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RELIS  作者: 孤独
伊達・ネセリア・ヒルマン編
191/634

~息抜き~⑧

博覧会開催まで13日。クロネアが頼み込んだ助っ人達がやってきた。



「人間としてはこの手の行事は成功させた方が良いのですよ」

「そうなのか……。ま、俺は祭が好きだから来ただけどな。蒲生のおっさんも呼べば良かったのによ」

「あの人を呼んだら会場が壊れますよ……」


管理人、龍とその弟子兼部下であるグルメーダ・ロンツェ。そして、



「新入りの初仕事はどんな気分だ。なー、ヒタス」

「……かっ。なーんでヒタス様がこんなかったりぃのに参加しなきゃいけねぇんだ?」


管理人ヒタスも呼ばれた(グルメーダに連れて来られた)。


「私があなた方、管理人のトップになりましたからね」

「人間に指示されたくねぇーぞ!!この野郎、ヒタス様の"支配拳"で操ってやるからな!!」

「!おっと」


ヒタス

スタイル:超人

スタイル名:支配拳

殴った対象物を一定時間支配する事ができる能力。全身を殴りつければ相手を完全に操ることができる。



思いっきりヒタスはグルメーダを殴り飛ばし、身体を支配してやろうとするが…………上手くいかない。


「痛いですね~……腰にきますね」

「!な、なんでテメェはヒタス様の"支配拳"が効かねぇ!?」

「おい、ヒタス。次、グルメを殴ったら俺が処刑するぞ。…………いいじゃんか。祭は楽しいものだから、準備も盛り上げようぜ」


脅しも込めて龍は楽しそうな顔をしている。ヒタスはさすがに龍との戦いは避けたいため、渋々後ろについていく。グルメーダも殴られて痛い顔をしているが、平然と歩いている。超人の拳を浴びれば骨折にできそうな細身のはずでも…………我慢とは違う何かの理由でグルメーダには効いていない。


「おーい、来てやったぞ。喜ぶが良い~」

「……龍管理人。彼等はどうやら疲労で寝ているみたいですよ」

「死んでそうだな、ここらへんの人間共は……」



やってきた3人だが、人間やクロネア達は疲れのあまり倒れたまま。


「ヒタス様の"支配拳"で操ってやるか?」

「まぁまぁ、ここは龍管理人の方が向いています。ねぇ?」

「おぉぉ~い。しょーーーがないなぁ。頼られちゃやっちゃうぜー」


とても嬉しそうな顔をしている龍。頼りにされているからだろう。龍は"ラ・ゾーラ"の空間をかなり引き伸ばした。この空間内にいる生き物はおそらく生きた心地がしないだろう。"ラ・ゾーラ"の間合いに入ったら龍の思うが侭に能力が炸裂する。



「"イッツウピンフツモ裏ドラ1飜"」



感覚を自由にぶっとばすことができる"ラ・ゾーラ"は視覚や聴覚のような、代表される五感だけに効果があるものではない。

今回使用した力は、生命体にある"疲労感"をぶっ飛ばす力。



「………ううっっ」

「ん?……んん」

「つ、疲れが消えていく…………」



使い方次第では回復役にも回れる龍。だが、"ラ・ゾーラ"の空間外に出れば蓄積していた疲労がまた襲い掛かる。


「龍管理人、来ていただいてありがとうございます」

「俺のこと頼ってくれてんだろ。いつでも相談に乗るぜ。それが大人だもんな」

「は、ははは………………」


"ラ・ゾーラ"の空間はそこまで広くはない。全員の疲労がとれても、仕事ができる状態にあらず。


「ありがとうございます。グルメさん。お二方を呼んでいただいて」

「別に師匠とその部下だから」

「ヒタス様はテメェの部下になった憶えはねぇ!つーか、そこの雑魚。ヒタス様になんの用だ!?」


ヒタスはとても嫌そうな顔でクロネアを睨んだ。


「あなたの"支配拳"の力を貸して欲しい。治療や休息する暇がない。ここにいる人々を20日間は眠りも食事も必要ない状態にして欲しい」

「あ~~~?テメェ、正気か?麻酔をぶち込めってことか?人間にもさせるのか?死ぬぞ」

「死にません。手も打ちますし、あなたがそうさせないはずですから」


クロネアもヒタスの眼力に負けない目つきで睨み返して言った。


「そんなになりたきゃ、ヒタス様がさせてやるよ。死んだら後釜をちゃんと捜せよな!!」



ヒタスはクロネアの頭を両手で叩いた。たったこれだけで"支配拳"は完了。今、クロネアの身体が持っている異常事態はヒタスが全て支配した。クロネアは感じることもできない。

試しにクロネアは思いっきり走って龍の"ラ・ゾーラ"の空間から出た…………本来、襲われるべき疲労をまったく感じない。


「…………ふふ、ありがとうございます。じゃあ、残りの方々にもその技を使ってください。これでみんな働けます」

「狂った野郎だな」


この技はヒタスが拷問するために生み出した物。それを利用するクロネアはとにかく、良い意味で狂った奴だった。


「……………あれ?もしかして、ヒタスの方が大事だった?」

「今さらですか、龍管理人」

「なんでだよー!"ラ・ゾーラ"凄いじゃん!!」

「空間内でしか効果が適用されないってのも、少々限定がきついですよ」


龍とグルメーダ、ヒタスはクロネア達の作業をずーっと見学していた。勉強になると関心しながらメモをとるグルメーダ、見学に飽きてきたヒタスはどこかで眠っていて、龍は銭湯で泳いだりしていて愉しんでいた。

20日間も眠らずに食事もいらなくなった者達が本気で頑張って、博覧会の準備をしている。その中、仕事以外の言葉を発しなくなった。倒れることはなくなったが、ボーっと意識が遠のきそうだった。



「ううぅ……………」

「えーっと…………」



疲労は感じなくされても身体の違和感に人々は気付く。立つことすらままならない者も現れ始めた。生きるために死ぬような苦痛を味わう人々。

働くの度が超えている。働かされる度も越えている。こんな矛盾を味わうのも労働。博覧会はとうとう迫ってきた。




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