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RELIS  作者: 孤独
龍編
256/634

朴 VS ポセイドン

襲名すると同時に朴は宙へと飛んだ。そして、頂点に辿り着いた時に朴の背後に奇怪な魔法陣が発現した。



「亜空の魔手」



朴の"魔術"カスタネット・ギバンの詠唱が始まった。



「悠久しうる尊達を掴み断罪せよ」



詠唱を用いればその分だけ、強力な相殺を引き起こすことができる。

ポセイドンは高みの見物といったところか?朴に速攻を仕掛ければ戦闘を優位にすることができただろう。



「されば遊の世は回顧せん」



あくまで戦闘だ。しかし、この場は戦争だ。

朴の本心はポセイドンには読み取れていた。



「見せてもらうぞ、朴。"ワールドクラス"の技をな」



朴は敵味方もろとも、ポセイドンを葬り去る気であった。ポセイドンも朴の本気を初めて体験する。

規模は蒲生の"九鳥頭"同様、広大なものであった。

初手でやってくるのは戦況をもっとも単純に覆せるからだ。そして、多くの死者を生み出すことはポセイドンにとっても好都合であった。



「ファイジャッパー!」



バギイイィッ



詠唱終了と共に、このエクスピーソーシャルの空間に黒いヒビがいくつも生み出された。

そのヒビの奥から来る振動が流れ始め、地震に似た衝撃がこの世界を襲った。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



「な、なんだ?」

「世界が揺れているぞ!」

「揺れ!?違うだろ!揺れじゃないぞ!」

「四方から押されている感じだ!」



衝撃はやがて変化していく。黒いヒビは徐々に大きくなっていく。この向こうから"何かが"近づいてくる。

近づくほど、この世界を襲う振動は大きくなる。それと比例するように皆、周囲を警戒する。



「なんだ?」

「何が来るんだ?」



目に情報が入らない。耳と予感だけでは危機を回避するには頼りないものだ。

不安は大きくなり、現実になった時。多くが絶望する。



バギイイィィッ



「えぇっ?」



黒いヒビが壊れ、飛び出てきたもの。それは生物ではなく、たった一つの言葉だけで表すことができた。

異世界。それそのものが、エクスピーソーシャルに雪崩れ込んできた。

にわかに信じがたい。生き物であればどれだけ良かったかと、思わせるほど規模であった。



バギイイィッ



「と、隣の世界をこの世界に引き込んできた!」

「な、なんて能力だ!」



朴の"ファイジャッパー"は、"無限牢"内でのみ使用できる技。

朴が死ぬか、解除しない限り。この世界を磁力の中心としてするようにし、異世界を呼び寄せ相殺させる。

やってくる世界にはちゃんと人間もあり、文明も築いている。それを一瞬に無碍とし、単体で兵器として扱ってしまう。連れて来られた異世界の者達にはまったく理解できない理不尽だろう。

異世界と異世界の衝突はとてつもない爆発を生み、飲まれれば骸となる。



ゴオオオォォッ



衝突は横からとは限らない。四方八方から年中無休で異世界を引き寄せ、エクスピーソーシャルを破壊させていく。



「に、逃げろ!」

「無理だ!とてもじゃないが……避けれない!」

「防ぐなんてもっと無理だ!」

「攻撃が予測できず、規模が大きすぎる!」



多くの勢力が行動不能に陥る。命を繋ぐには戦争をするという理念を捨てなければいけなかった。

これによって散る命は多い。

しかし、いくら命を散らしても本命には通じない。



「相殺の極みか。良いものを見せてもらった。しかし、無差別で我を直接狙えないのが惜しいな」

「評価、ありがとうございます」



10分も経たずにエクスピーソーシャルに蹂躙される光景が広がり、時間が経つほど死者が生まれていく。

ポセイドンの首か、朴の首か。

どちらかが狩られなければこの破壊は止まらない。



「"暁狩り"。貴様にもまた、それ相応の科学を用意した」



ポセイドンが用意したのは対朴用の科学、"暁狩り"。

これだけの力を持つ朴を相手にここまで落ち着いていられるのは各々に対抗できる"科学"を用意しているからだ。


スタイル:科学

スタイル名:暁狩り

詳細:

印鑑型の科学。(対朴用の科学でもある)この印鑑には様々な能力が施されている。能力の発現は対象者や対象物に印章することである。

サイズはポセイドンが背負うサイズや、通常サイズの物まで用意している。



バヂイィンンッ



ポセイドンは"暁狩り"で壇上に印章する。



「速さと物量で圧させてやる」



攻撃は静かに始まっていた。打ち込まれたエネルギーは通った事を伝えずに潜行。朴の真下にエネルギーが辿り着けば自動的に衝撃波を発する。



「!っ」



ドゴオオォッ



「不可視の攻撃ですか!単純で厄介ですね!」


朴の"カスタネット・ギバン"は対処が難しい。

様々な攻撃にも相性が必ず存在し、朴の魔力はそれに反応し完璧な相殺を生み出す。アーライアで生存する彼の防御力は管理人一かもしれない。



「まだまだ終わらん。さぁ、防いでみろ!」



ポセイドンの印章はどんどん続く。

"暁狩り"から始まる攻撃は、バリエーション豊富、サイレントな流動、トリッキーな罠を製作可能、接近用カウンター搭載と、朴のためにある科学であった。

朴にダメージを与える単純な方法として、朴を意識外から攻撃すること。"カスタネット・ギバン"を乗り越えて朴に攻撃を与えれば効果的。



バヂイイィッ



「さ、さすがにポセイドン様。私用の"科学"ですか」



朴は攻めあぐねる。周囲に集中してなければ見えない攻撃に"カスタネット・ギバン"が対応できない。インティと戦ったような、移動距離を相殺する技は極力控えている。

すでにポセイドンを討てるように、初手の"ファイジャッパー"。時間が経てばいかにポセイドンといえど逃げることも防ぐこともできない。朴の攻撃における最強技。世界を滅ぼす技。

リスクはここから下げるべきだ。


一方、ポセイドンはまだ朴の狙いを掴めていない。




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