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RELIS  作者: 孤独
ハーネット編
198/634

"幻想王国"マーティ・クロヴェル

お城にある一室に突如として現れた3人。



「ここが…………春藍の言っていたところね」

「雰囲気はタドマールと似ているな」



ライラは春藍とロイを連れて、クロネアの許可も得てマーティ・クロヴェルという異世界の地に足を踏み入れた。春藍はロイの背におぶられている形になった。春藍の意識はまた朦朧としているが、毒が惹いても暴れることはなくなった。代わりに小声で何かを呟くことが多くなった。



「しかし、アレクの奴は薄情だな。仲間だし、部下なんだろ」

「……仕方ないわよ。あいつの代わりだけはいないのよ…………それにあたしもあいつには研究に集中して欲しいから…………」



アレクはフォーワールドに残ることとなった。最初は向かうと言っていたが、クロネアとラッシ。それにライラがそれを止めた。以前の教訓を活かすと同時に、アレクの替えが効かないことが現在の問題でもある。アレクも渋々納得した。それはライラとロイを信頼できることとも言える。

ちなみにライラの代わりは、ライラがこの4年間で集めた仲間達が行うことになった。管理人の許可さえ降りれば、同じく異世界を自由に行き来できるため資源の回収や調査などはできたのだ。


「あたし達だけで春藍をなんとかするわよ、ロイ」

「分かってるぜ」



と、この幻想王国に足を踏み入れたわけであるが…………。

その前にここの管理人に会わなければいけない。クロネアは話をしてあると言っていた。



ガチャァッ



「おお、旅の者。よくぞいらした」

「我々の王国。マーティ・クロヴェルへようこそお越しくださいました」



現れたのはポセイドンと似た王様の恰好をした者(ただし、背は全然普通。ポセイドンはかなりの大男)と、国の大臣と思わせるスーツ姿の管理人の二名であった。



コング

管理人ナンバー:4873192

スタイル:超人

スタイル名:E・LOVEる

詳細:

特に理由はないが、偉くなる。威圧感が高まるらしい。しかし、凡人である。(それ以外取り得がないかもしれない)




ミンスター

管理人ナンバー:5738122

スタイル:魔術

スタイル名:温和

詳細:

ミンスターの魔力に触れた者は少しだけ和んでしまう。主に反乱や革命防止のための魔術であるが基本平和であるため、何万年と使った事がない。そもそも効果があるのかミンスター自身も分からない。



「してご用件はなんでしょうか?」

「…………用件って言っても」


ライラは春藍に目をやった。春藍がうわ言で言っている世界にやってきても何も反応を示してくれない。ハッキリ言って、ここからは深い海に潜るような事をし続けるしかなかった。



「あたしと春藍、ロイの3人を自由に行動させて。期限とか……ちょっと決められないんだけど。春藍が回復するまで、この世界にいさせて!」

「…………なるほど。事情はそちらもお決まりできないということですか」

「……そうね。それは無理」

「承知しました。しかし、……我々は国を平和に守るため。こちらのお城に衣食住を用意することはできませぬな。こちらにいるということはここで住んでもらいたい」

「分かったわ」

「宿屋はあります。3日は泊められる程度のお金はお渡しましょう」



ライラは大臣を務めているミンスターから少ないお金を受け取った。

管理人の許可が色んな世界に行けるようになったが、どのように扱われるかはそこにいる管理人次第である。マーティ・クロヴェルの対応はちょっと冷たい。平和な異世界ほど、異分子の存在が怖いからだ。

ライラ達はすぐに城の外に出て、紹介された宿屋へと向かった。


「春藍。お前の言っている世界に着いたぜー」

「………………………」

「……ここには来たんだから、次。お前は何を言うんだよ」


春藍を抱えているロイが声を掛けるが、何にも返答が帰ってこない。息はしている。


「たぶん、寝てるのよ」

「そうなのか?」

「思う以上に疲れてたり、ダメージがあったりするはずよ。とにかく、春藍の言葉を聞き逃さないでよ」

「分かったぜ」



春藍の心配をしながら、マーティ・クロヴェルという異世界を観察しているライラ。この世界で使えるお金は少ししかくれなかったが、物価はとても安い。目にする人間達が持っている技術のレベルは高くない。収入源に関しても、魔物の討伐がメインとなっている模様。


「狩猟で栄えている異世界で良かったわ」

「そうだな。俺やライラの得意分野じゃねぇーか」

「……って、ロイ!あんた今。如何わしいお店に目を向けたでしょ!!」

「か、構わないだろ!!俺は男だ!!金貯まって、春藍が回復したら一時間くらい好きにさせてくれ!」

「もー…………」


ロイと一緒に出かけると大抵こーゆうやり取りが起きる。それでもいつも頼りにできる戦士であることは理解できる。

宿屋に着いて、部屋を借りて今後の動きを決めるライラとロイ。春藍の治療に専念したい話をしていたが、2人の知らないところで2つの勢力が同時に動き始めたことは想像できなかっただろう。


"世界の巣"エクスピーソーシャル。管理人達が集まる異世界ではクロネアの召集に何人かの管理人がやってきた。



「緊急招集なんだから有意義なんだよな……ひっく…………」

「またお酒を飲んでいたのか…………龍。身体に悪いぞ」

「クロネア、すぐに話をしろ。これだけの数と質が揃えば十分だ」

「わ、分かりました」


ナンバー020以上の者の召集に集まったのは12名。


桂、龍、蒲生、リップル相馬、グルメーダ・ロンツェ、ヒタス、新橋、怨北王子、無花果、カミューラ・ノパァス、ハイデルモット、クロネア。



ポセイドン、朴、フルメガン・ノイド、ベィスボゥラーには連絡はしたものの、おそらくその連絡に気付いていないのだろう。ベィスボゥラーは無視しているのかもしれない。



「まだ憶測ですが………………。ついに現れました。最後の、黒リリスの一団の一名。ハーネットが、……この時代にやってきました。彼は今、フォーワールドに住んでいる春藍慶介という身体に入っているようです」

「!!」

「…………………」


桂だけはクロネアの発言の半分を予想できていた。だが、それ以外の者達はパイスーの再来を予感させる凶悪な人間の出現に驚きまくった。いや、来るとは思っていたが、本当に来ると……。



「テ、テメェ!!クロネア!!なら、こんなくだらない会議を開かないでぶっ殺す命令を出すもんだろ!!酔いが吹っ飛んだぞ!!」

「!……………すみません、龍さん」

「とにかく!やってきたって言ってもだ!!力が完全にならねぇ内に始末するしかない!」



龍が勝手のようで当然の反応をした。だが、冷静な蒲生は助言する。



「しかし、ここにいる12名。全員が行く必要はなかろう」

「!蒲生のおっさん!」

「以前、ゼオンハート等が集団でパイスーと戦い。逆に全滅してしまった。この中にも戦闘向きの者とそうでない者もいる(ハイデルモットとかそうだし)。余計な被害は作りたくないものだ」



管理人が少ないという現状は変わらない。蒲生はこの中で一番の実力者で、統率するべき権利を持っている桂に確認する。



「桂さん。メンバーは自由意志より、桂さんの選定で決める方が良い。ハーネットと同じ領域にいたパイスーと戦ったあなたが決めるに相応しい」



蒲生の気遣い。彼にはハーネット以外にも、春藍という人名にも耳を傾けており、彼が桂の知り合いだということも知っていた。


「かたじけない、蒲生」


桂は………………


「ハーネットの討伐に参加するのは4名だ。討伐にはどんな手段も問わない。邪魔する者も殺してかまわない。……そして、選ぶ四名は…………拙者、龍、蒲生、……そして、ヒタスだ。このメンバーが、最高戦力だ」




管理人達が討伐軍を決め、いざマーティ・クロヴェルへ向かおうとするまでの間。別の異世界でも、ある組織の召集がなされた。


「デュフフフフフ。ついにやってきたというのか」

「待ちくたびれたぜ、この野郎」


ブライアント・ワークス。

ダネッサ、ケチェリ、大塚、ナルア、ヘット・グールの五名がすでに集結していた。彼等もまたハーネットを狙っていた。


「!!」


その彼等の前に現れた黒い龍の仮面を被った博士と思わせる大男がやってきた。彼がやってきた時、五名の顔は凄く引き締まった。大塚やナルア、ヘット・グールは敬意の眼差しを送った。


「……皆の者、久しいな」

「はっ…………」

「これより作戦を決行する。ハーネットの身柄を確保しに行く」




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