え?
あの…………痛いです。痛い。痛い、痛っ…………。
起き上がりたいけど……。なんだか…………怖いです……
でもでも、……なんだか、眠くなる…………。それがとても怖いです……。
寒いです…………力が抜けてきます………心が冷えてきます。
「…………………」
ライラはどこにいるのかな…………?無事なのかなぁ……。
アレクさんやロイは無事かなぁ。
春藍は…………無事だよね…………。
「…………………」
またみんなと出かけたかったです……。旅をしたかったです…………。
あれ?……なんで、私は…………そんなことを…………。え?
もっと素敵な出会いが欲しかったです。
暗くなって嫌だな………
世界でも人でも、……何でも、私が心から喜べる何かと出会える時間が………
光と音が消えちゃう………………。誰か起こしてください…………。
…………………………………………………………
…………………………………………………………
死んだ…………私、死んだのです…………。
え?
……………………
…………………
……………
…………
……
…
倒れるネセリアはくったりとしていた…………。
生きている者達が彼女に目や意識がいったのは少し先のこと……。
「こいつが最後の敵か」
「心が崩壊していますね……危険ですよ」
「三人掛かりで行く」
朴、蒲生、龍の三名が他の異世界から多くの管理人達を呼んでフォーワールドに戻ってきた。最後に生き残っていたリア、暴走している彼女を止めるべく、三人掛かりで挑んだ。
3人はとても一方的な仕打ちをリアに浴びせた。言葉などなく、彼女を破壊することだけを考えた残酷な仕打ち。人間が管理人に歯向かうとどうなるか分かる光景。
ライラと春藍はそれを目撃していて、悲痛な叫びを上げていた。現場に到着した二人だったが、ベィスボゥラー達に制止されていた。リアは味方ではないけど、……。同じ人間だ。いつかは仲間になりたい、したい人だった。
あんなに酷いことをしないでと。ボロボロに泣いて言葉にできない声で叫んだ春藍。
リアの体は酷くボロボロになっていた。
死んでいるのに機械でできている彼女を細かく分解、クラッシュさせる。
綺麗な青色のウェーブヘアは張り付く皮膚ごと全て抜かれた、お嬢様衣装に身を包んでいたが、服はボロボロに朽ちた。だが、それ以上にリアの体は分解されていた。こいつは人間じゃなく、機械であったと証明するほどだった。
春藍に触れてくれたあの冷たい手もなくなっていた。触れられない、触れることもできなくなった。リアの、笑った顔も、泣いた顔も、怒った顔も……顔そのものがなくなった…………。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
春藍は壊れるほどその場で叫んだ。
どうすれば良いかではなく、どうすれば良かったのか。……過去に戻りたいと願いたいところで意味はない、あの時の自分がどうすれば…………彼女がこうならないのか。今、それを知りたかった。
「リアアアアアアアアアァァァァァ」
戦う事が好きなようで、平和な日常を心の中で求めていた。友達や音楽が好きで、……きっと穏やかな暮らしを夢見ていた。たったそれだけの夢くらい、あげたいくらいだ。心の中で隠していた本当の気持ちが、春藍には分かっていたからとても悲しかった。
その場で倒れこんでしまいそうな春藍をライラは支え続けた。春藍の震えている心がよく伝わった。色々、まだ迷い続けている彼を支えたく。自分の迷いをごまかして、泣きながら耐えた。
「!…………え?」
だが、ライラもまた人間である。
彼女が第一発見者となって、……ネセリアの遺体を発見した。
リアに撃たれたと思われる傷が見え、冷たい顔をして横たわっていた友達の姿を見て。
「ネ、ネセリア…………?ネセリアなの…………?」
叫ばずに頭が真っ白になって…………立ったまま、呆然と立ち尽くした。意識を取り戻すのに7時間以上は掛かった。
人々に大きく爪跡を残した戦争であり……管理人にも影響を及ばした戦争でもあった。
世界が揺れた時代であった。
だが、……揺れが今。しっかりと止まった。
"黒リリスの一団"が壊滅という形。敗者が決まったからこそ、戦争は終わったのだ…………。
戦争は必ず終わる。影響だけは一切治らぬことだけなのだ。