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RELIS  作者: 孤独
ハーネット編
203/634

戦場の図



外から見れば驚くべき光景だろう。

今まで見えていた山の一つが突然、一気に崩れたのだから…………。


「な、何かの予兆なのか…………?」


国民が不安になるのも当然であった。必死にコングやミンスターなどが国民の説得に当たったり、調査を行おうとしているわけだが…………。



「もう心配することはない」

「!か、桂さん。龍管理人、蒲生管理人まで!!」

「な、な、なんだこの巨人はーーーーー!!?」



蒲生の巨大さを前に国民の不安は一層高まり、なおかつ収まりそうにない事態になった。何しに来たんだが…………



「わははははは、蒲生のおっさん。注目されすぎじゃん!」

「む…………デカさとは本当に不都合だな」

「何が心配することはないだよ。桂~よぉ~」



桂、龍、蒲生。この3人がいれば必要ないだろうと思っており、非常に嫌そうな顔をして言っているヒタス。


「愚痴愚痴言うなよ。お前の戦闘力を見込んでるんだ」

「はっ…………やる気ねぇから、テメェ等でやってろ」


龍の声にも嫌そうに対応して、蒲生の体の上に乗っていたヒタスはとっとと降りて、この王国の周辺を散歩に出かけた。


「まったく……協調性の欠片もねぇ。あいつインビジブルとかと同じだな」

「それ故に今まで欠番だった…………」

「やれやれ……困った奴だ。ともかく、向かうぞ。蒲生、龍」


桂と龍、蒲生の三名はライラ達がいる山の方へ向かった。しかし、もう山は崩壊していて跡形もない。


「先に乗り込んでもいいじゃん。"雷光業火"はこーゆう時、便利だろ?」

「状況が読めん以上突撃なんてできん」

「ふーん、そうか」


と、龍には言っていた桂であるが。蒲生には決断をまだ先延ばしにしたいのだって意志は分かった。同行していないが、ヒタスも含めて4人もの実力者がいればどんな敵だろうと倒せるはずだ。蒲生の足は少しだけ遅く走ってあげた。(ちなみに桂と龍も蒲生に乗っている)




「あいたたたた……………」

「いてて……」



ライラ達、そして、ブライアント・ワークスの面々は綺麗に外に出された形になっていた。即座に立ち上がり、体勢を立て直したのはロイ(と春藍)、ライラ、夜弧、ケチェリ、大塚の五名だけだった。


「トランクケース、トランクケース……どこにいったの!?」

「これの事かしらね?」

「!!」


ヘット・グールから能力で奪い取った夜弧であったが、この土砂崩れに巻き込まれトランクケースをわずかの間手から離してしまった。ライラはナルアと共に落ちながらも、無事を確保しつつ夜弧の狙った物を素早く取り上げていた。


「か、返しなさい!!」

「あとで返すわよ。今はこいつを賭けてお互い、共闘しましょって事」


ライラは作り出した雲の上にトランクケースを置いて、ケチェリ、大塚の面々に視線を向けた。


「デュフフフフフ、ヘット・グールはしくじったか」

「ダネッサの奴も負けたのか?」



バギイイィィッ



崩れた山が再び噴火するような音と破壊を伴って現れたのは三名。ダネッサ、ナルア、ヘット・グール。丁度、ケチェリ達の近くに3人共いた。


「あの野郎………」

「も、申し訳ございません。ハーネットの資料を奪われてしまい……」


3対5は相変わらずであったが、ライラ達とロイ達の距離は微妙に離れていた。視界に映りはすれど、近づくことがなかった。


「ロイーーー!あんたは春藍を守って!!さっさと遠くに逃げなさい!!」

「!お、おう!」

「あたしと夜弧でこの五人をぶっ飛ばす。"ピサロ"の前で好き勝手させないわ」



ライラの選択はブライアント・ワークス側からすれば厄介であった。ダネッサは一度戦ったから、ロイが"超人"であることを知っている。しかも、スピードもあって……一目散に背を向けて逃げられるとこちらも追いかけることが至難であった。



「ナルア。変身して追えるか」

「あのスピードは無理だ、ダネッサ。初速も最高速も加速力も違いがあり過ぎる。あれだけの"超人"の性能には勝てない」

「デュフフフ。負けて焦っているのか、ダネッサ。逆に考えるんだ。この美女2人をぶっ殺してからでも良いと」


ケチェリの言葉に全員がライラと夜弧に向いた。口論も聞いていたため、あの2人が完全な仲間でない事は知れた。2VS5を装っていて、実は1VS1VS5という、ライラと夜弧側にとってはとてつもない不利であった。



「あの……春藍という方もあいつ等に獲られてはいけませんし、無論死なれては困ります。この資料も盗られるわけにいかないんです」

「春藍はロイがいれば大丈夫。敵もこいつ等だけなら、倒すしかないでしょ!」

「くっ…………なんて女。あたしの計画が早くも崩れる………あたしだって死にたくないのに」

「?ま、あんたの事情なんか知らないわよ。始めるわよ」



ライラの身体からモクモクと厚い雲が噴出し始めた。場に雨も降り始め、風も強く吹き始める。

ダネッサとケチェリがライラに襲い掛かったが、本人はすぐに上空へと浮上して2人の攻撃が届かない距離から雷雲を作り出す。



「あ、あの女ずりーーぞ!!」

「空から人を見下ろすなーー」

「ちょっとそれ、あたしも巻き込まれてるわよ!!このクラゲ女ーーーー!!」



とてつもない暴風暴雨で相手の動きを封じ、雷で攻撃するライラの戦術。野外での戦闘はあまりにも強すぎる。完全な遠距離からの攻撃は6人とも対処不能のまま、直撃したのであった。



バヂイイィィッ



「全員、この場で倒すわ」


ライラの猛攻がさらに続こうとした時、それを妨害するようにやってきたのは空に届いている豪腕だった。とてつもない巨体を持っている蒲生が立ちふさがったのだ。


「!」


発達させた雲を一瞬で、腕のみでなぎ払ってしまうそのパワー。雷雨を一気に晴らした。ライラは別の小さい雲を作り、地上への落下を回避した。

蒲生の姿、桂、龍の姿を確認したライラは不安の顔を出した。


「あそこにライラが…………」

「下にいるのは一体どんな連中だ?……全員、生きてそうだ」

「……春藍慶介がいないな」



管理人最強と謳われる桂だけでもヤバイというのに、その次点にいる龍と蒲生も来ている。3人は状況を把握しようとしていた。


「ライラ!!」

「!な、何しに来たのよ。桂!」


ライラは平常心を装う顔を見せたが、声がもうダメであった。桂の次の言葉が分かっていた。


「ハーネットを…………春藍慶介を殺しに来た」



その瞬間。なんであれ、こいつ等を始末しなければいけないと。ライラは心のリミッターを外した。それも無意識に…………


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