表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
”不信な森”イビリィア編
20/634

不信な森の歪と"ディスカバリーM"


魔物という恐ろしい存在を日夜警戒しなくてはならない。

あちらが数なら、こちらは質だ。武器を新調したり、訓練をしたり、少しでも強くなろうとする。

強くなければ生き残れない。それがこの世界の人間達。



「ほ、本当にやるんですか……?」

「……す、救われた事で浮かれるな!」



なぜ武器を作ったか?という問いに。人間より強い魔物を倒すためですと、当たり前な答えを出すのと同じ。命を食らう、危険になる存在には対抗する手段が常に必要だった。

魔物がいなくなった事で平穏は訪れたかもしれない。だが、狩人からしたら、自分達はもう用済みに等しい存在になるだろう。

特にアレク達のおかげで街は守れて、狩人はほぼ何もしていない。鍛冶屋もそーゆう意味では不要な物となるだろう。



春藍達には気付けなかった。


彼等の世界は今、管理から解き放たれて動き出す。世界が変わろうとしていた。

"管理人"は絶妙なバランスで世界をしっかりと整えていた。

バランスを整えるのには犠牲というのは絶対条件なのだ。魔物がいなくなった事により、魔物のおかげで存在を保っていた人間はどうなるだろう?食材や加工といった物はどうなるだろう?魔物の犠牲者が出ない事によって、人口が増加するということは何を生むだろうか?

春藍達の力をこの目で見て時には素晴らしいと感じ、時には恐ろしいと感じ取った。


彼等はもうすぐ、この世界から出て行くのだろう。

それを温かく見送ってやりたいという気持ちもどこかしらわずかにあるだろうが、彼等を逃がした時。やってくる魔物とは違う、人間の気の狂った行為に再び脅かされるだろう。

それを少しでも紛らわすかのように



ポチャンッ



彼等に振舞う豪華な食事に毒を注ぎ込んだ。



「……………」



その行為に躊躇はしなかったが、申し訳ないという表情が出た。

春藍達の前に置かれる豪華そうな食事。



「うわー。こんな凄そうな料理、見た事ないなー」

「魔物って食べられるんですね。でも、複雑です」

「元気がないわね、ネセリア。どうしたのよ?」

「あまり無理はするなよ」



四人は食事を頂いた。とても美味しいと言ってくれた。嬉しい言葉が、突き刺さるような言葉だ。



「?……」

「あ、あれ……?」



ドタァァッ



四人が意識を失い、椅子から転げ落ちるように眠ってしまった。

魔物が用いる毒は即効性があり、すぐに身体を眠らせる。

狩人も魔物を捕獲する際にはよく使う毒だ。



「か、彼等から道具を取り上げろ!」

「こんな恐ろしい奴等は生かすな!もしかすれば、またここにやってくるかもしれない!次はないかもしれん!」


支配なんて言葉はこの街の人間達には存在しないだろうが、あるとすれば、安定という名の支配があったのだろう。その安定を崩し、魔物に殺されない平和を作り出した春藍達には、喜びと同時に怒りもあった。

なぜ魔物を恐れていたのか。分からなくなりそうな事だ。

我々人間は、敵があって感情を持てるのだと知りそうだった。



「き、君達は恐ろしいんだ」



恐怖は当然、消えて欲しい。意識を失った春藍達に襲い掛かる街の人達。その時、



ガシャアーーンンッ



家の窓を次々と突き破って現れた獅子達。そして、パイスーと若。


「俺はお前等みたいな人間が嫌いだ」

「"管理人"を失い、魔物を失っただけでこーなるのは弱い証拠だね」

「ひいぃっ!な、なんなんだお前達は!?」

「春藍が寝てて良かったよ。こーゆう男の前で、殺しを見せるのは気分が悪い」



春藍達の危機を救おうとする、パイスー達。




◇     ◇



その頃。

またどこかの異世界にいる、桂に仲間の"管理人"から連絡が来た。


『桂さん、重要なお報せがあります。ですが、まー。今はそこまで重要かどうか』

「早く言え、もったいぶるな。拙者は暇ではない」

『は!例の"黒リリスの一団"の組織のメンバーが少し分かりました』

「!」


"黒リリスの一団"

ライラとは別に管理人達が警戒している組織。


『色んな異世界を壊している"黒リリスの一団"全員が"RELIS"の症状を持っているとされ、そして、そのトップにいるのは"パイスー"という男でした』

「!パイスーだと……本当なのか?」

『はい。紛れもなく、パイスーだそうです。あの』



この世代、全ての世界で最強の人間と"管理人"達が持っている管理情報で定められている男です。



「それは厄介だな。あの男は確か、自分が生まれた世界を1人でぶっ壊した。そこで死んだのかと思っていたが、異世界で生き延びていたのか」

『はい!どのように異世界に行ったかは分かりませんが、パイスーは管理とは相反する思想の持ち主。自分が"最強"になりたいと願っている、狂人』

「ふむ」

『ポセイドン様の号令で今、管理人ナンバー010~020までの者達を収集しております』

「それで済めば良いがな。ポセイドンに伝えておけ、拙者も出る。それが嫌なら貴様が出ろと伝えろ」



管理人ナンバー。

管理人が作られた時につけられる番号である。番号が小さいほど重要な任務をやっていたり、実力を持っている管理人である。

ちなみに桂は003番。ポセイドンは002番。ラッシは328番。クロネアは376番。管理人ナンバーは最大で001 ~ 2147483647まであり、その内999番以下は少し特別な管理人達である。

それ以降は量産型と呼ばれる少し性能が悪い管理人である。


「そうか、パイスーか」




◇       ◇




グシャアァァッ


「これで全滅だな」



パイスーの旅は、ただ自分のため。自分の世界で最強になれたのなら、別の世界にも侵入して最強になる。終わりの見えない闘争の旅である。"最強"というのは自分が吼える事ではない、敗者が語り継ぐ事にある。異世界という存在が分かり、その移動する術を持っている奴に出会えたのはパイスーにとってとてつもない幸運だろう。


「若。春藍達を頼むぞ」

「いつになく、優しいな。パイスー。君。最初はライラとアレクという男との戦いを楽しみにしてそうだったのに、どーゆう事だよ?」

「別に大した事じゃねぇーよ。その内、お前には話す」



若。パイスーが自分の世界を滅ぼした後、やってきた青年。彼の"魔術"は異世界を移動できる力、"ディスカバリーM"があった。



ズズズズゥゥ



"科学"ではないが、魔力で実態化する腕輪。それを春藍達の腕に付けてやる。


「ライラの移動はぶち壊しながら行くから、管理人達にはバレバレだ。だけど、僕のは"管理人"達と同じ移動の仕方だから絶対に足はつかねぇ」


若は1人ずつ確実に運ぶ。若は自分の腕輪と一番目に運ぶ春藍の腕輪を操作して、魔物がまずいない喉かな異世界に行けるように設定した。



「今度はじゃあな、春藍」



知らぬ間に異世界に飛ばされた春藍に、別れを言うパイスー。



パイスー

スタイル:魔術

スタイル名:キング


自分の魔力で獅子を作り出す能力。

パイスーの周囲、10mほどならば自由自在に獅子を作り出す事ができ、獅子を出現させられる数は何百頭以上も出せ、遠隔操作も自動操作もできる。出現させるスピードは一瞬であるが、できたばかりだと不安定らしく防御能力が低い。

まだ本人の実力もあって、成長の兆しと現存の切り札もある。




スタイル:魔術

スタイル名:ディスカバリーM


空間移動を可能とする能力。

その能力を腕輪状にして、若は扱っている。

腕輪の最大個数は200。若の作った腕輪を装着した者は任意で移動する事ができるが、装着した者が行った事のある世界にしかいけない。一方、若は管理人とほぼ同列扱いという形になって、自由自在に異世界を移動でき、彼と繋がった者達もまた若と同行する事ができる。

移動の仕方はライラのとは違い、管理人達が使う正規の方法であるため移動した事が管理人には気付かれない。また、起動時間も負担も大幅に少ない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ