偵察部隊のいる戦場と蒲生イチオシの管理人
「温泉ですかー。入っても良いですか?」
「バーカ、観光じゃねぇよ。完全に破壊するために来てるんだろ?新橋」
ここにやってくる順番と時間はそれぞれバラバラであったが、しっかりと11名が揃った。
ピコーーーンッ
『私、ガイドシスター。あちらの方に標的のグループが潜んでおります。これから最適なルートを考案します。なお、近づくほど索敵される可能性が高まります』
「!みんな!ここにやっぱりブライアント・ワークスってのがいるらしいよ!」
リゾウの科学。"道案内姉"がブライアント・ワークスを補足。ある程度の情報があればこの能力で十分に位置を掴めるのであった。すぐにそこまでの距離と人数を把握。地図まで自動で作成。
ヒタス達、11人全員でブライアント・ワークスに向かうわけではない。
無花果、リゾウ、ハイデルモットは索敵や情報交換をメインとする後方支援の管理人はすぐその場で待機。
「スカイツリー!」
無花果の科学、"一番高い場所"は一瞬の内にとんでもない高さを持つタワーを造り出し、その最上に無花果は瞬間移動ができる。ただし、降りる時は自力!彼女はその高さから双眼鏡でリゾウが導いた地点の様子を見る。間違いなく、この世界には住んでいない者達がそこにはいた。
そして、ここにいる管理人全員にハイデルモットのフレンズ・リングを装着させる。これを付けた者同士、自由に情報交換ができるのであった。
リゾウ
スタイル:科学
スタイル名:道案内姉
詳細:
ガイドお姉さん型の科学。
主に道案内やその場所の紹介を行ってくれる科学。時に人物の紹介まで行うことができ、リゾウが知らない情報も手にしているようだ。
無花果
スタイル:科学
スタイル名:一番高い場所
詳細:
タワー型の科学。
このタワーは幻影であるため、無花果以外の物は触る事も破壊する事も不可能である。無花果は瞬間的にタワーの最上階へワープできる。ただし、降りる時は自力で降りるしかない。
主に偵察などを目的とした科学であり、戦闘能力は皆無。
ワープする際、無花果の手を握っていると同行することができる(生物や物体は問わず)。しかし、同行した者はタワーに触れることができないため、落ちていくしかない。
ハイデルモット
スタイル:科学
スタイル名:お気に入り登録
詳細:
リング型の科学。
ハイデルモットが作り出したリングを装着している者同士、自由に会話や連絡のやり取り、現在地、状況などまで取得できる。ただし、あまりにも個人情報が漏れることが多いため、常に装着している者は少ない。
超高度からの索敵はブライアント・ワークスは逃れることはできない。完全に逃げ道を断つ非戦闘員の管理人達。
戦況。
夜弧は二つの組織から逃げる。ブライアント・ワークスは夜弧を追う。管理人はブライアント・ワークスを追う。管理人が夜弧を優先していないのは彼女と接触した管理人がいないからだ。
「デュフフフフフフ、こっちの動きがバレバレじゃんかよー。大塚ぁぁぁ」
「俺に振るな!」
「管理人が先に来るかもな」
夜弧の居所が分かる。彼女はどうやら火山の頂上へと向かっているようだ。ここの世界の山は沢山の木々よりも、大きな岩や熔岩石で作られているような山となっていた。植物はとても少ない。
ダネッサ達が夜弧と出会うよりもさきに管理人と鉢合わせる可能性が高かった。ダネッサが面子を分散させようと指示する前のこと
「か、か、管理人…………」
「?」
新入りの彼女が突然、ぶつぶつと呟き始めた。出会ってからロクに話しをしなかったが……
「管理人管理人管理人管理人カンリニン、カンリ、カンリニ、カンリニン」
「い、いきなりどうした?」
うねうねと髪が動き始めて怒りを爆発させた。
「管理人はぶっ殺すうぅぅぅぅぅっ殺す殺す殺す殺す殺す☆」
「うおぉっ!?な、なんでキレる!?」
「私が殺すうううぅぅっ」
新入りの彼女がまずは管理人の足止め、及び殲滅のために管理人の通り道で待機した。彼女を置いて、ダネッサ達、3人は夜弧を追いかける。
一方、管理人達の追いかけ方は基本的な走力であった。移動に長けている能力を持っている者がいないため、走りや徒歩でブライアント・ワークスを追っていた。
グループとしては二つに出来ていた。超人二人のヒタスと新橋と、なぜだかその二人に並走して走れるグルメの先行するグループ。クロネアや怨北王子などの、マイペースに追いかけるグループ。
『ヒタス、新橋、グルメ。そのまま突き進むと敵らしいのとぶつかっちゃう。別の道で追いかけて!そいつには怨北王子さんとクロネア、カミューラをぶつければ十分だよ!』
「うっせー、指示するな無花果。つーか、ヒタス様のことは支配人と言え」
「ヒタス。それはダメだ。向こうは一人を足止めに使って、残りの3人はどこかに向かっている」
「うるせー、グルメ!」
「私達は別ルートでその3人と戦うのが得策だ。頼りにしているぞ、ヒタス(つーか、お前しか俺を守れる奴はいないんだ)」
3人は別ルートを通りながら、ダネッサを追いかける。情報があるからこそ、工夫できる指揮ができるのだ。一方でダネッサ達にはそれがなく、新入りが全てを足止めするとは思っていない。新入りとの距離を少し置いた状態でやはりもう1人の足止め要員が必要だった。
「次は俺が行く。2人でターゲットを殺せるだろ」
「デュフフフフ、大塚ぁぁぁ。お前、戦えるから嬉しそうな顔をするなぁー」
「任せるぞ、大塚」
火山活動が行われている山の6合目付近で大塚が足止めとして、道の真ん中で立ちはだかった。その道に丁度、ヒタス達が姿を現した。
「!……敵の1人か?子供だな」
「そうみたいだな(頼むぞー、ヒタス。敵を瞬殺しろー)」
「来たか、管理人」
大塚が3人を足止めしようとした時だった。ギュルルルルっと豪快な空腹音が鳴った。
「お腹減ったー」
「…………今、なんて言いました?新橋さん?」
戦闘をする空気を切り裂く空腹音を出したのは新橋。
「走り疲れたし、私はここで諦めます。ドーナッツ食べないと力出ないや」
「君、ホントなんでここに来たの!?大丈夫!?君、確か蒲生さんの推薦だよね!?ね!?強いんだよね!?ねぇーーーー!?」
自分はハッキリと弱いと言えるグルメ。一方で、なんでこんな子がこの討伐にいるのか疑問が出るほどの行動をとる新橋。ヒタスも大塚も、彼女をウザそうに見ていた。
だが、新橋は次のことをグルメに伝えた。ドーナッツを頬張りながら大塚を指差し、
「あたしはあいつを止めます。走るのより楽だし、ドーナッツ食べながら相手にできそうです。二人は先に行ってください」
「!?」
「な、何を言うんだこの馬鹿は!?」
凄まじい挑発かつ、自信がなければできない行動。しかし、信じていいのか分からない。ただ、グルメは敵との戦いを拒否したいために新橋に託す。
「ヒタスーー!俺達はまた別の道から敵を追う!任せた新橋ちゃん!」
「はぁっ!?おい、待てグルメ!」
「いってらっしゃーい」
ヒタス、グルメ。再び、道を外れながらダネッサ達を追う。
「…………はっ!やべ、今のやりとりを唖然として観てたら、見逃しちまった!」
大塚はヒタス達を足止めするのを忘れてしまった。自分の能力ならば逃がさなかったのに、新橋のアホな行動で怒りに包まれていたせいだ。
「くそ!まぁいい。お前のような女の管理人、瞬殺してダネッサと合流すれば良い」
「瞬殺?……それは無理ですよ」
「!」
「なぜなら私には無敵モードがあるからです。どんなに頑張っても、私は負けません」
そう言って新橋はドーナッツを食べながら、自然に触れるように地面に倒れたのだった。綺麗な空を見上げる仰向けポーズでドーナッツを食うという、まるでニートスタイル。戦う気がどこにもねぇ。
「これが私の無敵モード。じゃあ、ドーナッツを食べてるので静かにしてそこにいてください」
「お前、ふざけてんじゃねぇぞ!なめんじゃねぇ!」
真剣に戦う気があるのか理解できない新橋と、すでにツッコミに疲れた大塚の戦い。




