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RELIS  作者: 孤独
"罪滅ぼし"ネクストステッパー編
125/634

"罪滅ぼし"ネクストステッパー。


残虐度合い。HIGH MAX。

ガイゲルガー・フェルの人間売買とは違ったことがここには存在する。"罪滅ぼし"ネクストステッパー。



「罪人殺しの世界。処刑のための世界なんだよ、春藍くん」



若はこれから向かう異世界を春藍に説明した。

管理人達から観れば完全な罪人である"黒リリスの一団"が望んで向かうのは変な話である。



「ワタクシの獲物ですから…………皆さんは眺めるなり、雑魚を蹴散らして頂きたいですわ」

「あははは。いいよー、リア」

「お前には迷惑をかけたからな。俺が負傷したせいで足を止めて悪かった」

「お前がやられても、俺が始末してやるよ」



すでに戦う順番が決まっていることに驚く春藍。全員、本当に戦闘が好きなんだなーって思い、尋ねてみる。


「リアは誰と戦うんです?」

「管理人ナンバー:016。粕珠っていう、人間を殺すことを専門にしている管理人ですわ」

「!」

「とはいえ、罪人という名目が付くそうですが…………うふふふふ。今日はその罪人に殺されますけどね」


人を殺すことを専門にしている管理人というタイプがいる事を知った春藍……。こうしてついて行っている時点で


「僕も参加というか……見学をしてもいいのかな?」

「当たり前だろ」

「っていうか、そうじゃなきゃ連れて来ないよ!」

「治療ができる春藍がいれば頼りになる」


戦闘に向かなくても春藍のやれる事は"黒リリスの一団"にとっては貴重である。


「なら、ワタクシと一緒に行動しましょう」

「!リアと……いいよ」

「…………あんまりコキ使うなよ。リア」


リアと一緒に、粕珠という管理人と出会うまで行動する事を決める。

全員がネクストステッパーに辿り着いた時。黒雲が広がり、ところどころで雷が落ちるとても天候に荒れた異世界が広がっていた。雨は少ない…………。

七人が降り立った場所はジメジメとして、足跡が良く残る湿地帯だった。魔物の臭いも感じる……。人間が生活するようなところには見えないが……。北の方角に山と疑いそうな巨城が建っていた。


「なんだよあの馬鹿デカイ城は……距離感が狂いそうだ」

「ここの世界は相当広いな。障害物がないがな……」

「変なところに降り立つようにしましたわね、若」

「ぼ、僕に言うなよー!!」


見える巨城はとても大きいが、遠い。だけれど、この湿地帯でも匂う魔物の気配と城から伝わる威圧感めいたもの……。



「こりゃ随分と歯応えがありそうな世界だな。強そうな魔物がウヨウヨしてらぁ……そっちだって俺はイケるぜぇ」

「では下品な魔物はパイスー達にお任せしますわよ」

「す、すでにやる気満々だね……城から大分離れているのに…………」



相当遠いという事でまず近づくため、パイスーが6頭の獅子を用意した。七人いるのだが1人はそれに乗らずとも速く、数も余るということで先鋒役としてやってくれた。


「ウチならあそこまで1分くらいで行けるから、偵察してあげるよ」

「おう、頼むぞ」

「粕珠を誤って殺したらタダじゃおかないですわよ。インティ」

「しないしない」



ドピューーーンっと、駆け足でみんなが跨って乗る獅子よりも速く、粕珠がいるらしい城へと走っていったインティ。すぐそこにいたと思ったら、あんな遠くに……あっもう見えなくなったと感じられる速度で行ってしまった。偵察という役目で向かったため、無茶はしないようだ。



「んじゃ、いつもみてぇに俺が若と組むで構わないな。ザラマ」

「ああ。それで良いぞ」



春藍達が城に辿り着くまで、まだまだ掛かりそうだ。



タァンッ



「ほいっ、着いた~!いぇい!!」



そして、宣言通り。1分でインティは巨城へと辿り着いていた。ここまで近づけば嫌でも分かるが、魔物だけでなく血の臭いも半端ではない。戦闘に縁がない女子だったら卒倒してしまうキツイ臭いだ。

ゴミ捨て場ならぬ、死体捨て場がある。そこにはここで殺されたというより、死ぬこととなってしまった人間達が転がっていた。綺麗な姿はなく、誰もが苦しい表情を出し、グチャグチャに潰されている者もいる。



「…………………」



巨城の窓を探し、小窓を蹴破って内部に侵入したインティ。自分の体が小さいから上手くいく。

インティが侵入した場所は魔物達の巣というよりアジトだった。同種族ではないが、争わないところを見ると管理のためにしっかりと訓練された魔物達。魔物同士、世間話でもしているのかと思える光景。インティには魔物の言葉は分からないが、邪魔だから殺さなければいけないのは分かる。



トンッ



シュパァンッ



着地した時には周囲の魔物達を細切れにする早業でようやく、自由に城内を探索できる。



「すんすん………………臭いは残っているけど、わりと綺麗な内装がされてるね」



魔物の気配や呻き声が多く、それらからは情報を聞くことは難しいと判断したインティは手当たり次第に魔物を排除することに徹する。この中に粕珠がいたらリアには残念だと思うが……。気配が多い方へと走りながら、出会った魔物を即座に切り刻む。相手に大きな鳴き声もあげさせないインティの剣技であったが、偶然死体を発見した魔物がおり、隠す事は長く持たず城内には警報が響いた。


【侵入者!!罪人か不明!!】

【狩りに時間だ!!】


城内を守り、侵入者を抹殺するため統率のとれた魔物達はインティの殺害に動いた。

だが、恐るべき速度で隠密に行動するインティは魔物達に捕まらずに確実に殺しを遂行していたのだった。彼女を捕まえるのは難しかった。城内に沢山設置された監視カメラを通して、インティの動きを別室でお菓子を食べ、瓶1本のビールをラッパ飲みしながら見ていた粕珠。

彼女が"黒リリスの一団"の一員であることは顔写真で確認した。



「げはははは、きゃははは。よーやくだべなぁぁ。面白い狩りになりそうなのは久しぶりだべ」



エプロンに零れ落ちるお菓子のようにボロクソにしてやりたいという気持ちで、黒リリスの一団を返り討ちにする気でいた。

粕珠の城は強力な魔物達の巣である。それは一定レベル以上の魔物であると、粕珠は知っていた。

従順になる魔物というのはボスの器を持たない。良くて係長や班長程度の器。社長や部長、課長にはなれない。

器がないということは力量もないこと。

インティの速度がヤバイとはいえ、捕まえられないのは問題だ。時間がとられれている間に別の団体がおでましだ。



「え?」



その付近にいた魔物達は音を先に感じ取った。

火炎が昇る感じは一切上がらないのに破壊音と伝わる衝撃が感じた。単純な物理が襲い掛かってくると理解した時には殺されていた。

本気で城を殴って、ぶっ壊して、ダイナミックに侵入する6人。



「よーし、行くか!」

「俺にやらせろって言ったろパイスー!!俺の見せ場じゃねぇーか!」

「梁河、ジャンケンに負けたからしょうがないだろ」

「お城を大分壊しちゃってるような…………修理代が高そう」

「まだまだこの程度なら安いものですわよ、春藍くん」

「パイスー!僕を守ってくれよー。じゃあ、チームで行動!!」



春藍達は城内に侵入し、春藍とリア。ザラマと梁河。パイスーと若の2人組で別れて行動を開始する。とはいえ、侵入時の際。近くにいた魔物や駆けつける魔物達を相手にしたのはザラマと梁河であった。雑魚の掃討専門。



「テメェ等、雑魚過ぎるぞ!!少しは強いのを呼べ!!」

【お、お前等が強すぎるんだよ!!】

【こんな強い連中が来るなんて聞いてない!!】



圧倒的な強さの前に集まったはいいが、何もできずに撲殺される魔物達。だが、中には優れた力を持っている魔物だっていた。相手の強さを一目で感じ取れるザラマには分かった。

赤い身体で炎を身に纏った蛇型の大きな魔物がザラマの前にやってきた。


【なかなかやるようだが、"粕珠軍団"の隊長の一頭。"赤杓の剛蛇"、エリエルオンに敵うものか!!2人纏めて食べてやろう!!】

「少しはやれるようだな」

「あ、ザラマ。テメェ!!なんか強そうなのを相手にする気か!?俺の見せ場寄越せよ!!」



エリエルオンの動きは素早く、長い胴体を活かしてザラマの周囲を身体で覆い、纏う炎を大きく熱くし、一気に締め上げる。これがエリエルオンの特技。


「触れてくれるのはありがたいな。魔力の消費を抑えられるぞ」

【ぐおおおぉぉっ!!?身体が熱いっっ!!耐熱の身体が、熱いと喚いているぞ!!】


だが、密着する接近戦はザラマも得意なところ。ガイゲルガー・フェルを葬った熱で軽々とエリエルオンを返り討ちにする。炎への耐久が高い魔物ですら、熱で葬るザラマの強さ。





一方…………。春藍とリアのペア。



「ワタクシ、魔物のような種族とは戦いたくないですわ……臭いがキツイですのよ」

「って言いながら、リア……。鬼神の表情で数百頭ほど撃ち殺してるんだけど…………その…………怖かった……」

「うふふふ。少々、乙女らしくないところを見せてしまったですわね」

【ば、馬鹿な……"粕珠軍団"の隊長の一頭。"明黄馬"ディーパクトがこんなあっさり……】



こちらもリアの銃火器でガンガンと魔物達を滅ぼしていく。一瞬で、そこそこ強い連中も葬るその姿はとてもじゃないが真似できないと春藍は思いながら、一緒にいてあげる。鬼神の表情と言ったが、彼女が当たり前から離れた喜びを持っている一面だと理解した。



「粕珠って管理人はどこにいるのかしらねぇぇ。全部壊しちゃうわよ」

「ほ、ホントにやりそうな顔をしないで」





一方…………。インティ。

ただ1人で行動するため、多くの魔物と遭遇することとなったが。その遭遇の仕方の多くはインティが先に見つけ、魔物が気付いた時にはインティに斬られている瞬殺ぶり。

だが、中には


【迅いな、小娘!だが】



ズバアァァンッ


「あれ?なんか言おうとしたのか?言葉は分からないんだけどね」


姿を発見し、対峙しようとしてもインティの方が圧倒的に迅く、何もできずにやられてしまう。"黒リリスの一団"の面々は粕珠が従えている魔物達など苦にしないで葬ってしまっていた。っていうか、自己紹介でもさせてやれよ。



四つに分かれている"黒リリスの一団"で何か、対抗できうる強者がいなければ侵攻は止められない。状況の把握に徹していた粕珠も狂気と殺意に満ちている笑みを出し、ゆっくりと立ち上がった。そして、妖精達もエプロンのポケットから出てくる。



「派手にやってくれるべなぁぁーー!!"練成した魔物"共じゃ歯が立たないべぇ!」

『いくいく?もしかして、イッくのーーー!?』

『粕珠ちん、あたし達の出番なの!』

『わーい、わーい。コロシアイだー!』



一網打尽がスカッとするが、……バラけてくれた方が戦いやすい。その中で一つのチームを注視していた粕珠。



「とりあえず。あっちに映ってる2人は奴にやってもらうべぇ。奴の戦いを見てからでも遅くはないべぇ。つーぅぅか。そっちが俺っちの楽しみだべな」

『わわわ!』

『確かにー』

『呼んで良いって言ってたもんね。見てみたいよね!』

「管理人最高責任者、ポセイドンがどれだけ戦えるか高みの見物と行くべ。少しは弱らせるんだべぇよぉぉ、黒リリスの一団の団長、パイスー。トドメは俺っちが2人同時に葬ってやるべぇ」



監視カメラから見る限りだが、パイスーの強さは群を抜いている。桂と戦って生き延びたという噂は間違いないと理解できる。その桂と互角の実力と……完全な噂でしかないがあるとされるポセイドン。

粕珠はマリンブルーにいるポセイドンを呼び付けた…………。



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