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RELIS  作者: 孤独
VS黒リリスの一団編
159/634

こいつだけは底が知れないのでと、誰もが思っている


「"獅王戦神"」



梁河とザラマ、リアが倒されるもしくは死亡する少し前の事である。

パイスーは桂、ポセイドンという目当てが視界に入った事で本気のスイッチを入れた。

人間でも管理人でも、存在しない両方の能力を兼ね備えた"ダブルスタンダード"の扱い方を知りながら、抑えていたのはしなくても勝ててしまう、生き残ってしまう戦場が多かったからだ。


「感謝するぜ、ハーネット。"RELIS"」


自分の"超人"の肉体を魔力で覆い、獅子の能力を再現しさらに強化する。肉体がやや大きく、太くなり、長く鋭く伸びている爪、生える牙。毛皮のコートも追加された。

通常の視野も広くなり、耳も嗅覚などの感覚器官も軒並み強化。

タダでさえ強いパイスーがさらに強くなるという、単純で単純過ぎる力。分かりやすい最強。



「!」

「ほぅ」



バトルロワイヤルの領域の中、桂とポセイドンの視線が変貌するパイスーに向かった。ポセイドンの顔に一汗が流れてくる。握る巨大ハンマーがほんの少し揺れた瞬間、ポセイドンは自分自身の骸を見てしまった。



ガギイイィィィッ



音と閃光が激しく発生した。パイスーの意識がポセイドンより桂に向いていたという事実が、ポセイドンの死を回避させていた。桂は"雷光業火"で反応に成功し、わずかに力で対抗できたことで致命傷は防いだ。パイスーの豪腕で飛ばされる桂だったが上手く着地する。


「!」


たったの一撃でこれか。


「強いな」


攻撃を受けた刀にヒビ。桂の持っている名刀の一本…………。身体にも傷ができている。完全な防御でも、ダメージを負うということを理解した。そして、パイスーは桂を狙った後、すぐにポセイドンの方へ身体を切り返し、向かっていった。長く鋭い爪と、発する殺意のせいか巨大に思える右手で引き裂かれる技術開発局。パイスーの攻撃を巨大ハンマーで凌いだポセイドンであったが、彼もまた桂同様に豪腕で吹っ飛ばされる。加えて、パイスーの攻撃の余波でポセイドンの近くにあった床が崩れ落ち、下へと落とされた。



「っ……………」


もし、我が先に狙われておったら死んでいた。



ポセイドンと桂はパイスーの力量を理解する。リスクなしで倒す事は不可能。

パイスーだけではなく、もう1人もこの場で葬りたいという魂胆も確かにあるが、ひとまずここは共同戦線をするべきと二人が動いたのは当然だった。



「"アレ"があれば手を貸りるつもりはないのだがな…………」

「少し前の我ならば造作もないはずだったが、仕方あるまい。命は代えられん」



パイスーの望んでいる展開はバトルロワイヤルではない。

管理人の最強戦士と謳われる桂、ポセイドンの両名を同時に敵に回す事を望んでいる。1VS2という数での不利も望んでいる。とてつもない困難の選択肢になることを今のパイスーは望み、それを誘うように両者の距離を遠ざける。



「始めようぜ。桂、ポセイドン」

「…………………」



困難に打ち勝ってこそ、最強を味わえる。



ゴ~~~~~~~ン



「!!」

「むっ」


鐘が鳴ったような音がパイスーと桂に届いた。緊迫した空気を切り裂いて、狂わせるような音だった。この音が鳴った原因はポセイドンが持っていた巨大ハンマーだった。床に叩きつけて発生した音、巨大なわりに物を壊せない。このハンマーの特徴は生み出すことにある。


ポセイドンのいる階を変型と再構築させて生み出した物、パイスーと桂の真下から出現するようにしたそれは一瞬で2人に襲い掛かった。



ドゴオオォォッ



「うおおぉっ!?下からでかくて、動く人形が出てきやがった!」

「拙者も襲い掛かるのか?」


"守護の工具・金鎚ゴールデン・ハンマー"

巨大ハンマー型の科学。叩いた箇所から何かを生み出すことができる。使用者の創造力によって性能や形に変化が生まれる。ポセイドンほど優れた創造力を持った人物が遣えば、生物すらも再現することができる。


ポセイドンだけは低い位置におり、2人からは見えない位置でもあった。この優位を利用し、様々な科学を次々と使い出す。一体どこに隠し持っていたのか、聞きたいほどである。ポセイドンが次に取り出した科学は首輪を付けられ、裸にされている二頭の人間(♀)。そーゆうタイプの科学。人間型科学。非道な状態を作り出しているが、ポセイドンなりの創造美学に誰も口を挟んではいけない。この科学の真価を見せるには条件がある。出された二頭の人間の唇に、ポセイドンは何も抱かずに口づけをする。


「んぁっ…………」

「ポセイドン様ぁぁ」


二頭の人間は口づけをくれたポセイドンを求める表情を出し、おなかに異変を訴える動きを見せた。


「はううぅぅ」

「生まれますぅぅぅ」


彼女達はポセイドンの子供(管理人には生殖器官はないため、正式には分身)を作り出す。口づけに2秒、子供の誕生に6秒。子供が成長し、大人になるまで12秒。"人口問題を飼い穴する牝犬(フルートゥ・QSビッチ)"首輪で繫がれた二頭の裸の人間(♀)型の科学。2人にキスをすることでキスした人物の子供を2人生殖する。親の言う事を聞き、その能力を半分受け継ぐことができる。



「足止めをしていろ」



ポセイドンはそれだけ子に伝え、自分はどこかへ向かっていく。奴等の戦いに付き合ったり、ペースを合わせるつもりはないポセイドン。自分のリスクを回避し、捨て駒をいかに使うか考えた行動だ。



ドゴオオォッ


「卑怯が強さとはいわねぇーが、ちっとはまともな戦闘力を出せよ!」


パイスーが桂よりも先にポセイドンがハンマーで造り出した生物を撃破。続いて、桂が撃破する。


「奴の戦いには知はあるが、礼儀が無いな」

「不意打ちが得意なテメェが言うんじゃねぇ、桂!!お前も似ている!」

「ふ」



桂もいよいよ仕掛けてくる。ポセイドンの動きも警戒しなければいけないが、まずは現在の敵であるパイスーと戦える力量がなければいけない。今のパイスーは間違いなく強い。集中力を高め、刀を握る桂。

眼にも映らない抜刀から繰り出された綺麗な斬撃は間合いから確かに離れていたパイスーに向けられた。パイスーが豪腕で桂の攻撃を逸らし、数キロ先で刀の攻撃は止まった。



ガゴオオォォッ



「やろぉぉぉっ、この建物を斬りやがったな。そこからあそこまで」



桂の刃を弾き、逸らしてしまうパイスーの豪腕も恐るべきところであるが、直撃は確実な死。それも綺麗に真っ二つだろう。斬られた箇所に危険物があり、爆破。火災もチラホラ発生する。


「お返しだぜ!」


パイスーも桂を真似るように一つの貫手に集中する。自分の右腕がドリルのように激しく回転させながら、光の如く撃ち抜いた貫手。一連の動作が速く正確であり、生み出されたパワーは一切削がれず、空気を津波のように押す。


「!!」


一度はパイスーのように弾いてやろうと桂は思ったが、感じる風に危機感を抱き、"雷光業火"で緊急回避する。



「折牙・嵐駕」


貫手が向けられた方向には見えないが巨大な竜巻が通り過ぎたかのように、桂の斬撃と異なって広角に広がり、崩壊の被害が起こる。また、パイスーの中心から何者も寄せ付けない力が飛び出し、上空に浮かぶ雲が吹き飛び、パイスーがしっかりと踏み込んだ床も粉々に破壊された。漠然と彼の近くにいるだけで大ダメージ、もしくは死すらありえる光景。




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




焼き、斬り、殴り、爆破される技術開発局。フォーワールドでもっとも強固な施設でもすでに限界を超えており、ポセイドンとアレクはこのまま戦争が続けばここの限界が残り7分あるか、ないかと予測していた。

ここの崩壊はフォーワールドの崩壊と同義……。

それを止めたい者。多大な犠牲を生んでも討たなければいけない者達。一人を手に入れるため、全てを壊したい者。そして、全てを止めたい者。



何かに必要な戦争が中盤まできた……。




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