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RELIS  作者: 孤独
VS黒リリスの一団編
164/634

死闘①~"一輪の向日葵"(サン・ザ・サン)~


明らかに桂の援護ではない。


「始まりますよ!」

「おいおい、逃げないとやばくね?」

「当然だ」



ポセイドンの集中攻撃が発令された事により、主力の管理人。朴、龍、蒲生などなど。六名は即座に別の異世界に逃げていった。巻き沿いにされる可能性が高いからだ。


「あれ?なんでしょうか?」

「あ、明るいですぞ。何かが来てますぞ」


シェルターに入り、戦争の光景をカメラで見ていた謡歌達が見たのは明るい何かだった。


「なに?」


明るい何かがどんどんと広がっていく。綺麗な軌道を描いており、見ている謡歌達にはまるで大空を舞う鳥達の群れみたいに見れたことだろう。さらに近く見え始めるとそれが兵器だと気付いた。自分達が大空を舞う鳥達の群れと思うだけの、とてつもない数のミサイル群。



「"一輪の向日葵"(サン・ザ・サン)」



かつての人類が使用していた科学兵器の一つ。

低コストで強力な破壊力、殲滅力、広範囲、大量生産可能という利点があり、小国が止められない単純な武力でもあった。

綺麗に描く軌道、鳥達の羽ばたきと思わせる壮大な量。



「!!四方からなんか来るぞ」

「!始める気か、ポセイドン」


爆炎の形が向日葵によく似ていることから、兵器の名が付けられた。一発一発が強大な炎を生み、あっという間に、炎で埋め尽くされた向日葵畑に変化する。



「!!ミサイル!?」

「拙者も道連れか……時間稼ぎに拙者を利用しおって」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



咲き乱れる炎の華達。……タネのように空中に蒔かれる黒い煙。大地の養分を吸い上げるかのようなマグマに近い炎は技術開発局を熔かした。

だが、ポセイドンの攻撃は止まることを知らず、範囲をさらに広げて技術開発局を中心とした爆撃だった。



「え?」

「は?」



ヒュール、広東、山佐の3人は映像が途切れるまでミサイルの爆撃に恐れを抱いた眼で見続けた。技術開発局だけではない。南、北、東……おそらく、この攻撃はフォーワールド全土を沈める攻撃だと気付ける。凄まじい爆撃でカメラは全て破壊され、外の様子は完全に分からなくなった。それでも、身体で感じられる出来事はすぐに起きた。



ゴゴゴゴゴゴゴ


「シェ、シェルターが揺れている!」

「外で爆弾が降っている!!」


安全と言われているシェルター内にいても、不安が圧し掛かるほどの衝撃。自然とシェルター内部が熱くなってくる。凡人が外に出ていれば焼死体にされていた。衝撃を感じ取って、ヒュール達はこのシェルターに一緒にいたクロネアとラッシに詰め寄った。



「く、クロネア!これは一体どーゆうことだ!!?」

「この攻撃は明らかに我々にも影響がでますぞ!!」

「あたし達は避難することを選んだけれど、これは取り返しのつかないことですわ!」

「…………………」


クロネアは答えなかったが、ラッシがガサツに答えてくれた。


「…………いいから、黙ってろ。決着がつかねぇー限り、出す気はねぇ」

「な、なにその返し方…………」

「ほ、他のシェルターはどうなっているんだ?」

「そうですぞ!確か、一部は……………」


ここにいる住民達の不安が、現実として起こりえた場所があった…………。

タドマールの住民を移住させた事により用意されたシェルターに収容できない人数も若干名いた。彼等はシェルターではないが、頑丈な建物の中で避難をしていた。だが、シェルターとしての機能はまったくなく、"一輪の向日葵"の爆炎に飲み込まれていた。



「嫌だぁぁぁっ!!」

「死にたくないいぃぃっ!!」

「熱ぃぃっ!!」

「だずけ………で…………」



多くの人間が苦しまず、泡が弾け飛ぶように命を散らした。だが、一部の人間は即死することができず、焼ける身体を魂に刻んだ。滅び行く身体を味わって、拒絶して死んでいった。

安全と呼ばれたところに避難しても、一定水準の安全でしかなかった。戦争や災害は天井知らずの被害が生まれる。

ちゃんとした安全な場所で映像を見た人間達は管理人達に詰め寄った。特にヒュールは強く声をあげていた。


「なんなのですぞ!!?この光景は!!?この爆撃はなんですぞ!!?フォーワールドが終わってしまうぞ!!」

「………………」

「うるせーよ、……ヒュール」

「ここまでするのが戦争ですぞと……、?……本当にこれが一部で、極少数の人類に向ける戦火なのかぁぁ!!?何もかも焼けているではないか!!」

「うるせぇんだよ!!人間共!!こうまでしなきゃ、くたばらない人間がいんだ!!!こうまでしなきゃいけねぇ、邪悪があるんだ!!!」

「ラッシ等の言う邪悪とは何か!!?我々は何も、……何も、貴様等以上の情報をもらっておらぬのですぞ!!!」

「あーーー!!?やんのかテメェ!!?死にてぇのか!!?」

「止めろ!!ラッシ!!」



今まで沈黙を続けたクロネアが口を開いた。キレたラッシを抑えながら、ヒュール達に説明する。


「ヒュール。山佐。広東。…………私とラッシ。ゼブラ達が、フォーワールドにいる全ての人々にできる事をしている」

「なんですぞ!?」

「君達の命の保障。いいかい?命が大事だと理解して欲しい。君達には作り出す力があると思っている。建造物じゃない。この先の未来を作り出せる力を持っているから、このシェルターに入れている」

「我々に情報をくれぬというのか!!?言葉では誤魔化せぬですぞ!!クロネア!!」

「3人がパイスーの…………悪という言葉を知るには終わってからでもいい。必ず話す」

「!…………」

「私達ができるのは戦争が終わるまで、死なないことだ。身を守ることが大事なんだ。でなければ話せない」



生存することと、真相を知ることは違う。から……。クロネアはここでどんな言葉や力を受けようという眼をしていた。ラッシも一時は怒ったが、クロネアの行動に納得してその気持ちになった。

ヒュール達はこのやり取りを境に言葉を閉ざした。

外が静かになるまで待つしかない…………。




バヂイイィィッ



【この世界は広いな……】



ポセイドンは"一輪の向日葵"の火炎から身体を守るため、アーライアで春藍達が搭乗したロボットに似た物の中にいた。自ら巻き込まれるような事はさすがにしないポセイドン。まだまだ強力な兵器が必要だと感じていた。



【む】


技術開発局全てが焼き尽くされ、フォーワールドの全てが炎に包まれている中。内臓されたレーダーが捕らえた生体反応が二つ。まだここから遠くにあるというのに、レーダーでは追いきれないほどで動き始める。やや無駄な動きも見せていたが、両者の戦闘における勘がすぐさまポセイドンのもとへ運んだ。



ガジャアァァッ


「やってくれんじゃねぇか」

「殺される覚悟ができたというのはいい事だぞ、ポセイドン」

【パイスー……桂か…………】



あれだけの爆撃を浴びたというのにその身体能力が低下することはなく、本来ならば焼けるほどの身体になるはずが、屈強という枠を飛び越え、異質の身体能力によって火傷すら負わないパイスーと桂。纏っていた服はボロクソになっていたが、おかまいなしに最強の管理人と最強の人間がタッグを組んで、ロボットの中に閉じ篭るポセイドンと拳と刃を向けた。

"SDQ"ですら一定時間耐え切るこのマシンに乗っているポセイドンにとっては2人の攻撃がとても野蛮で芸の無いものだと感じ取っていたが、一瞬で恐怖に晒される。


「"折牙"」


ガゴオオォォッ



単なる貫手で風穴を作り出すパイスー。穴から入ってくる熱風と温度に身体が熱くなっても、心は冷え切るポセイドン。あまりにも想定外で声もあげてしまった。



【な、なんだと!?】



パイスーの攻撃はリーチが短く、ポセイドン自身には届かなかった。だが、桂の居合切りは十分にポセイドンの身体も入っていた。



キイィィィンッ



綺麗に澄んだ音が鳴り、ロボットと一緒にポセイドンの身体が真っ二つに斬られる。オイルと共にポセイドンの血が外にも中にも飛び散った。



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