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RELIS  作者: 孤独
ハーネット編
212/634

九頭鳥


ビリイイィィッ



静電気のような物を感じた強者達がいた。特に同類である管理人の強者達はすぐに気付く。


「まさか………………」


龍はそれを知り、もう戻る事は不可能だと知る。誰が使用したかって、蒲生以外ありえない。それだけの苦戦か。

桂やポセイドンが切り札を禁じたのと、ほぼ同レベルの切り札を持っている蒲生。

"九頭鳥"がついにその姿を現した。



"管理破壊の神獣" 蒲生。


…………………………………………………………


使用許可は降りちゃいない。そもそもそれはある程度のレベルの相手に使うんじゃないという縛りだ。使用すれば世界がメチャクチャになるからほとんど、"無空間"にする以外は使われない。戦闘で"九頭鳥"を使用するのは…………いつ以来だ?



「守る者いれば、壊す者ある」



意志や覚悟は知った。あとはその高望みに似合う力があるか、この蒲生。この身を張って立ちふさがってやろう。



メギィメギィ



蒲生の巨体は変型していく。"九頭鳥"。その名の通り、生物型の超人であり、蒲生は体を鳥にする事ができる。素の巨体は山よりも高く、繰り出される体術もまた一流であるため、破壊という一点においては桂を上回れる"超人"だろう。

それがさらなる強化をしてしまう。改悪パッチ過ぎるだろう。



メギイイィィッ



蒲生の体がどんどん人間から鳥類の体型になっていく、この巨体で羽ばたけるほどの両翼と剛翼。極太で先が見えないほどの尻尾(鳥に尻尾ってあったっけ?)。地に立てる二本足も鳥のように変型するが、その太さは蒲生が人間状態の両足よりも太く、堅い。



パキイィッ



蒲生の頭から下の首までが9つに別れ始める。古の怪獣、ヤマタノオロチとかいうのがいたそうだ。8つの頭を持ったドラゴンだそうだが。蒲生はさらにもう1つ、首が生えた古の怪鳥がそのモデルになっている。

生まれる9つの頭はそれぞれ意志を持ち、役割も持っている。




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



「な、なに……」

「地震?」



ライラと夜弧は蒲生に殴り飛ばされたロイの治療をしていた。



「うーっ…………もう、大丈夫だ」

「!そ、そうなの……」

「俺は頑丈だからな……それなりにな…………」


ロイは起き上がれたが、全然大丈夫ではなかった。だが、この地響きはライラが降り注いだ"流氷群"の中から感じている。3人共、相手が蒲生だって分かっている。ロイは夜弧が生き残れる可能性を引き上げるため、わずかでも魔力を使わないようにしてあげた。



「やば…………なにこの威圧感と不安感……………」

「この世の生物が発する気じゃありませんね」

「……とにかく、やべぇのは確かだが。……これが蒲生の切り札だろう。倒せば俺達の勝ちだ」

「そうだけどね、ロイ」




蒲生が眠っているとされるところに3人が目をやった瞬間だった。火山の噴火のように勢いよく9つの色をした太い光線のような物が天へ昇っていった。9つの光線は徐々に混ざりながら、そこにはなかった金色の光を発すると、地上へ…………いや、このマーティ・クロヴェルにいくつも分かれて降り注いだと言える。ライラの"流氷群"よりも遙かに広範囲で破壊力を持った攻撃であり、光線が落ちていった箇所では焼かれ、雷が落ち、強風などが起こった。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



揺れるマーティ・クロヴェル。そして、地上に寝転んでいた蒲生も一瞬にして空へと舞ったのだった。




バサアァァッ




「!!あれが…………蒲生!?」

「な、なんだ!?あの9つある頭を持った鳥は!!?」

「あの巨体を持った鳥が正体………」



蒲生の巨体が軽々と空に舞う両翼と、異質過ぎる鳥を見た3人は驚きばかりだった。蒲生は9つある口からそれぞれの得意な性質を地上へと吐いた。



カーーーーーーーッ



「うおおおっ!炎がこっちに来た!!逃げるぞ!」

「って、勝手にあたし達を持たない!」



一つの頭は炎を吐き、一つの頭は雷を吐き、一つの頭は岩を吐き、一つの頭は水を吐き、一つの頭は風を吐き、一つの頭は氷を吐き、一つの頭は闇を吐き、一つの頭は光を吐き、一つの頭は無を吐く。あらゆる耐性を持った存在にも対応できるバリエーションと、どの攻撃も高威力、広範囲な性質を持つ。自らも天高く飛び、地上にいる者達の攻撃を届かせやしない。

空を舞う破壊の神獣。



ガゴオオオオォォォォォッッッ



マーティ・クロヴェル全体に蒲生の攻撃は届いており、何もかも破壊していた。



「ちょ、ちょ」

「な、なんて生き物……………」



危険を回避したライラ達であったが、このマーティ・クロヴェルにどんな逃げ道があるのか分からない。蒲生はライラ達を見失っているようだが、それとは無関係な破壊は確実にライラ達を追い込み、触れればお陀仏という印象を与えていた。


ライラにも、夜弧にも……今の蒲生と戦える魔力はない。



「は…………」

「ロイ?」

「俺が行ってくる。あーゆう気持ち悪い化け物はお前等が無理に相手をするな」

「あ、あんたも相当なダメージでしょ!」

「馬鹿はそんなの気にしねぇ!」



ロイは戦いに向かう気だった。そして、このボロボロな体と馬鹿な頭を持っていたのか疑いたくなるほど、蒲生の欠点を見抜いていた。


「雲で足場を作ってくれ。蒲生の上に乗れれば何もできないはずだ」

「!」


鳥となった蒲生には両腕が翼となっていた。確かに蒲生の上に乗れれば勝機はある。


「俺が一番足が速くて、ジャンプ力もある。やってくれライラ」

「…………分かったわよ。だけど、一回きりしかチャンスはないわよ」


蒲生の進行方向はライラ達とは真逆であった。ライラは蒲生には見えないところに小さいが、足場となる雲を蒲生に届くように作り出した。ロイはその雲を素早く昇った。蹴り上げればその雲はフワッと消えてしまった。とても少ない魔力で道を作れたライラのためにも、成功させる。

声も出さず、気配も消して、蒲生の死角から素早く乗り込もうとする瞬間。



シュルウゥッ


「!!」


バヂイイィッ


蒲生の尻尾が機敏に動き出し、乗り込むロイを追い払う打撃を尻尾が行った。



「うぉっ……………」



ただの尻尾の叩きつけでも、殴られた時と同じぐらいの衝撃。昇ってきた方向から落とされるようにロイは地上に突っ込んだ。



ドゴオオオォォッ


「ロイ!!」

「だ、……大丈夫だ……………!ぐっ……」


生きているだけで奇跡であるが、今度こそ動けない。ライラと夜弧がやられたロイを持ったが、完全に蒲生に見つかった。



【そこにいたか】

「逃げろ……ライラ、夜弧。俺のミスだ……」

「ば、馬鹿言わないでよ!」

「なんとかここから避難を……」


蒲生の9つの頭がライラ達に照準を合わせ、9つ同時に全てを破壊する光線を吐き出した。避けられず、耐え切れない攻撃であり、ライラも夜弧も目を瞑った。ロイは気を失った。

全てが終わりそうな一瞬。蒲生はある存在に気付いた。

プロファイル通りの容姿であるが、明らかに雰囲気が違う。



「君達かな」

「!」

「永く待たせてしまった。大丈夫だよ」



春藍慶介。でありながら、中身はまったく別の怪物。



バギイイイィィッッ


「え!?」

「な、何!?」

【……俺の破壊光線を弾き飛ばしたか】


驚く二人の女性。蒲生は仕留めたかと思っていたが、生存していやがった奴。どこに逃げていたのか?



「ここは私が戦う。私には使命があるからだ」




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