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RELIS  作者: 孤独
VS黒リリスの一団編
151/634

春藍の話したい人。終わりだから話したい。



「あ、あれ?」


ネセリアは春藍が立ち止まって何かをしている事に気付いた。


「どうしたの、春藍?」

「あ。ネセリア…………僕はここにいるよ」

「ひ、1人だよ!きっと危ないよ!!」

「…………でも、いきなり。パイスー達と出会ったら、僕は止められないよ」


春藍は自分の力を認識していた。本来なら誰と戦っても春藍に勝ち目は無い(ネセリアもそうだ)。だが、ここが戦場であれば勝機はある。地の利もあるし、春藍が扱える"科学"も転がっている。


「アレクさん。僕はここで戦いますから……どうか。ネセリアをお願いします」

「…………あのな」


アレクはパイスー達と戦うつもりだった。けれど、春藍とネセリアも同時に守るつもりでもあった。だから傍にいて欲しかった。


「お前には無理だ。まだ俺の傍にいろ、全部守ってやる」

「……嫌です!アレクさん…………、僕には分かる」


春藍にはなんとなくであったが、アレクの核心について言えた。


「僕が傍にいたら、アレクさんに迷惑がかかる。アレクさんは強い人だって分かるから、ここで僕は戦います。その方がきっとアレクさんは安心して戦える。僕とネセリアという枷がないアレクさんなら、きっと。パイスーに…………戦える人です」

「………………」

「僕とネセリアはきっと、ライラと一緒にいれば良かったと思います。だけど…………」



言葉が詰まっている。

アレクには春藍が言いたい事が分かる。俺がそう思っているんじゃなく、お前がそう思っているんだなって、……凹んでしまう。父親っぽい、上司としてお前を思っていたのに。


「……ああ。そうだな」

「!」


アレクは暗く、元気なく頷いた。


「お前にそこまで言われると俺も、俺でやらせてもらう」

「アレクさん………………」

「俺はお前が死んだら嫌だからな。それだけだぞ、春藍」


そう言ってアレクはどこかへ行ってしまう。とても追いつけない速度で走っていった。きっとアレクさんには敵の位置が分かっていると春藍には気付けた。あとはネセリアだけだった。


「大丈夫?ネセリア?」

「わ、私ですか……。だ、大丈夫です!春藍に心配されたくないです!」

「アレクさんが行っちゃったよ?僕の傍は安全とは言えないよ。僕には…………待っている人がいるんだ。アレクさんに気付かれちゃったけど」

「?」

「その危ないし、……。僕はネセリアを守れないし。……安全なところで隠れて見ていて欲しい」


守りたいから付いてきたのに。まさか、春藍に足手まといと言われるみたいで


「そ、そんなことしません!私!!ここが好きなんだって旅をして気付けたから、私なりに守りたいです!!は、春藍なんかに心配されたくないです!!1人で大丈夫ですから!!」


ネセリアは怒って春藍の元から去っていった。それが春藍にとってとても辛く思うのは寂しくて心細いという感情もあるから。

こんな誰もいなくなった場所でただただ。目当ての人が来るのを待っている。ちゃんと話せなかった人に伝えたい事がある。アレクさんやネセリア、ロイに出会わないでここにやってきて欲しい。

どうか来て欲しい。僕なりにぶつかりたい人。

君達が消えるまでに伝えたい。僕なりの答え。上手な言葉になるかもしれないし、軽いと思われるかもしれない。だけど、終点に近づく前に君に花を渡したい。



「……………」



だから、来て欲しい。こっちから呼んで


「リーーアーーーー!!!!」


呼べば……。出会える可能性も増える。歩き出しても良い。祈りよりも確実に良い…………。




一方、

春藍とネセリアと別れたアレク。

彼にはやはりというか、敵の居場所が分かっていた。今、巨大な力と巨大な力の激突が始まったところ、次に強い気配を探して早々にぶつかった。行動より祈りより、的確な経験数がそれをさせた。相手方もアレクが現れることを分かっていたようだ。

鉢合わせし、アレクはタバコで一服。隙を見せているようでライターが点いていればいつでも攻撃可能であるため、隙ではない。向こうも分かっている。この戦いがどうなるか、向こう側は言った。


「今度は死闘だな」

「死闘?勘違いするな」


ほぼ同じ系統のぶつかり合い。炎VS熱。アレクVSザラマ。アレクは続けてザラマに伝える。


「死に掛ける気持ちで戦わなきゃいけないのはお前だけだぞ。せいぜい、上手に逃げて命を少しでも繋ぐんだな」


アレクもおっさんだが、ザラマはアレクよりも年上でおっさん。生意気である。タバコを吸い終え、床に落とした。


「一服もしたし、始めるか」

「…………ふっ……」


ザラマの分析力の高さをアレクも理解している。初っ端で脅しをかけたところでアレクのペースであるとザラマには分かる。頭の賢さを利用した有効な一手だ。




一方、パイスーに蹴り飛ばされ、数秒間気絶していたロイの元にやってきたのはインティだった。

パイスーが殺さなかったのは自分に獲物を渡すためだと分かる。綺麗な攻撃で意識だけを奪っていた。ナイフが回るように投げながら、ロイの目覚めを待っていた。



「早くしようよ。ウチが、あんたを待っているんだよ。チャンピオン、ロイ」



インティが一番戦い相手。インビジブルの元弟子。ロイと同じ、友達であり、強敵であった。姿と性別が変わってしまっても、この心の中にある記憶と気持ちが高まってくる。オカシイよね?ロイはきっと忘れてしまった。敗者の事を覚えてもらえるわけがない。いつまでも、死んだ人の顔を憶えていられない。その顔も姿も違うからなおさら…………。魂だけが残っているのなんて、周りから見ればおかしな事。



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