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RELIS  作者: 孤独
"罪滅ぼし"ネクストステッパー編
132/634

誤爆からの道連れと貝福宿と紅蓮燃-℃



『あーあ、暇だよ』

『罰ゲームが出ないよね』


天使達は暇そうに見守っているだけだった。刑が早く起きないかな~って表情だ。

だが、戦っている二人は冷静ではなく、狂気の顔であった。



バヂイイィッ


「お逃げになるのが上手ねぇぇ~☆」



内部でガガガガってエラー音が外に漏れている。お腹が鳴っているみたいで普段なら恥ずかしい気持ちが沸いてくるけど。今はそれに気をつけてられるほど、おしとやかではいられないのがリアの感情だった。

攻めのリアと、回避の粕珠。


『粕珠ちんは一瞬の隙をついて、グローミ・シソーラスで攻撃を与えたい考えだね~』

『あの鞭を避けるだけならまだ楽だけど、一歩踏み込んでいくのは大変そ』

『別にしなくてもいいのにさ』

『痛いのは好きじゃないんだよー』


観戦している者と戦っている者とでは温度差がありすぎる。

リアは攻めに出ているが粕珠を捉え切れていない。どちらかがというより、粕珠が動いてくれなければ状況は変わりそうにない。



ビギイィッ



動かないから、春藍にセットされている刑はずーっと実行されたまま。


「えへへへへ?男の子、死んじゃうよ~。下手くそな鞭振るっても意味ないよ」


粕珠は春藍がくたばるのを待っているようだ。一番嫌らしいやり方を選んでいる。やっぱこー、守りてぇとか、救いたいって気持ちを持っている奴を見てしまうと。

あ~~~~潰してやりてぇ、2人纏めて死なせてあげてぇぇぇ。現実ってのは救いが必ずあるわけじゃないっていう常識を見せ付けてやりてぇなぁぁぁ。



「ふふふ」


粕珠の企みが顔に出ている。リアは少し大振りに鞭を振るった。



パアァァンッ



床を砕いた鞭であるが、避けられるどころか粕珠が踏み込んで来た。タイミングを計られていた。


「死んじゃえ」


粕珠はグローミ・シソーラスから抜き取った刑を自分の掌につけていた。この掌がリアに触れれば刑が実行され、チェックメイトであった。上手い動きであったが、そもそもリアの狙いは粕珠をおびき寄せる事だった。

鋼鉄でできている拳が粕珠の顔に放たれていた。


「!」

「死ぬのはアナタよ、クソガキ」


拷問や処刑での経験値は粕珠が上回っていたが、単純な戦闘はリアに分があった。ただ回避が上手い輩に手こずるわけがない。



バギイイイィィッ



管理人とはいえ、幼女の顔面がグニュリという奇妙な音を出し、皮膚と筋肉が動いた。血管が破裂し、骨にヒビが入った。鼻と左目、殴られた箇所から血が吹き出る。



「くぁっ…………」

「まだまだ」



粕珠は顔を抑えながら転げまわった。形勢逆転かと思われたが、天使達が粕珠を守るようにリアに向かっていった。



『ぴーぴー!!』

『暴力禁止ーー!』

『罪状は暴行罪ー!』

「うるさいですわよ、このハエみたいな者達」


鷲掴みして投げたり、殴り飛ばしたりして払うリアであったが。粕珠に届くよりも早く刑が実行された。


「ぐっぅ」

『巨大ハンマーで何度も押し潰される刑!!』

『お願いしまーす!』


リアには見えないし、止められない攻撃だ。刑が決まったら絶対に起こる。粕珠と同じく、地面にぶっ倒される。



メリメリィッ


『つーぶれろ!つーぶれろ』

『中身をぶちまけろー!』

『叩け叩けー!』



攻撃時間が粕珠の方が長い……。リアの身体がやや潰されている間に粕珠は立ち上がっていた。顔面を左手で押さえながら、



「この、クソ…………顔が少し潰れたべぇ…………」


粕珠は潰れているリアの髪を右手で引っ張った。無論、右手には刑を貼り付けており、さらにリアは刑を受けることになる。


「マシな死に方をさせねぇーべ、このブス!機械らしく壊れるべ!!」

「ぐっ……………」


立ち上がっている粕珠の勝ちであった。


「ふふふふふ」

「!?」


だが、リアは笑っていた。こーゆう目をしていた者を見たのは粕珠も久しぶりだった。いつもいつも、自分が絶対の優位者であった。刑さえ貼り付ければ、あとはそれを楽しく眺めるだけだった。

地獄を見ている表情であった。

ブルッと寒気がした粕珠。


「アンタに殺されてたまるもんですか」


リアは自分が誤爆する刑を貼り付けられている事を知りながら、それを受け入れた。全弾、全爆弾、今ここでどこにだって発射させるつもりだ。


「こ、このブス!止めろおおぉっ!!近くに仲間もいるんだろぉぉぉっ」

「は?」



リアの身体は赤く光始める。身体の内部が弾ける感覚が分かる。熱も分かる。死ぬ覚悟はいつだってできている。それが今だ。

粕珠もろとも、リアは爆発に巻き込まれて身体全体が弾けとんだ。

ザラマや、ポセイドンの攻撃を遙かに上回る攻撃であった。巨城の地下も崩れてさらにグチャグチャになった。城内にまだ残る春藍とザラマ、梁河は完全に巻き込まれていた。




ポツ…………ポツ…………



そして、ネクストステッパーの巨城周辺でゆっくりと小さな雨が降り始めた…………。



「う、ううぅっ…………?」



刑が消えたと感じたインティは立ち上がる事ができた。自分の周囲にいた天使がいなくなった。

しかも、切断されたと思っていた傷が何事もなく修復されていた。


「あ、あれ……?何も……起きていない…………!さっきのは幻……?でも……」


なんだかよく分からないが、インティがやることは分かっている。大爆発の中心に向かうことだ。


「待ってて、リア」




一方。リアの大爆発を見た若とパイスー。視界には入っているが、意識をそっちに向けるわけにいかない。パイスーが今、ポセイドンの身体に無数の風穴が空いているのだが…………。

ポセイドンのプレッシャーは消えていない。


「ククク…………驚いたぞ」

「穴、空いてるぞ。死んでもいいんだぜ」

「科学者は落ち着いていなければならん。支配者もまた同じだ」



今度のポセイドンは大きな貝殻を取り出した。ネセリアの"掃除媒体"と似た、異空間と繫がっている科学だ。



シュルルルルル



握ったポセイドンは搾られるように貝殻の穴へ引き込まれる。だが、それを見過ごすパイスーではない。むしろ、何をしているんだが分からない。貝殻をぶっ壊されたらどうなる?それを伝えたいと、"折牙"を貝殻に与え破壊を試みる。



バギイイィィッ



「うおおぉっ!やった!!即死なんじゃないか、パイスー!!」

「……………」


貝殻を破壊したが、本来ならそこからポセイドンが現れると思っていたパイスー。だが、ポセイドンの欠片すらも見えない。


「空間移動型の科学か?」

「逃げたって事か!?」

「動くな、若!!ポセイドンのプレッシャーは消えてねぇー!!」



パイスーの注意に若も警戒し、辺りを見渡した。パイスーは"キング"を使用し、どこから現れるか読めないポセイドンを探させた。


【がるるるるる】


一頭の獅子が地面に突き刺さっている貝殻を発見した。だが、次の瞬間にはミンチにされた。



シュルルルルル



「!」


貝殻から万全の体調となったポセイドンが現れる。パイスーに貫かれた体も見事に修復されている。空間移動だけでなく、治療までこなす科学。


「少しだけ手の内を見せるか」

「!」


どっから取り出したのか聞きたいくらいだが、……。次にポセイドンが取り出したのはいかにも科学使いらしい、バズーカ型の科学であった。大きな身体を持つポセイドンでしっくりくるサイズだ。



「焼けろ」


スイッチ一つでアレクのライター型の科学"焔具象機器"を上回る熱量がある炎を発射させる。またパイスーを自動で追尾し、胴体の長い龍の炎は速い。


「っっ」

「うあぁっ!」


パイスー、若が一気に逃げに入る。直撃は危険過ぎると理解でき、若は"ディスカバリーM"で緊急避難。パイスーはとにかく走った。

龍が通った道に炎が振り落とされ、鎮火できそうにないほど残った。



「パイスーよ、遊びで終わってしまうぞ」



貝福宿:

貝殻型の科学。貝の中に入った者は即座に治療される。治療されるスピードは速い。入り口と出入り口が違う。


紅蓮燃-℃:

バズーカ型の科学。強力な炎を吐き出す科学。




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