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RELIS  作者: 孤独
ハーネット編
202/634

土砂崩れ(山の中)

進んだ先はいくつもの分かれ道が存在していた。今度は単純な迷路のようだ。


「あーー!なんでこんな造りがなされているの!!?」


ライラは結局夜弧に追いつけず、完全に姿を見失った。


「別れるとするか」

「向こうは連携ができていないなら十分だな」


ケチェリ達4人もバラバラに別れてライラと夜弧をそれぞれ捜すことになった。その中の1人、ナルアは自らの身体を変型させる。



バギイィッ



「龍の鼻で匂いの位置は分かるぞ」



ナルア

スタイル:科学

スタイル名:迅龍


ブライアント・ワークスの面々は謎の技術を確立しているようだ。本来、特別な力を持つ道具を"科学"と呼ぶのに対し、ナルアなどは体内に特別な仕掛けを施している"科学"使い。

人間という道具を使っていると言えば、"科学"という分類は確かに正しいだろう。

"超人"の生物型。を再現している"科学"。



バギイイィッ



四足歩行に巨大な翼と体躯、牙、尻尾を兼ね備えた迅龍。狭い迷路の通路の壁をメキメキと破壊しながら、ライラを一直線で狙いに行ったナルア。


「!」


ライラは対峙した瞬間。この迷路に生息している魔物と思えた。ナルアの面影はまるでない。巨体から予想外の俊敏さ。室内というハンデもあって、ライラはナルアの突進を完全に避けられない。



ガゴオオオオォォォッ



「つっっ」


痛がる暇も与えず、もらわず。お互いは戦い。しかし、戦いといっても中身は両者共に大きく違っていた。

"ピサロ"がほぼ使えない室内では、逃げの一托しかとれないライラ。一方で力を振り回している粗暴な行動で襲い掛かるナルアはとにかくライラを殺す事に集中している。ライラはこの時点での収穫を、狙いが春藍とこの中にある何かであることを知る。

夜弧はこいつ等の仲間ではない。こいつ等も夜弧の仲間ではない。無論、自分達の仲間ではない。とすれば……………。


「ロイが大変じゃない」


外での戦闘ならば五人纏めて相手にしてやれる自分が、一番のお荷物になっていた。誰かを守れるわけじゃなく、自分を守るで精一杯…………。

ライラとナルアが戦闘を繰り広げている間。ゴールにいち早く辿り着いた者がいた。


「ここがハーネットの資料室……」


夜弧、ブライアント・ワークスが狙っているハーネットの資料。そこが保管されている書斎。


「なんて厄介。崩壊のリミットを設けつつ、これだけの量を…………」


一番早くここに辿り着いたヘット・グールは口の中に手を突っ込んだ。可憐な女性が魅せてくれる特技ではない。喉の奥にある何かを手で取り出すように


「おええぇぇっ……」


本当に吐きながらズブズブと取り出した(?)のはトランクケース。ヘット・グールの胃液がタップリとついたトランクケース。

このトランクケース。ネセリアの"掃除媒体"と似た性質を持ち合わせており、この大量にあるハーネットの資料をどんどん小さくして収納できる能力がある。


スタイル:科学

スタイル名:市場箱

詳細:トランクケース型の科学。収納する物を小さくして収めることができる。ただし、質量はそのままなのでかなり重い。



「さぁ、収納です」



ヘット・グールはどんどんハーネットの資料をトランクケースに押し込めて、この部屋を全て空ッぽにした後、


「はい、どうぞ」

「ありがとう」


なんと、ヘット・グールは夜弧にトランクケースを手渡してしまう。そこがハッと気付いたヘット・グール。気付かれる前に夜弧はトランクケースを持ち逃げる。



「あ!?えっ!?何が…………」



ヘット・グールにとってはなぜトランクケースを夜弧に渡してしまったのか、分からなかった。すぐさま渡してしまった夜弧を追いかける。だが、夜弧も足が速い。


「ちょっと重いわね」


トランクケースの重みを感じながら、自分の能力でカバーして持ち運んでいる。順調に奪い取ることが成功した夜弧であったが、




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



「わっ!」

「え?」


このフロアにいる者達は全員感じ取っただろう。床が、おそらく。この山全体が崩れていくことを……。物を隠滅しようとするハーネットの最後のトラップが発動した。


「ちょっ!押し出される!」

「なんだ!?なんだ!?マジで崩れるのか!?」


床が土砂崩れするようになってどんどん全員が下へ、外へと押し出される。



「そろそろ決着つけようぜ!」


まだ崩壊の余波が届いていないロイVSダネッサのフロア。2人共、嫌な予感は分かっており、この部屋も長くないことは分かっていた。

ロイはダネッサの注意を惹くため、大胆な手を打った。


「春藍が大事なんだろ!受け取れよ!」

「!!ちょ、投げるんじゃねぇ!!」


春藍をフロアの天井まで投げ飛ばすロイ。ダネッサの視線は春藍に行かざるおえない。その一瞬をロイは見逃さず、全力でダネッサの顔面に拳を叩きこんだ。



ベギイィッ


「おっ…………」

「俺もマジで戦うと強いんだぜ」


ダネッサの体勢が整うまでの間。ロイの連続攻撃は炸裂した。


「喰らいな」


一撃目、ダネッサに腹パン。二撃目、ダネッサの顔を掴んで固定し、膝蹴り。頭蓋を浮かせるも両足は床につけさせる威力に凝縮させる。三撃目、ロイが一回転しながら肘打ちをダネッサの眼に捻じ込む、四撃目、ダメージで足が後退するダネッサを追いかけて掴んで、頭突き。トドメにふっ飛ばしの前蹴り。


ドガガガガガガ


床が崩壊していく音に負けない強烈な連続攻撃。


「"大暴拳闘"」


ロイの技が完璧に炸裂したが、ダネッサはぶっ飛ばされ、ダメージが貯まったとしても血も出さず、痣も出さず、武器である槍も手放さなかった。


「頑丈の野郎だな」

「ぐっ…………」


すぐにダネッサはダメージを堪えて跳んだ。空中にいる春藍を先に捕まえた。


「俺の狙いはコイツだ!お前に用はないぜ!」


ダメージを負ったダネッサであるが、勝ち誇った顔をして着地する。任務は遂行しかけたが、


「甘いな」

「!?」

「あんまり、春藍をなめんなよ」


ロイの言葉の後、春藍は意識を繋ぎとめてなんとダネッサに捕まった状態から、逆に仕掛けて投げ飛ばしてみせる。


「なっ!?……うおおおぉぉっ!!?」



ドダアァァッ



ダネッサは投げ飛ばされ、同時に飛ばされた地点の床が崩れ始めてライラ達と同様に落ちていった。


「はぁっ……はぁっ……」

「よく頑張った春藍。ナイスファイトだ」


ロイはよろけている春藍をしっかりと掴んで髪をグシャグシャに撫でてやった。特訓の成果を見せ付けてもらって、元気ももらえたロイ。春藍は何かを言う余裕もなくまた、意識を失ってしまった。


「心配すんな。俺とライラがお前をしっかり守ってやるぜ」


ロイと春藍もこの土砂崩れに巻き込まれて外に追い出される。




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