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RELIS  作者: 孤独
"罪滅ぼし"ネクストステッパー編
135/634

春藍は分からない子、粕珠も分からない子

バヂイィッ



「へへへ」


へははははははひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ



「はっはははっはーーーーーーーーー!!!」



黒リリスの一団 VS 粕珠。

まるで勝ち誇ったかのような気の狂った声を発した粕珠。悪運の強さに感謝。ポセイドンがパイスーを足止めしていた事、リアが自爆した事により索敵能力を持つ相手が残りにいなかった事が救われた。

やりやがった。やり遂げた。"政聖天使達フェスティーバ・セイント"の修復完了。

罠を張り巡らせる事ができる。



「勝ったべぇ!!!」



多くの罠(法律)を城全体に張る。多くの連中のせいでボロボロになった城であるが、これさえ再生すれば絶死の城となる。


「デスパレードの開幕だべぇぇっ!!!実験もクソもねぇぇぇべ!」


発令。

『城内の年齢制限。18歳未満もしくは140センチ未満の身長を持つ者以外、処刑』


粕珠は年齢や低身長以外という条件で法律を作り出した。

広範囲に発令でき、なおかつ強さや素早さ、地点での罠よりも適応できるからだ。

年齢18歳以上の人物。



『ぶっぶー。ゲームオーバーだよー。おじさん達』

『法律違反だよー!』

「な、なんだと!?いきなり出てきた!!」

「くっ!?と、とにかく。奴がこの近くにいるはずだ!!」

『いないいない。遠くなっちゃってるんだよー!』

『年齢OUTーーー!!』



広範囲で条件が比較的甘い法律は当然、刑も軽い。

だが、範囲外に出るか、粕珠を倒すかしなければずーっとダメージを喰らい続ける。ザラマと梁河はダメージを浴びながら探すも、絶対に粕珠を倒せる状況ではなくなった。まず、攻撃の役割となっていた二人を無力化した粕珠。



一方、春藍とインティ、リアのサイド。



バヂイィッ



リアは今も春藍に修理されている。インティは周囲の警戒を続けている。

春藍とインティが無事なのはお互い、18歳未満であるからだ。春藍は15歳、インティは16歳。救われた形であるが粕珠にとっては2人共大した事はない。ザラマと梁河のような破壊屋タイプの方が危ない。先に潰したと言って良いだろう。

これではパイスーも容易に城へ侵入できない。



「待ちきれない!早く、早くぅぅっ!!死体を見たい、嗅ぎたいぃぃ、聞きたいぃぃ、臓腑の楽譜を見せてよおぉぉっ」



興奮と発狂。

一種の才能が爆発した今の粕珠が全力である。管理人に似合わないが。処刑人としては素晴らしい素質。敵を殺すという一点ではインビジブル達よりも向いている。

気持ちを抑えきれず、運良く生き残った春藍とインティを殺しに向かった。危険なようで勝てるという気持ちがあり、何よりモニターとかで死体を見ても満足しない。できない。



ガジャアァァッ



何をしですか分からない&もう何をやってもおかしくない。その目と口調、表情が物語っている。

念を入れて申し訳程度に装備した科学。



ウイイイィィィィンンッ



幼女にチェーンソーという不釣合いでシュール(つーか、ホラー)過ぎる光景。粕珠よりもデカイチェーンソーである。

万が一。本当に万が一、また"政聖天使達フェスティーバ・セイント"が壊れてしまったらザラマ達が復活してしまう。だが、こいつを使えば刑とは関係ないため蘇ってくることはない。ゾンビにならない限りありえない。



『粕珠ち~ん』

「はーーい、サツリクはっじまるよ~~」



天使と一緒に向かう。



サーーーーーー



降っていた雨はさらに強くなっていき、血を全部洗い流してくれるかのようであり、生まれていた炎も鎮火しそうな勢いであった。

粕珠が現地まで歩いた時間は30分と長かった事だが、


「えはははは、3人見つけ」

「!ちょ…………ザラマ達、何をやってるの!?」


春藍とインティ、ぶっ壊れているリアを見ただけで1秒程度の出来事だと思えた。

ここに殺したい奴等がいる。奴等の死体を見たい気持ちがある。

相性が悪すぎるとインティは思っていた。

動きをかなり制限され、二人を守るのは難しい。粕珠が手にしているチェーンソーと小太刀ではリーチもパワーも違いがある。



一太刀で潰せる?トラップが実行される前に仕留める事ができる?



攻撃の連続性に保障がないこの状況。

1.粕珠を倒す。2.春藍とリアを連れて逃げる。選択肢はこの二つだけ。後者は粕珠の科学が設置型の能力と判断すれば粕珠に飛び道具はないはずだ。逃げ切れる可能性は高いが、全力では逃げられず、逆に奇妙な罠に掛かる可能性もある。

前者は成功した時のリターンが良い。粕珠を倒せれば全てが丸く収まる。




ジリイィッ



粕珠が不気味にインティ達に近づいていく。当然だが、一定以上のスピードを出したら刑が科せられる法律をすでに張っている。

近づかれるほど選ぶべきは何か分かる。分かっている…………。



「勝算薄っ」



インティは粕珠へと突っ込んだ。全速力を出したから即座に彼女の周りに天使が現れた。


『ス』


発令される前に粕珠を切り刻む。


『ピー』



ギイィィッ



「っ」

「ふ」


このクソガキ。見た目に反して場数を踏んでいる。ウチの動きを読んでいた。身体能力ではウチが圧倒的に上でも、2秒程度なら凌げるだけの体力と技術がある。



『ド』



パアァァンッ



一太刀で相手を仕留められたらいいが、


「前のウチなら、フルパワーで殺したんだけど………」

「へはは」

『い~はん』


粕珠の右腕を切り落とすところまでいったが、そこまでだった。全身に電流が走って地に倒れるインティ。ダメージを与えたのは確かだが……右腕がとれるくらい、今の粕珠には平気だった。

そんな痛み、ぶっ殺すときに得る快楽で吹っ飛ばせる。



ウイィィィンンッ



インティに向けられるチェーンソー。粕珠の今の視界には彼女しか映っていない。電流を浴び意識を失った彼女は無抵抗だ。回転する凶器は触れただけで綺麗な血しぶきを生み出しそうだ。


「五月蝿い」

「ああぁぁぁ?」

「そんな使い方じゃない」


横から恐々と回っている刃に臆することなく、触れた少年の手。強力な武器は扱いによっては使用者が怪我をする。グローブを通して特殊な電磁波のような物を送り、機能を停止させた。馬鹿デカイだけの刃物というだけに変えた。



「何?…………君………」

「………………」


粕珠の怒りと春藍の怒りは全然違うものだった。

おそらく、離れきっている個性だ。辛うじて分かり合える何かすらない。存在同士の会話だった。

幼女姿とはいえ、この底知れない邪悪を春藍も理解できた。

チェーンソーを"創意工夫"で無力化し、彼女を見下ろした。


「君こそ……なんなの?」


呆然としている粕珠。一方で春藍はさらにチェーンソーの分解に取り掛かる。創造するより破壊する方が容易い。あっという間に刃もボロボロに落としていった。

そして、2人の状況はただ突っ立っているだけ。チェーンソーを破壊された粕珠に何ができるか?待ち戦法の彼女にとって、何もしない春藍はある意味の強敵であった。意外な奴。


「コロしたいな」


ウェックルス戦では余裕がなく、ガイゲルガー・フェルの時は奴が死に掛けていた。春藍には粕珠がその二名側に寄っていることはすぐに分かった。この異質な感じ、度も2人よりも酷そうだ。

そんな奴と普通に会話ができそうな時間があった。声をどうかければ良いか悩むものだが、春藍は心に湧いていた怒りをそのままに粕珠に言った。



「君はなんで生まれて来たの?」

「!」

「君が管理人である理由が見えないんだ。きっと誰にもさ」


ドゴオオォッ



春藍の言葉は残酷なものであった。

その言葉を聞いたからか、それともただぶっ飛ばそうとして動いたのか。

粕珠はグローミ・シソーラスで春藍を攻撃し、地面に押し潰して身動きをとれなくさせた。インティのような素早い動きではないが、春藍も並の人間であれば身体に触れることすら容易い。




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