってやる。
だからよ。
後のことは全部、俺に任せろ!もう子供番組から卒業してやる!!俺は大人の龍だ!
ピイィィッ
「逝っ!」
まさに、"ラ・ゾーラ"がポセイドンと朴に向けられる刹那。
瞬殺の生殺与奪空間がポセイドンを覆うように現れ、それに反応しテレポートしてきた。黒い龍の仮面の博士が龍の背後をとった。
「けぇっ!」
「お前がぁっ!」
佳境に入る最中。お互いの目が合った。戦闘に特化していた龍は、この予想外を可能性に入れていた。集中を別方向に向ける速さが命を繋いだ。代償に、ポセイドンを覆った"ラ・ゾーラ"が解けてしまった。
ドゴオオオォォッッ
右腕を失いながら、敵と相対できた。焼かれた右腕を少しだけ見る龍。これといって痛くもない代償だ。次に邪魔者を見た龍は避けられない相手だと認識した。
「肝心な時に来たか」
「あれを避けるか」
すぐに始末してやる。お互いがそう抱き。防御はしなかった。言葉はなかった。
最大の火力。最大の魔力。互いが命を奪う必殺を攻撃ができる。
どちらもタバコを吸えそうになかった。勝ったら吸いたいと、世界の終わりで願った。イラつくすらできない、攻撃VS攻撃。
………………………………………………………………………………
人間は争う。多くの種族でだ。
人間というのは不思議だ。種族が同じでも同類ではない
管理人は争わないのか?無理だろ。
俺にはちっとも頭がついてこないぜ。
「まぁ。龍君は元々、低知能として造られているからね。残念に……」
「うるせー!全ての馬鹿を批判するんじゃねぇ!朴!!俺は天才になる!」
勉強はからっきし。知能をそこまで備えていない管理人の価値ってなんなのか、よく分からないけどよ。
それだからこそ、俺は力を手にしたという。人間にも、知能より体力に才が傾くこともあるそうだ。俺はきっと後者だった。
「世の中。人間は選ばれてしまっているとか、なんとかね」
「ふーん」
「龍くん。君だからこそ分かることは落ちこぼれを救えることだと思います」
「俺がそうだと言っているな。言っておくが、俺はお前より格と強さは上だ!」
「そんなところがです」
朴はむかつくが、天才だ。
管理人として隙がねぇ。
「おちこぼれの気持ちは超天才の私には分かりません」
「お前、死ね」
失脚からちょっと経ってから、どっちが上に立つか話し合った。だが、俺は朴より馬鹿だし、管理人としてはグルメがいなきゃロクにできねぇ。タバコや酒も無理してやって大人っぽくやっている。
桂やポセイドンと隣なんてできやしねぇ。
「鋭利に、できることを見つける」
「?」
「多くの人間はそれに気付くことすらできません。何ができるか、分からないまま死んでいく。龍くんは戦闘だけが取り得です。無理に座るのは遠慮したらどうです?私も、ご遠慮しますけどね」
「……空位で、桂やポセイドンは何も言わないか?」
「特別には言わないでしょう」
その時。空位が決まった。
しょうがねぇさ。朴に言われた通り、俺は戦闘のみが取り得。ぶっ殺すという究極系の役割を与えられていた管理人。
法によって裁く桂、世界を破棄する蒲生とも違う。
生命達が残した遺物をそのままに葬るための管理人。
戦争を力で無くす管理人。
闘いという場所なら、死ぬわけにいかない管理人。
「"暴"で作る平和か。俺と戦えば死ぬんだ」
正義も、悪も。その境界を見極められる目はないと思う。
でも、どっちだろうとぶっ飛ばす。俺がそーゆう奴だ。命を複雑に考えたことも、世界を複雑に考えた事もない馬鹿知能さ。
そんな俺だって、思うことはあるんだ。
………………………………………………………………………………
スパァッ…………
「タバコ……吸えた……………」
初めて咽ねぇぞ。……そりゃそうか……。
「酒は……………なかったか」
タバコ吸って、酒飲んで、麻雀して、特撮見て、……。
自由は楽しいって、知能くらいはあるんだよ。
「………………」
楽しかったな。俺が一番…………馬鹿で、遊んでばっかりだったな。
肝心な仕事。できなかったな。俺の取り得だろう。
ガランッ……
「あ、危なかった。ほぼ死んでいた……。ここが火の海じゃなかったら、こっちが先に攻撃をもらっていた」
黒い仮面の博士は炎の生成を使わず、場にある炎を操った。コンマを削った攻撃の速さが、龍の"ラ・ゾーラ"よりも速く焼き払えた。ポセイドンの間接的な援護があった。
「討ったぞ」
死闘と呼ぶには短すぎる時間であったが、お互いが死を覚悟した闘いであった。
大きすぎる金星。その戦闘力、特に攻撃力ならば最強に相応しい奴。
管理人ナンバー:004
龍。
敵と交戦し、焼死。圧倒的な戦闘力で多くの敵を葬り、地位すらもただ一つに尖る力でいた管理人、力尽きる。




