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RELIS  作者: 孤独
VS黒リリスの一団編
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追いかけっこの決着



どこかな?どこかな?どこに隠れているかな~☆いつもグチャグチャに散らかっている倉庫みたいな場所に逃げちゃうと捜すのが大変ですわよ~☆



「出てきなさ~い、な~にも抱かせないから~☆」



左腕は機関銃、右腕はバズーカ。

リアの執拗で粘着がある追いかけに春藍はギリギリで逃げ切っていた。


「早く来なさ~い☆じゃないと~☆」


リアは春藍のことをペットと公言しているように、野生の兎を狩るように楽しく甚振る。肉食動物の性を出している。


「ここもぶっ壊す☆」


発射された弾が当たって死ぬのも良い、バズーカの炎に焼かれるのも良い。落ちる瓦礫に挟まるのも良い。リアにとって左目で感知している春藍の体温が消えてくれるのが良い。

幾度と無くフロアを破壊し、崩しても春藍の体温を感知しているため生存が分かっているリア。



ビギイイィッ



「はぁっ……はぁっ………」


春藍は逃げながら準備を整え終えた。あとはタイミングだけだ。見せ付けられる破壊、自分がここで働いていたという思い出が壊されるところと一緒に見て…………。恐怖はある。楽になりたいならって思う事もある。



「死ね☆」



銃撃と爆撃が始まる。音と同時に最後の仕掛けを自分に施し、生き延びることを信じる春藍。



ガゴオオオォォッ



「ひゃははっはははははっっ☆死ね!死ね!死になさい☆」



春藍が逃げている様子がレーダーで分かる。それを阻むようにリアは逃げ道を先に封殺する。逃げるには自分と向かい合うようにさせる。


「うっ」


春藍の声がリアに聞こえる。そして、周囲のフロアの天井が崩れ落ちてそれが春藍に直撃しようとする刹那。


「うああああぁぁぁっ」


春藍の恐怖の叫びと、リアが感じていた春藍の体温のレーダーが消失。



ガジャアアァァンンッ



押し潰されたか?それとも弾に命中したのか分からないが、確実に言えるのはよーやく消えた。


「うふふふふ、死体の拝見と行くわよぉぉっ☆」


奪い取る備品は何がいいかしら?やっぱり、○ニス?器用な両手?脳髄?人々が喜びそうな脊髄?内臓?


最後に体温が消えた地点の方へ銃撃で落下していた天井なり物なりを弾き飛ばす。


「うふふふふふふふふ☆」


その行為そのものにリアは気付けていない。気付こうとしない。そして、リアは発見する。無残に押し潰され、払いのけるために使った銃弾も浴びた春藍の死体。腕が変な方向に曲がり、足は瓦礫に押し潰されている。心臓はギリギリで動いているようだが、動けず冷え切った身体になっている。血管と皮膚を破裂させて、トロトロ流れている血の色と量に火照るリア。

この絶望以外にありえない。口や言葉だけではどうにもならない、悄然とする状態に追い込まれた人間がいれば満たされる。力無き者が発する言葉や経験というのはどれだけ無力か伝えられる。



「ははははははははははははは!!!ひゃははははははははは☆」



春藍の胸を踏み潰すリア。迷いがないと公言したとおりの完璧な殺害。もし、春藍の視力が生きていたらどう思うだろう?助けてくださいリア様。なんでもしますから助けてくださいと、懇願する?え?早く死にたい?どっちなのか、左目は位置しか分からない。心も分かったら嬉しい。


「どう思っていたのかしら☆ワタクシに踏み殺されるのはどう思っていたのかしらね!!?」

「リアは結構優しいって思ったよ」

「へぇー……」



死体が口を開けたわけじゃない。でも、声が聞こえた。そこに転がっている死体からちゃんとした春藍の声が聞こえた。よく見ても春藍そのものと理解でき、踏み潰した感覚も人間そのもの。そう確信できるほど精巧すぎる偽の死体だった。管理人すら騙しきった腕で、今度はリアも騙した。



「!」


それに気をとられている間。心臓がドキッと驚いたそんな不意に、優しかったが冷たくて見えない手が左肩を掴んだ。その感触がリアに伝わってまたドキッとした。"創意工夫"が発動し、左腕が酷く酸化していき、きついサビを身体に埋め込んだ。



バギイイィッ



「このぉっ!」


感触が分かるが、位置が掴めない。ちゃんとした目、レーダーを持ってしても春藍の姿を捉えられない。春藍は無言で追撃する。今度はリアの右腕を変型させる。普通の人間ではこう上手くはいかない。リアが……失礼だけど、科学であったからこそ変型までの時間が早い。



バギイイィッ



リアの抵抗が強く、掴んでいた両手が離れる。そして、制限時間が来てようやく春藍はリアにも見える状態になった。抵抗が苦しかったわけじゃなく、自分に施した人体改造のツケが回って来た。

リアのレーダーに春藍が今だ映らない。目に見えているのに映らない。



「は、ははっ……」



身体が震えている。春藍の体温は冷え切っていて、人間の体温ではないからだ。唇が紫色に変わって、鳥肌が立っている。流れている血もとても遅い。身体の動きがのろくなる。


「"人体改造"を実戦で初めてした…………」


春藍と"創意工夫"は色々な経験からその先の領域に踏み込んだ。

"人体改造・変色モディフィケーション・アクリアス"、一定時間自分の体を透明になるように改造。

"人体改造・熱心モディフィケーション・ソウルヒート"、体温を変える改造。

人体というそのままこそが生きている状態、それを崩すことはとてつもない負担になる。フラフラでとても今のリアから逃げ切れない。春藍の口が動く、


「もう終わったんだよ、リア」

「何を」

「君は僕に捕まったんだ」


リアはその言葉に憤慨し、春藍に暴力を振ろうとした。錆びてしまった左腕、



バヂイイィィッ


「っっ!!?」


逆に動かない右腕はリアの身体や床にくっつくほどの強力な磁力を発し、身を強く打ち付けられた。転倒かつ動けない。もがくリア。



「こっ!?何がっ!?」

「…………リア」


春藍は無理を押して、リアに近づいてさらに身体中に"創意工夫"の能力で見えない磁場のロープでリアの動き、行動を完全に封殺させる。相手がリアだからこそ、一瞬の勝機を掴めた春藍。


「命は……絶対にとらないから」

「!は、離しなさい!!このワタクシを解放させなさい!!これでは管理人に殺されますわ!!」

「何を言っても離せないけど…………」


春藍はリアの両腕の形状をちゃんとした人間の腕にしてあげた。でもそれだけ、そして手をちゃんと握り締めた。丁度、自分と同じくらいの温度だった。




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