表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
ハーネット編
210/634

蒲生リベンジ


起き上がって来るなー……。正直、次の"流氷群"は打てない。叩きこみたいけど、それを使えるほどの魔力がない。


「はぁー…………」


ライラは雲の上から自分が落とした氷塊の溜まり場を見下ろした。生き埋めた蒲生が起き上がらないことを祈ってみたが…………



バギイイイィッッ



起き上がらなかったら、そのナンバーは背負っていない。"超人"という枠ならば桂の次点に来る人物。早々には敗れない。


「さすがは桂の弟子。そして、その娘というのが分かる力量だ……………」


体が冷たくなり、大きな痣もでき、出血も多数。指の骨が折れたのも久しい。蒲生はライラが落とした氷塊の多くをふっ飛ばしながら立ち上がった。


「苦戦させてくれる」

「くっ…………さすが、蒲生……………ね…………」


やばいどうする?魔力なんてないわ。逃げられる相手でもないし。それより、春藍は大丈夫なの?夜弧は……ロイも……………。


「いや、何考えてる」


ライラは首を横に振って弱気の心を振り払った。


「あたし、まだ勝つ気よ…………」

「…………本当にしぶとい女だ」


蒲生にはしっかりと見えた。ライラの熱い意志。ピサロも含め、この精神力も相手にするのは危険。存在だけでも危険なのが分かる意志。


「これは、俺には殺すしかできないぞ、桂さん」


止めるなら俺を止めるんだ。桂さんっと言っている。

蒲生はライラの乗る雲を破壊しようと全力で動いた。踏み込んで叩き落とそうとした瞬間。


「!?」

「え?」



ドーーーーーンンッ



蒲生の両足が突如痺れ、不様に二度目のダウンが発生。これには両者もビックリであった。


「!?な、なんだ…………」


この痺れを生み出した者はライラに向かってこう叫んだ。かなり怒りと焦りを感じていた。


「あたしを殺す気かーーー!!このクラゲーーーーー!!!」

「夜弧!!」


なんとか生存できた夜弧。"流氷群"は大きな氷塊を沢山降らす技。蒲生のようなでか過ぎる生物には避けようがないが、スマートな夜弧は塊と塊の隙間に逃げることができた。


「スマートだからって貧乳じゃないから!!」


いや事実だ。彼女は貧乳だ。彼女がライラの攻撃で助かったのはデカイ胸じゃなかったから。また、その利を活かして氷塊の間を上手にくぐり、蒲生の足のところまで辿り着きトレパネーションで痺れさせていた。(でかいから効果が出るまで結構時間が掛かった)

夜弧が貧乳だったからライラが助かった。やはり正義とは貧乳だ。


「ともかく!ライラ!!あたしのところに来なさい!!」

「えっ!?」

「もう一回!さっきの流氷を落とす魔術が使えるほど、あたしが魔力を回復させる!」


その信憑性はどこにあるのか?だが、幾度と無く夜弧に救われていた。そして、夜弧もまたライラに救われていた。ライラには蒲生を倒せる攻撃を所持し、夜弧にはライラを回復させられる力を持っている。



「急いで!!蒲生の両足が痺れている間にしなきゃ!!」

「わ、分かってるわよ!」


ライラは雲を消し、すぐに夜弧の元へ駆け寄る。なにかの企みがあるなんて思わない。今、2人は力を合わせなければ倒される。

夜弧に駆け寄ったライラ。夜弧はライラが来たらすぐに彼女の脳の部分に両手を強く当てて握り締めた。黒々としている両手からライラにも伝わり、体にも影響が出てくる。


「!」

「回復って言ったけど……あたしの魔力を送るだけよ。あたしの魔力はあんたより少ないけど、全体的に燃費が少ないからもったいないほど残っているから」


ちなみに頭にトレパネーションを発動している方が効果が高い。

夜弧がライラに自分の魔力を送っているわけだが、その送れる総量は決して高いわけではない。送れば送るほど夜弧の魔力が減っていくわけだから送れる量もどんどん減っていく。


「ま、まだ足りない?」

「あ、当たり前でしょ!天候を操る力はとんでもなく消費が大きいんだから!ぜ、全部くれないと無理があるわ!」

「燃費が悪すぎじゃない!エコしなさい!エコ!」

「あたしはそれだけ強力な能力を使っているのよ!」

「室内だと何もできないくせに!!」

「ぐっ…………は、半減って言いなさい!!」



わりと気にしていることを…………。

なんだかんだ言いながら仲がいいとも思える光景であった。魔力を送り続ける夜弧、それを待つライラ。緊迫した気持ちで向かえる時が来た。



ガラアァァンッ


「それでどう凌ぐ……?」

「くっ……これじゃあ動けないから、あなたの手から魔力を送るわよ」


少しだけ送れる量が減るが、動けなければ死んでしまう。もう蒲生は立ち上がった。


「ようやく痺れが抜けたぞ」

「!…………く………」

「逃げたいけど、この氷塊のせいで全然逃げ場がないわよ!!」

「は、走るわよ!とにかく!」


ライラが夜弧を引っ張るように走る。だが、ライラもどこに向かえばいいか、どこにいれば助かるかなんて分からない。蒲生の射程と範囲はとんでもない広さがある。女が走って避けられるものではない。


「潰れろ!」


巨大な拳が2人をぶっ潰すようにやってきた。自分達よりもはるかに大きく、速い攻撃にライラと夜弧も目を瞑った。


「う、うおおおぉぉぉっ」


だが、攻撃よりも2人の耳に一つの声が届く。




バゴオオオオォォォォォッ



大地に巨大な穴を空け、世界を震えさせる攻撃。物理的にペシャンコになる攻撃だった。それだけの攻撃を繰り出した蒲生だが、2人を殺した手応えがない。何かによって避けられた。



「あ、あぶねぇーーー!!!間に合った!!」

「ロ、ロイ!!無事だったのね!!」

「ほっ…………!!って、どうしてあたし達に触っているんですか!変態!!」

「うるさーーい!!そうするしかもう避けられないだろう!二人を抱えるのはさすがにキツイぞ!」


ロイはライラと夜弧の2人を抱えながら、蒲生の攻撃から救った。少し遅かったら死んでいた。無論、助けに行く自分も死んでいた。

この窮地の中、ロイは抱える二人の胸に手をまわす。


「こ、こんな時に変なことするな!!」

「きゃあぁっ!離しなさい変態!!胸触るな!」

「仕方ないだろ!女2人抱えたら男は存分に触りてぇ!!俺、さっきすげー死に掛けたんだ!!マジで死ぬと思った!!元気と活力をくれ!どんなに小さな胸でもな、俺にやる気をよこすんだよ!だから揉ませろ!!」

「は、辱めるな!!こんな時に弄らないで!!死にそうなのに胸の事を話すな!!」


ライラは注意するだけだったが、夜弧は本気で抵抗しようとした。耐性の問題であった。

ロイは必死に蒲生から逃げようと加速して遠くに走っているが、この2人を抱えていればどんなに元気があっても限界はある。


「ロイか!龍はやられたというのか……」


まだ蒲生の攻撃範囲にいる3人。蚊を叩き落とすような作業であったが、それがなかなか上手くいかない。





バヂイイイィィィッッ



「うおぉっ!」

「が、頑張って避けきってロイ!!」

「ううっ。あとで記憶消すからな!あんたの記憶消すから我慢してやる!!」



生死をかけられる以上のものだった。ロイはライラと夜弧の命も賭けられており、複数の命を守るために"紫電一閃"をフル稼働させ、蒲生の攻撃を避け続ける。しかし、夜弧だけはものすごく涙目になっていた。ある意味、ロイに攻撃されていた。



「ちっ」


小さくて速い者を潰すのはなかなか難しい。しかし、ライラやあの女からもらったダメージもある。なんの企みが分からないが、ここで潰さなければいけない。



ヒュゥッ



ロイのスピードに苦戦を強いられた蒲生だが、徐々に慣れていって彼を嵌める。どんなに小さく、そして、どんなに速くても避けられないものもある。行動パターンを読んで直撃が間違いない攻撃を繰り出した蒲生。無論、ロイもその攻撃が見えており、結果も分かっていた。


「!!」


俺のハーレムタイム短すぎるし、少なすぎるだろ。貧乳と普通が俺の脇にいるわけで、ここに巨乳がいるとかなりバランスが良かったんだが、……あーやっぱ、巨乳の乳揉んどきてぇ。


遺言にしては若干の不満が感じられる。夜弧はもうしょうがないとして、ライラも成長していれば……って歳がもう限界か。それは無理か。夜弧よりもそこを突っ込んだらキレそうな気がする。胸を気にするなんざ、小さいことなのかもしれない。



「もう十分だろ!ライラ、夜弧!!」



自分が蒲生の攻撃を引き受ける盾となる。ライラと夜弧を、春藍と同じように投げ飛ばして拳が当たらないようにした。上空に向けて2人を投げてやった。



バゴオオオオォォォッ



蒲生の拳が直撃した瞬間、ロイの全身にヒビが入るような衝撃が走った。声も出せず、地面に何度もバウンドしながら吹っ飛ばされる。


「ぐぉっ…………」


ロイが一撃で戦線離脱。ライラと夜弧が蒲生の攻撃を浴びていたら即死だった。自分で良かったとロイは思って倒れていた。



「任せなさい、ロイ!」

「!!」


夜弧が魔力を与えてくれて、ロイが体を張って時間を稼いでくれた。ギリギリであるがぶち込めるだけの魔力は手に入れたはず。

夜弧も連れて雲をさらに上に昇らせ、さらに中間圏の高さに雲を用意する。もう蒲生の拳も届かない高さ。



「ライラ!まさかまたか!」


蒲生は飛び跳ねて距離を縮め、ライラと夜弧を地面に叩き落とそうとした。蒲生も先ほどの攻撃を恐れていた証拠。右手がまさに2人を襲おうとした時、



「流氷群!!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



わずかに早くライラが"流氷群"の準備を完了し、即落とし始めた。飛び跳ねた蒲生を叩き落とすには十分過ぎる。連続して蒲生を襲った攻撃は叩き落しただけでなく、氷の下に沈ませるほどの威力であった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ