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RELIS  作者: 孤独
ヒタス編
231/634

桂が行方不明?と春藍も旅に出る



プルルルルルル



「おかしい…………」



クロネアはダネッサへの尋問が終わった後で桂に連絡をとっていた。真っ先に桂を選んだ理由は、ポセイドンとは犬猿の仲とはいえ、お互いをよく知るからであり、桂の仕事でもあるからだ。

しかし…………



プルルルルルル



「な、なんで桂さんは連絡に応じない?」



緊急の連絡で桂に繋げているのだが……まったく反応がない。


「おいおい。まさかポセイドンに…………」

「それはさすがにないでしょう。そもそもポセイドン様が、桂さんと戦うとは思えません」


ガチャァッ


「勝てない勝負をする方ではない。そうでしょう?ラッシ」

「…………ま、確かにそうだろうが…………桂さんが連絡に出ないこと事態おかしいだろ?俺達だぞ」

「………………」



吉原にいるのかとも思い、吉原の方にも連絡を入れるが…………返事すらなかった。

管理人の最高責任者であるポセイドンの陰謀を知ったクロネアとラッシであったが、頼みの桂が連絡に応じないという事態に戸惑うのは当然であった。昇進したクロネアがいくら言おうと、それが正しく動くのかどうかも桂を通さなければ難しい。


「龍はガキだし…………蒲生さんは前の戦いで死んだ………フルメガン・ノイドやリップル相馬はポセイドンを支持している管理人。信用するとは思えない。ベィスボゥラーは野球好きだし…………」


ラッシは消去法。しかし、クロネアからしたら順当な信頼できる管理人。


「朴さんに連絡をいれてみます。桂さんに連絡がとれないことも含め…………ね」


朴に連絡が行くのは当然。桂、蒲生がいなければ彼に頼るのは必然。(そもそも龍が004なのがおかしいかも)。しかし、朴はアーライアの管理をしているため、早々に動けない上に連絡を受け取ってくれることも分からない。ハーネットが出現した時、彼はその連絡に出る事ができなかった。



プルルルルルル



「…………………」

「…………繋がらないのか…………」

「…………そのようです」



桂にも、朴にも。留守電は入れておいた。しかし、その中身を信じてくれるかは分からない。


「龍管理人が頼みですね」

「しょ、しょうがねぇけどな………」



クロネアは3番目の候補である龍に連絡を入れる。自分達も、未だダネッサの言葉を信じているが、管理人の立場からしたら信じられないからだ。



『龍だ。緊急の連絡を使うなんてどうした?』

「あ、やっぱり普通に出ちゃいましたか(なんで他の二人は出ないんだろうか)」

『?』

「いえ、実は………………」



クロネアは直接、龍と会談するように話を取り繕った。龍の弟子であるグルメーダも同伴ということになったが、……彼も何かに気付けているということを考えれば好都合なのかもしれない。

こうした管理人達の調整や情報交換が行われている間、春藍はアレクの病室に篭りきった。



「……………………」



もう少しで死ぬところだったアレク。意識の回復だけを願っていた。

だが、どうやらもうアレクの回復を待つことは春藍にはできなかった。


「……アレクさん。聞こえます?」

「……………………」

「少し前の僕なら、ずっとアレクさんの傍にいることを選びました。それは僕に力がないことでした」


春藍の顔は泣いてなんかいなかった。


「アレクさん…………敵と戦ったんですよね……………。僕には仇討ちなんかできない。きっと分かってる、アレクさんも僕も…………」


その言葉は事実であって。そんなことのために行くわけじゃない。


「僕はしばらく、ライラとロイ達と一緒にいます。……寂しいんですけど。僕はここにいてもしょうがないじゃないですか…………。アレクさんが起きてくれなきゃ、僕は何も手伝えない。みんな、アレクさんがいて回っていたから………………」



ここでの無力感を吐いていた。



「アレクさんがまた元気になったら、一緒に研究をしましょう。だから、その間。ゆっくりしていてください。僕達はしばらく、アレクさんを襲った連中と戦いに行きます。きっと長い戦いになって、みんなが無事帰って来れるのか分からないですが…………僕は絶対にアレクさんに再会します。ライラもロイも絶対そうですから……………」



春藍がブライアント・ワークスと戦うことをアレクに伝えた。それは以前出会った、黒リリスの一団と重なる感じがしたからだ。"SDQ"の調査も、ハーネットの資料の調査も、やはりアレクがいなければダメであった。


「…………これで失礼します。今度、来る時は元気なアレクさんを見たいです」



春藍はアレクとの別れ言葉を伝え終えて病室を後にした。もうすぐ、出発することは決まっていた。五年前、旅をした時とは全然気持ちだ。戦うために異世界に向かうなんて考えられない。自分の成長と変化を感じながら歩いていると



「お兄ちゃーん!」

「謡歌………どうしたの?」

「聞いて聞いて!アルルエラさんが、意識を取り戻したの!お兄ちゃんのおかげだよ!」

「そ、そうだったんだ」


ダネッサによって瀕死の重体に追いやられたアルルエラの意識回復の報告を嬉しそうな声で伝える謡歌。実はいうと、春藍はそのことをちょっと前から知っていた。自分の体をポンポン叩きながら、喜びから一点。謡歌は少し悲しい声で



「またどこかに行くの…………謡歌も、アレクさんも……ここにいるのに……………」

「…………うん………寂しいけど。また帰ってくるから、大丈夫。ライラもロイも一緒だから」

「……帰ってこなかったら嫌だからね」

「分かってるよ……大丈夫」



簡単には行ってきますって言えないもんなんだねって……春藍は感じていた。




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