龍と蒲生の登場とポセイドンの戦争
ピリリリリ ガチャァッ
「はい、私。アーライアの管理人。朴ですよー。今はエクスピーソーシャルにいますよー」
『朴か。貴様がやはり一番に来ていたか』
「早く来てください、ポセイドン様。ここだと暇過ぎて……まだ私以外誰も来てないんですよ。なんなんですか、この放置プレイ」
『ああ、その事なのだが。我も急用ができてな。向かうのが遅れる』
「はぇ?」
『揃い次第始めようと思ったが、半分以上集まれば良い。先に議題の進行をしてくれ』
「召集したのはあなたじゃないですか…………」
『ではな』
ガチャァッ
「やれやれ、困りますよ。"黒リリスの一団"を完全壊滅させるために、我々がいつでも集結できるようにするお話なんですから」
エクスピーソーシャルで待っている朴。一日くらい待っているがまだ誰も来ない。ポセイドンから遅れるという連絡を受けて少々凹んでいたが、ようやく。
本当にようやく、2人も同時にやってきた。
ギイイィィッ
「よおおぉぉっ……………元気っかぁ……ひくぅっ…………龍様、登場だぜー、ひくぅぅっ……」
扉を開けてやってきたなり、酒臭さが充満するは倒れ込むでとんだ迷惑な奴がやってきたと朴は思ってしまった。酒臭いと黄色の寝癖が酷すぎる。背はインティと同じくらいで顔も子供だ。
「龍。あなたの管理人としてのモデルは子供でしょう」
「うるしぇー。俺は大人だー。……子供じゃねぇー。…………観てみろ、嗅いでみろ。お酒に、タバコに、……管理人としても偉いんだぞー!」
「いや…………その。悪い大人と言ったら理解できちゃいますよ、龍」
倒れる龍を介護してあげようと近づいた朴であったが、その時地響きを感じ取った。"黒リリスの一団"以外では襲撃されることはないと思っていたが、本当にこの施設が揺れていた。破壊と音を伴ってこの部屋に向かっている。
ガゴオオオォォォッ
「…………ここでいいんだな。朴も、龍も。俺の目で確認できる」
「………………あのですね。お二方。私、1人しかいませんよ?ツッコミの枚数が足りませんよ、ホント」
まるで梁河が"打出小槌"を使っているような馬鹿デカさ。巨人……という枠でいいのか分からないが、
「蒲生さん。それがあなたの最小サイズなんですか?」
「うむ…………」
「おおぉぉー。よっすぅ!蒲生のおっさん!相変わらずデッケェーな。デカすぎだぁー」
「……酔い潰れているのか、龍」
常に上半身裸で冷静沈着の態度。その肉体は限りなく筋肉。建物を破壊しながら行動するほどのデカさと力強さを持っている管理人、蒲生。
「心配だな。酔い止めの薬がここにはあるはずだ」
ドガシャアアァァ
「おっと、医務室はどこだ。別の部屋に腕を突っ込んでしまった」
「ここを破壊しながら探さないでください!!あなたはジッとしてください!!!!」
「す、済まない朴………………」
やってきた超凸凹コンビ。つーか、片方の蒲生があまりにもデカ過ぎるのだ。
龍
管理人ナンバー:004
スタイル:魔術
スタイル名:"ラ・ゾーラ"
蒲生
管理人ナンバー:005
スタイル:超人
スタイル名:"九頭鳥"
「1人は寂しかったですが、ツッコミ役は疲れますねぇー。子供の介護もですよー」
「朴。お前は色々な事に不満を持っているだけだ」
朴の様子と言葉を聞いて、姿と心のデカさを見せ付ける蒲生。
「お前は"完璧管理人"だ。情や野心を持たないのは、なんだってこなせ、常識という範囲を隅まで理解してしまうからだ。アーライアの管理を任され、自分自身も納得したのは"自分しかいない"という気持ちでいたからだ」
「それが悪いんですかね?」
「悪い。お前には認められる何かを待っている反面、自分から何かを得ようとする気持ちがない。管理人随一の天才天賦であると認めるがな、朴にはより上の管理人になれるはず」
デカ過ぎて朴の歩きを見つめながら言ってやる蒲生。朴はその言葉に
「じゃあ、龍とあなたを出し抜いて良いですかね?」
「構わないな。いつでも戦う事を待っている(龍は知らんが……)」
「…………でもですね、蒲生さん」
朴は酔い止めの薬を見つけ、持っていく間。本音を蒲生に話した。天才天賦で"完璧管理人"だと理解しているのだが…………。
「4番にメダルなんてありませんよ。そこから上の連中は確かな物を持っている。ホント……」
「…………だが、お前ならば」
「ふっ……遠慮します。私、長生きくらいでしか生きる感じを持てないんですよ、ホント」
寂しく、朴が纏っている服についている鈴の音が鳴った。
「ポセイドン様と桂さんは管理人としても異質ですよ。戦闘のレベルが狂っている。あれと戦えるほど、馬鹿じゃないんです」
………………
ポセイドンは朴に連絡を入れた後。戦闘の準備を済ませてすぐにネクストステッパーへと飛び立った。どのような世界かはちゃんと知っている。
ドヒューンッ
春藍達と同じく、城ではなく外に辿り着いた。ポセイドン流の戦闘というより
「では、"戦争"を始めよう」
置かれるゴツイ大きな発射台。ミサイルも搭載済み。それらを準備してくる機械人形まで用意していたポセイドン。殴り込みに来た"黒リリスの一団"と最初から戦争を行うつもりでいたポセイドンとでは心に差があった。血のように赤くて、氷のように冷たい。冷血な精神。ポセイドンが戦争と掲げるやり方を今、黒リリスの一団も、春藍も、粕珠も知るのであった。
「貴様等は終わりだ」
およそ千発のミサイルや爆弾が全員がいる城に降り注いだ。奇襲というレベルでは済まない。