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RELIS  作者: 孤独
VS黒リリスの一団編
148/634

リア + ザラマ VS 龍 

フルメガン・ノイドは粉々にされそうだった。救急車という戦闘力0の乗り物だとしても、耐久性は割りとあった。よくリアとザラマの攻撃を耐えていた。

だが、それもどうやらここまで。



「ごほぉっ…………」



底が見え始めた。彼がやられればベィスボゥラーとリップル相馬も危ないだろう。まさにその時。ゾワリと死に掛けてしまいそうな危機感が来た。


「!!」

「っ…………」



あと一押しで殺せるフルメガン・ノイドを逃して、自分達の身を守るほどの邪悪に等しい魔力がリアとザラマを包んだのだ。一気にそれから逃れ、離れる…………。攻撃はなかったが、これほどのプレッシャーはパイスーからでも感じたことはない。

"魔術"という一点だけで見れば、管理人でもっとも鬼神な力を持つ。



「おーぅ、大丈夫か?フルメガン・ノイド」

「た、助かった。龍が来てくれたのか……………」

「寝てな。ここは俺がやる」


粕珠の幼女体型を見た後だ。インティぐらいの背でも、内に溜まっている黒すぎる魔力の感じ方は鬼そのもの。底知れないダークさ。ハッキリとして分かる強さ。



「今、あの病院が龍と言ったかしら…………」

「蒲生と違って初めてお目にするが……………」


リアとザラマは確信。このガキが、この管理人が。桂とポセイドンという同格の次に来る実力者。あの2人が抜けていると思っていたが、それは甘い考えだ。


「蒲生のおっさんと違って力の制限はカンケーない。超新必殺技をお見舞いしてやる」

「……………」


ザラマには分かる。

先ほど少し奴の魔力を触れたため、リアと共に大ダメージを負っていただろう。魔力の総量はもしかすると、パイスーより上かもしれない。放出できる質と量も自分より上。能力が不明なのも警戒するべきだ。



「"ラ・ゾーラ"」

「!!」

「それが俺のスタイル名。カッコイイだろ」



龍の姿。そして、態度からこの人物は非常に子供だと理解できる。だが、これほどの力を持ち合わせた子供は流れに乗れば手に負えないことがザラマには分かる。


「どんな能力か教えると、"実現陥没"。この恐ろしさがこの説明だけで分かるかなー。身を持って思い知らせるかー」

「ガキっぽいですわね」



リアの右腕は機関銃と化し、龍に狙いを定めるまでもなく。とにかくぶっ壊れろと念じていたことが分かる。魔力の総量から魔術の使い手だと分かる。何千発にも発射される攻撃に龍は


「おいっ」


驚いた顔を見せ


「そこは俺に見せ場を用意するもんだろーーー!!話的にも!!」

「イチイチうざいガキですこと!!」


蜂の巣にされないように粕珠ばりの回避を行う龍。だが、あまりにも弾丸の数が多く。被弾しまくっている。さらには先ほどまで後ろでダメージを喰らっていたフルメガン・ノイドを使って盾にする始末だ。



「な、何をしている龍!!オイラを盾にするな!!」

「うるさーい!!俺の能力は超攻撃型なんだよ!!弾幕は苦手なんだよ!!足いてぇーー!」

「オイラの方が穴だらけでキツイ!!なんとかしてくれ!!」



リアの攻撃も厄介だが、その隣にいるザラマが龍が発する魔力を強く警戒している事を龍は感じている。"魔術"同士の戦いでは魔力の量だけじゃなく、どのように動いているかというのも重要だ。相手に直接ぶつける龍のそれはあまりにも単純。だが、強力だとザラマは察知している。龍が真正面からこの戦局を打開するのは困難だった。



「フルメガン・ノイド」

「な、なんだ!」

「少し乱暴な手を使う。死ぬな」

「な、何をする気だお前!!」



本当ならリアとザラマだけに喰らわせてやりたいが、強力なレーダーを持つ相手には難しい。よって、龍は自分の魔力をより多く早く放出し、ザラマとリアが逃げれないほど周囲を囲む。なので必然的にフルメガン・ノイド、リップル相馬、ベィスボゥラーにも直撃するということだ。



ゾクウゥッ



リアとザラマの背が寒さで凍る。恐々の魔力から繰り出される攻撃。


「"ムコウブチ"」


どんな防御だろうと陥没させる能力。リアとザラマはついちょっと前まで背筋に寒気を抱いたが、そんなものだったらまだ良かったと思い知る。豪腕でもないし、剣によって剥ぎ取られたわけでもなかった。フッと消えていた。



ブジュウウゥッ


「ぐおぉっ!?」

「な、なんですの!!?」



2人の背中が突然、消えていた。背中だけがまるごと突然に消える。その強力な攻撃が龍の"ラ・ゾーラ"が持っている特色。背中を失えば立ちのバランスなどできず、地面に転がる。


バギイイイィィッ




「うごおおおぉぉっ」

「止めるってのー、龍!!」


圧倒的な破壊力であるが、龍の魔力に触れている者達全員に響くため、フルメガン・ノイドもリップル相馬、ベィスボゥラーにも同様のダメージが来ていた。

"ラ・ゾーラ"

龍の定めた空間内ではいくつかの感覚がぶっ飛んでなくなる。この無くなるというのは完全に実現する。


「奴等がくたばるまで耐えてくれ」


味方もろとも攻撃する龍。言葉を聞いても止めるつもりはない。これっぽちもない。発動した時点で5人は背中を失った。もう遅いからでもある。



メキャアァッ



「!」


背中を失ったが、命まではどうやら奪えない。拷問に向いていそうな力であるが、両者の攻撃が届きそうな間合いでは龍の"ラ・ゾーラ"が得意というわけではない。背中を失っても生存しそうな者がこの中にいた。



「不本意ですわよ」

「あぁ~?」

「ワタクシにこんな恰好をさせるなんて、く・つ・じょ・く」



化け物としか言いようが無い変型でリアは兵器を用意する。四つん這いという惨めな体勢で苦しんでいるフルメガン・ノイドの中にいる龍に兵器を向けていた。


「死になさい」

「お」


部位だけぶっ飛ばしてもこの女は死なないだろうと判断した龍は人間の部位や心ではなく、経験や当然という物を"ラ・ゾーラ"でぶっ飛ばした。

感覚だけでなく、あらゆる存在をぶっ飛ばせるその力は単純なパワーだけじゃない。


「"ジゴクマチ"」


感覚が無くなる事を強制的に実現させる能力、そんな感じだとリアとザラマは思っていたが。実際には基本型に過ぎない。感覚とは聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚以外にも存在する。例えば、平衡感覚。体がどちらに向いていて、どれだけ傾いているか、どれくらい動いているかという感覚をぶっ飛ばされると、立つ事はできない。まともに座ることもできない。そして、大きな的だって狙えないほどである。

リアの攻撃は龍の攻撃によって潰される。射撃する攻撃はこれで封殺される。さっき使えば良くね?


「リア。お前、熱は平気だよな?」

「…………ええ、やっておしまい。ザラマ」

「たりめぇだ」


背中がないが、絶命まで遠そうだ。おそらくこれだけの強大な力にはリスクがあると読みきった。行動が遅れれば手を打つ力もなくなる。


「"王族墓地を守護するレッド・レンジ・レコード"」


熱で殺す。フルメガン・ノイドの中にいる龍を討つつもりで行く。


「やべ」


これじゃあ先にフルメガン・ノイドとリップル相馬、ベィスボゥラーがくたばるぞ。この2人、案外タフだな。俺には2人を救う手段がねぇーんだが……。


主力の数で言えば管理人側。パイスーの次の強さに当たるリアとザラマを仕留めれば勝ちは固い。だが、三人も失うのは痛手。お礼が来るか、説教が来るか微妙なライン。そんな気持ちを出していた龍に訪れる、強制的な機会。



「ん?」



まず、やって来たのはインティだった。龍にではなく、リア達の方へやってきていた。その後すぐに龍に対して、距離を"相殺"してきた朴が追ってきた。


「おわあぁぁっっ!!」

「良い所にいますね、龍!それにしても……」


瞬時にやってきた朴は冷静かつ素早く状況判断。速攻の"相殺"



バギイイイィィッ


「!!ね、熱が消えた…………!?」

「そ、それに背中が戻りましたわ!」


龍もザラマも"魔術"であったからこそ救う事ができた。だが、その範囲を広げすぎて龍の攻撃を喰らっていたザラマとリアも回復させてしまったのはちょっとしたミスだろう。

"相殺"という意味は完全な0というところにあるため、しょうがないとも言える。それに結果として、朴がフルメガン・ノイド達を救ったと言える。(リアの攻撃は科学なため、このダメージは残る)


「また誰か来ましたわね」

「朴って管理人だよ!ウチの動きについてくる厄介な奴!」

「俺の熱も消した時点で分かる。今の奴は……特に強い」



数ではまだザラマ達が有利。



「朴!俺の魔力を軽く消すな!3人が助かったけどさ……」

「あなたなら大丈夫じゃないですか。まだまだ余力が感じられます。フルメガン・ノイドの中から出ましょう」


しかし、厄介な2人の組み合わせ。朴が現れた時点でザラマとインティは彼に封殺されるだろう。リアは2人に対して相性が悪いわけではないが、平衡感覚や聴覚、視覚をぶっ飛ばす事ができる龍を倒すのは至難だろう。いや、それらをぶっ飛ばされたら朴だって討つのは難しい。

相性という差、強さという見方より勝敗が分かりやすく。ザラマの警戒が口にさせた。


「一旦退くぞ」

「な、なんですって!!?」

「うん!ウチも思っている!!」


インティはザラマの言葉を聞いた瞬間。一番、その言う事を聞かないリアを無理矢理抱え込んで技術開発局の方へと走り出して逃げた。


「な、なんだ!?あの桂さん並の脚力!!」

「あれは追えませんね。さっきもそれで逃げられましたし。追える気もしますが、二人相手は私好みませんね」


これで。


「ともかく。龍。今はこのサングラスの方を潰しましょう。2VS1ならまず負けません」

「……ああ。まずは1人だな」

「…………………ふ」


ザラマは覚悟している。死ぬためじゃない。道連れだ。絶対に道連れ。


「どこを吹っ飛ばす?」

「まずは魔力を空っぽにしてやった方が選択肢が広がりますよ」


何かの転機を待っていた。覚悟はしているからこそ、偶気を逃さない。この2人がひっくり返るようなチャンス。


「!」


ヌウゥっと、黒い大きな影がフルメガン・ノイド達を覆ったところを逃さない。全員がその方へ顔を向けた瞬間。


「ちょっ!」

「で、デケェーー!!蒲生のおっさん並かよ!」

「梁河!!!」


蒲生と戦いの最中。ザラマ達の異変に気付き、慢心相違でも飛び込んで来た梁河。朴の防御はあの巨体では無意味。必然的に朴と龍は逃げるしかなく、フルメガン・ノイドは巻き込まれた形。


「!!」

【ガルルルルル】


ザラマは2人の警戒から逃れた後、パイスーの獅子を発見。彼も異変に気付いて撤収のための獅子を派遣していた。それに迷う事無く乗り込んで、獅子は技術開発局の方へと走った。よって危険な状態となったのは梁河だけ。


「仲間を逃がすための行動か」

「へっ…………」


ザラマを助けに行ったことで梁河は蒲生に背を向けていた。それを逃す蒲生ではない。意識が朦朧としている梁河を倒すのには十分過ぎる拳を放った。



バギイィッ


「!!」


自分より遙かに小柄。小人に等しい人の拳に衝突し、止まった。ザラマの元に早く獅子が来たのにも理由があった。


「一戦目はこの辺で終いだな」

「!」


パイスーの登場。それによって蒲生は相手が小さくとも必然的に距離をとった。そして、梁河も無理して発動し続けた"打出小槌"も解除した。人間サイズに戻る。


「あらら…………」

「大将達は何してんだー?やられたわけじゃないよな?」


朴と龍も、体勢を立て直して改めて今回のラスボスを見た。蒲生もいる。黒リリスの一団の幹部達が手も足も出ない3人で、この組織の団長であるパイスーを抑えることができるか。


「?なんだ、お前等……俺と戦うのか?違うだろ?」

「ええ。まぁ……」


パイスーは話ながらまず、人間サイズの梁河を掴んだ。


「お疲れだ。とりあえず、退くぞ」

「……テメェの足なんて借りねぇよ」

「借すつもりはねぇよ」


ブオオォンッと……その自慢の豪腕で梁河を空へと投げ飛ばすパイスー。


「受け取れよインティーーーー!!」

「テメェ!!パイスー、覚えてろーーーーーーー!!!!!」


空の彼方に消えていった梁河……。これで1VS3。絶対の優位。魔術を使えるパイスーも、朴がいれば不能。桂に次ぐ超人蒲生もいる、超凶悪な攻撃力を有する龍もいる。


「体力の消費は好まねぇ。ここはお前等が降りろや」

「…………」

「んなわけいくかよ」

「待て、龍。落ち着け。俺達なら勝てる相手だが倒すには倒される覚悟を持たなければいけない。警告もあっただろう」

「……蒲生さんの言うとおりです。私、死ぬのは少しごめんです」



それでも退く…………。管理人達が求めている勝利はただパイスーを倒す事ではなく。被害0。完封勝利だからだ。パイスーに倒すことに固執していては全滅してしまう。それに彼のために戦うという戦士がちゃんといるのだ。

ちょっとは仕事をしろって朴は思っていた。




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