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RELIS  作者: 孤独
ヒタス編
241/634

灼熱死灰魔獣、ヒタス VS ほぼ全員

生命体には遺伝子や意志を未来へ託すために様々な手段をとる。

あるものは性交。あるものは書物に残し、あるものは教育をするのであった。



ヒタスは"支配拳"によって火山全体に自分の意志と記憶をも共有化させ、リロードした。

ヒタス自身はもう死んでしまった。しかし、火山全体は彼の意志を継ぎ。遺伝子を造り上げると同時に思想を実行する。




メギイィッメギイィッ



自然界が意志を持ってしまうことは恐怖でしかない。

火山はその役割を捨て、自由に動く術を手に入れる。山々が重なりあり、溶岩は動物の筋肉のように変化しあう。火山そのものが意志と自由な行動力を手にした、化け物。



コホオォォ……………



蒸気機関車のように火山灰が舞う。管理人、蒲生に匹敵する火山の巨人。こいつが呼吸するだけで火の粉と灰が降りかかった。




「化け物…………おそらく、ヒタスですか」



クロネアは結局ヒタス達と合流することができなかった。目の前に大きく立ちはだかる火山の巨人がヒタスであることも認識した。ヒタスが繰り出した火砕流は"クロツグ"によって防いでいた。



「救助要員の派遣もできませんね」



おそらく、ブライアント・ワークスも巻き添えになっただろうと判断した。新橋やグルメを探し出すことはクロネアの力では難しい。

なにより優先すべき事はヒタスの討伐だろう。彼は暴走している。このままではこの世界が潰れてしまう。

クロネアは大地の上から戦う。



「す、凄く大きな生き物がいる」

「魔物?……にしては違うようで似てるような……………」

「体が噴火してる生き物なんざ聞いた事ねぇぞ」



上空から春藍、ライラ、ロイがヒタスを確認。



「!」


その時、春藍達が向かっているダネッサがいると思われる地点で噴火とは違う粉塵が舞い上がった。



「はぁっ……はぁっ…………し、死ぬかと思ったぜ。クソ熱いぞ…………」

「ど、同感です。いやぁ……ホントにね」

「ケチェリ。お前はここで休んでろ。できるなら、大塚を捜せ」



ケチェリはダネッサにそのまま降ろされる。グルメもまた降り積もった火山灰から脱出ダネッサのおかげ

ダネッサとグルメは敵対するべき存在だが、先手を打つようにダネッサに話しかけたグルメ。



「ヒタスさん…………おそらく、死ぬ直前に力を使って火山を支配したのでしょう。とてもまずいですよ」

「なんで俺の方を向いて言う?」

「ふ…………。相手は考えた方が良いということ。私は正直、逃げ出したい。あんなのと戦う気がないし、あなたと戦うことも避けたい」



この状況ではダネッサを利用した方が良いという狡猾さをみせるグルメ。



「しかし、任務は全うしなければいけない。それが管理人です」

「結論を言え!」



槍を喉元に突きつけられても、表情に怯えを分からせない。



「まずはヒタスさんを倒しましょう。それから一つ、手合わせを願います」

「…………共闘か」

「はい。あの人は一番強くて、一番迷惑です」


ダネッサはここでグルメの喉を突き刺すのは簡単だと理解できた。しかし、グルメの表情とケチェリの打撃を軽々と耐え切った様子を見ていたダネッサにはそれができなかった。

魔力の多さも分かる。能力自体は未知数だが、盾として使うには十分かもしれないと……戦場に適した頭が答えを出した。


「……ま、いいだろう。確かにあいつを先にぶっ倒さないとこっちが死にそうだ」

「頭が良くて助かります」



良かったーーー!こいつ、馬鹿で良かった!!死ぬかと思ったぜ今!!俺、何もできねぇからな!!



心の中でガッツポーズをするグルメ。九死に一生を得ただけでなく、危機的な状況を守ってくれそうな奴がこっち側についた。


他がどうなっているか分からないが、管理人側は敗れた。とグルメは判断。


それだけは責を感じる。

だが、責を無くすように立ちはだかったヒタスと向き合う。



「…………………」



上手く行けばヒタスがダネッサを倒し、ヒタスも自滅するかもしれない。私がやるべきことはダネッサの味方をしながらダネッサを殺すことだ。正直、逃げ出したいし、私にできることはなんにもない。つーか、私はなんのためにこの戦場にいる?

あー、そんなとこ。考えるな。ともかく。私は一生懸命にやることだ。




クロネア。ダネッサとグルメ。春藍、ライラ、ロイ。三箇所は上手い具合に化け物となったヒタスを取り囲んでいた。3組共、一番の目的をヒタス撃破にしたのは当然だろう。



コフォオオォォッ



今なお、灰を降らせてマグマを飛散させながら、体が山を取り囲んで大きくなる怪物は危険極まりない。



「あの化け物にはどこを殴ればいいんだ?」

「分からないわよ、ロイ。けど、まずは私でしょ」



この6人の中で先手を出したのはライラだった。ヒタスの上空に暗黒色の雨雲を作り出す。本物の魔術は桁が違っていた。

火山を冷却し、山を海に変えんばかりの大雨はヒタスの体には苦痛だった。水に弱いというのが分かりやすかった。しかし、弱いからといってすぐに崩れるわけではなかった。

火山を取り込んでいるパワーはライラ1人では太刀打ちできない。大雨を打ち消すように強烈な噴火が起こった。ライラ達の方に飛ぶわけではなく、全方位に広がる噴火。



「マグマがこっちに来るぞ!」

「避けるくらいの操作はできるから!」



確信できることはヒタスにはライラの位置が掴めていない。視力という存在もないのかもしれない。苦しいから手当たり次第に放ったと思える。その手当たり次第のレベルが結構なものだ。



ザバァッ



「誰かしらねぇが、雨に感謝するぜ」



ヒタスとは違って水を貰えば強くなれるダネッサはライラの雨で体を癒した。火傷に水が注がれれば痛く悶えるだろうというのに、ダネッサは逆に治っていく。

力も沸きあがる。槍を構え、ヒタスに向かって一直線に突き進む。



「砕けろ!!」



巨体となったヒタスの体を真っ二つにした突きを行ったダネッサ。離れた二つが地面に落ちていった。




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