ハーネット、1回目。2回目。
はぁ…………はぁ……………。
「やった。やったぞ…………」
まだ、1回目のハーネットであった頃だ。
最初はただの盗人であった。学者といってもこの広い世界をただ調べるだけでは物足りなく、時間すらなかった。手っ取り早く、王国の城に潜り込んで彼等の資料を奪い取った。
まだ10にも満たない歳でそこまでの好奇心があり、命を簡単に扱っていた。管理人の調査のため、あらゆる悪事をしていた。この疑問しかない管理世界の裏側を調べたかった。
「盗みはいけないな」
「!……………」
何回目だが忘れたが…………酷くボロボロに打ちのめされた日があった。管理人もその悪事を止めるため、一人の管理人がここに派遣され、彼にやられた。彼は捕まえたハーネットに意外な提案をしてきた。
「君に興味が湧いて来たよ」
「?」
「私のところで助手をしてみないか?私達を知る意味でも良いと思う」
捕まった後から知った事だが……。彼が管理人のトップに君臨する者だと知った。
彼に捕まって初めての異世界である"罪滅ぼし"ネクストステッパーに流される。
罪人達を扱って人体実験をする場…………。彼がわざわざこんな辺境にやってきた理由も分かった。彼の助手となり、色々な人体実験に協力した。どうやら私はこの度胸と一緒に過酷な実験に耐えうる肉体も持っていたようだ。彼も実験のはかどりに喜んでいた。
その実験の過程で"管理人同期"という力を埋め込まれ、生まれ持っていた"マグニチュード"の能力は爆発的に上昇、保有できる魔力も増えに増えた。
彼を通して能力の向上。また、"無限牢"や"管理人"の歴史を調査できるようになった。彼もまたハーネットの熱心さによってか、なぜか協力し色々な資料を提供し、時には目的の異世界へ派遣させてあげた。
熱心さ、継続力……間近でハーネットの老いを見ていた。それでもハーネットにはあった。
「変わらないな」
「?」
「君はいつ見ても変わらない。私のようだ………」
ある時、彼はハーネットの意志の強さを褒めた。やけにその日を覚えている。次にこんなやり取りがあった。
「違う歴史を見てみないか?ハーネット」
「違う歴史?」
「人類がまだ管理される前の世界。私や桂、ポセイドンも興味があることなんだ」
調査してみればそーゆう世界と時代があったことはハーネットも気付けた。気になって彼に歴史を教えてもらった。
かつての人々の暮らし、そして争い、管理を望んだその時…………。"遺産のない図書館"にある書物が正しいのなら一つの疑問点が浮かんだ。
「……何かがおかしい気がする」
多くの歴史に触れ、この管理された世界の謎。その根底であるところを読み取って彼に尋ねる。
「とてつもない何かが隠れている気がします」
「………ふふ、そう感じることは君もそれだけの強者や知識人といったところだよ」
「この会話にも含まれていそうな、異常過ぎる闇や悪がある」
案外、ハーネットが名付け親だったりする。
「"時代の支配者"と呼ぶべき存在。奴は危険としか言えません」
「……私も同じ気持ちだ。ポセイドン、桂もそれに気付いている。けど、残念ながら"時代の支配者"とやらはどうやら隠れるのが上手くて見つからないんだよ」
ハーネットはそこまでの歴史を知った。多くの謎に調査を挑んだが……。人間の寿命ではとても足りなかった。そして、
「ハーネット。すまないが……私、ここの管理人ではなくなってしまった」
「!」
「以前言っていたアーライアという異世界に回された。君との関係はここでサヨナラになる」
「……あなたには恩があるだけに寂しいですね」
ハーネットももう年老いた。残りの命は少なく、希望を信じてデータを作り出すことだけになっていた。"時代の支配者"を含め、あらゆる問題に解決できるだろう材料を残していた。
それが完成されるのは…………もっともっと先のことだろう。そんなハーネットに彼は最後の実験を施した。
「まだ試作段階の研究なんだが…………上手くいけば君に人生をあげられる」
それが"RELIS"の根底となった実験だった。ハーネットの若返りともいえる。
再び生を宿し、秘密基地まで用意してもらい、多くの資料をそのままに移動させた。
「君が人間として、私が管理人として……お互い、共通する目的を達成しよう」
2人は別れる。資料を作り出すことに打ち込んでその時が来るまで、ハーネットはマーティ・クロヴェルで研究を続け、彼もまたアーライアで研究を続けた。
そんなある日。ハーネットは研究の続きで、たまたま出歩いていたところ、パイスー達と出会い久々に戦って感情を取り戻した。
だが、それからまた。結果は分かっての通り。
管理人は苦渋の決断で彼を追放した。そして、彼が残した"RELIS"の実験を辿り、ハーネットの足跡まで発見。彼を討伐するため、管理人達は総出でマーティ・クロヴェルへ向かった。
「ふん」
「なぜ貴様と組まなければいかんのだ」
当時、その戦争に参加したのは桂とポセイドン。
激しくて、ハーネット達からすれば突然の来襲。梁河、ザラマも殺され、パイスーも桂に殺される。
ポセイドンと戦ったハーネットも、徐々に追い詰められ命を散らした……………。
だが、ハーネットは亡くなりはするが、自分がいなくても全てに辿り着けるゴールを作っていた。
もうこれ以上の命が無くなっても、しっかりと未来にその足跡を作り出していた。




