変わっていない
「お尋ねして良いですか?」
朴は優しそうな顔を作り、ポセイドンに問う。
「戦闘が始まれば中々口が開けません。ポセイドン様、そして、桂さん。各々、しかと考えてお答えください」
ポセイドンと桂を相手にする様は。朴もまた同じ椅子に座っていたことを示していた。
「管理人の結末はこれで宜しいのでしょうか?ポセイドン様の独裁が人類のためなんでしょうか?私は違うとここで述べます」
まだ言葉を使うのは自らの誓約を強固にするため。
「ポセイドン様のやり方は全世界を自分の色に染める。世界中があなただけになる世界を、世界とは呼べませんねぇぇ」
優しそうな表情は徐々に歪曲し始め、悪魔を催すピエロ顔になった。
抑えきれない戦闘の衝動を表情のみで2人に伝えていた。
「拙者は結末を待つ。加勢をするとは言わんが、ポセイドン側に加担したことは認めよう」
桂はスタスタと歩き、壇上から遠くの方を見つめた。龍やベィスボゥラー達が朴のために、必死にフルメガン・ノイドなどと戦っている。
「ここはお主達の戦い。かつての"代理戦争"だ」
「……蒲生さんが死に、"超人"側は一歩退いたのですか。人類が管理される前に起きた戦争の一つの続きを、我々管理人で作るわけですね」
「横槍はせん、誰にも邪魔をさせん。存分に戦うが良い」
朴は桂の言葉に残念だと言いたげる表情に変化もする。桂は朴からまるで逃げるように壇上から"雷光業火"で遠くの戦場に飛んでいってしまった。
完全なタイマンが実現していた。
「朴。我は桂にはすでに伝えている。お前にも伝えよう」
「なんですか?」
「我は世界を救済するため。この管理社会と人間社会に革命を起こす。我の科学力を持って、人類の害を全て取り除く。貴様等も我の世界に必要ない。リストラといったところだ」
そのためならばどんな手も使える。
「契機は今しかない。蒲生も死に、多くの管理人が散ったのだからな!」
「……そうですか」
「して、朴は何を持って我に挑む」
「私ですか?難しい事をやるにしても、あなたを倒すことに集中したいので。それからとしましょう。そして」
ブライアント・アークスを用いて残っていた優秀な管理人を殺害していた。それは自分の派閥の者であっても、切り捨てた。
"黒リリスの一団"との戦争で失った人材の補強は上手くいかなかった。管理社会には限界が来ているのは朴も気付いている。さらにこの、身内同士の殺し合いをすれば加速どころか終点まで一気に辿り着く。
「永らく空位にさせていましたが……」
朴はこの戦争の犠牲を考えない。
龍は朴がタイマンに集中できるよう護ってくれても、朴がを殺害しても構わないほど本気で行く。
「今ここで襲名させていただきます!ポセイドン様。私が最強の"魔術"使いの管理人、朴である!!」
RELISという病魔をきっかけとした不祥事により、"魔術"側のトップはいなかった。
その椅子に今、朴は座ってポセイドンと桂に並んだ。




