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RELIS  作者: 孤独
”闘技島”タドマール編
112/634

インビジブルによる生存理由の解答


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



島がまた大きく揺れる。沈むのは時間の問題と誰もが気付いた。男も女も、子供も、老人も、……今。見えない恐怖と戦う事になった。

島しかないこの場所。ボートの奪い合いは必然だった。

だが、ボートに乗ったところで恐怖からは逃れるのは無理だろう。タドマールに未来はない。



「ああああああぁぁぁぁ」

「ど、ど、どうすればいいんだああぁぁっ!!」



恐怖に耐え切れずに自殺する者もいた。

だが、彼等を救えるのはこの人物しかなかった。



「皆!!聴け!!!我はインビジブルだ!!!」

「イ、インビジブル様!!」

「ご無事で!!」



町へとやってきた物達の大混乱を一声で消し去る。恐怖の涙も歓喜の涙へと変わった。"無敵艦隊"を活かして、住民を誘導する役目のインビジブルが10人ほどやってきた。


「俺達がお前達を誘導する!!」

「この島は確かに沈む!!」

「だが、まだ異世界がある!!」

「順番に城へ向かえ!!」

「そこには異世界へと向かえる"科学"がある!!」

「急ぐな!!決して、争うな!!」

「全員の命は俺が、俺達が必ず護る!!!」



闘技場は全壊、アレクが放った炎も消え失せた。それでもまだインビジブルとロイの城が原型を留めている。だが、問題なのは異世界へ移動できる科学の数は、たった一つしかないことだ。

これでは明らかに救える者が少ない。インビジブルの威厳も限度があるはずだ。そんな中、1人の女性がインビジブルに声をかけた。



「責任をとってくれる?インビジブル」

「!ライラちゃん。どうした……」

「異世界に逃げるしか方法がないでしょ。あたし、違法だけど多くの人間を異世界に運べるやり方を知っている」

「!!」

「そっちも大変な騒ぎになるけど。人が死ぬより、マシだってあなたは思ってくれる」



決断は鈍らない。今、優先するべきはタドマールの住民を救うこと。


「頼む!!」

「任せなさい…………っと、それとさ。移動する世界は春藍達のいるフォーワールドにするといいわ。あいつ等も向かうから」

「どこだっていいさ。……!……いや、ライラちゃんは…………」

「ふふふ。ま。……ずーっとの別れじゃないわよ」


そう言って、ライラは何もない広い場所へと向かった。フォーワールドからイビリィアに移動したあの魔法陣を練り上げて、多くの人を異世界へ移送させるのだ。


「ラ、ライラ。私達も一緒に行きます」

「馬鹿ねー、ネセリア。あんた達はフォーワールドでアレクの治療をしていなさい。あたしもすぐにフォーワールドに戻るから大丈夫。インビジブルには言っておいたからそのまま並んでてよ」


ネセリアがインビジブルが持っている異世界へ移動するための科学の列に並んでいた。彼女の"掃除媒体"の中では春藍が賢明にアレクを治療していた。

ネセリアの止めてくれた手から離れ、走っていったライラ。あの移動手段はどこに行くか分からない。そんなところに、何十人も人間を連れて行くのは大変だろうし、行った後も大変なはずだ。


「ダメ!」


ライラは大丈夫だって言ったんだから。信じなきゃ!!私は……春藍達をフォーワールドに連れて帰ることだって、ライラが言ってたの。



自分の力のなさを痛感しているネセリア……。だけど。でも。自分の"掃除媒体"があるからこそ、治療しながらの移動ができた。胸を張れることだ。




「あーあ……故郷が潰れちゃう…………」


一方、島が沈み始めるところを山頂で眺めているインティ。とても静かに見守っていた。悲しい気持ちはあると思うが、なぜだ?涙が出ない。

一度、サヨナラをしたからなのか?


「せっかく春藍くんに会えたのにまた別れちゃったよ。可愛い弟分みたいな子だったのにー」


春藍より小さいインティが言える事なのだろうか……?


「けど、なんでパイスーは春藍くんに拘るのかな?可愛い子だけどね」

「それは拙者も訊いてみたい。だが、お前は知らなそうだな」

「え?」



ストーカーか!!?と一瞬、驚き。声の方を振り向いて逃げる準備もした。だが、その主は刀すら抜いていない。世間話をしに来たという顔だ。


「心配は要らん。拙者は戦いに来たわけではない」

「か、桂!!」


ウチって運がなーい!なんで桂と連続して出会うの!?戦う気がないのは嬉しいけど、それはウチが限定でパイスーとは戦う気満々でしょ。


「ザラマと接触した春藍慶介を追っていれば、自然とお前等の尻尾を掴めるか試しただけだ」

「よく、敵のウチに話せるね!」


桂は口が軽そうなインティから当たってみた。だが、インティが知らなければあまり良い情報は入らないだろう。

桂がこの世界にいる事を知っているのはインビジブル以外はいない。ライラ達がしっかりと行動しているか、内緒でチェックをしていた。


「ず、随分と余裕な顔ね!!パイスーが見つけたら殺しに来るよ!」

「おそらく奴にはバレているかもしれない。先日、奴の獅子に姿を見られた」

「ええぇっ!!?」

「分からないが。インビジブルに意識を集中しているのだろう。拙者もインビジブルに託している。本来なら共闘するかと提案したが、奴が断ったからだ」

「!!……………」


桂はインティと一緒に、はるか下にいる2人の男達の戦いを見た。インティは今なら桂を倒せるんじゃ?って思ったが……。できるわけがない!!"韋駄天"を持ってしても、勝てる気がしない!


「ただの狩りなら話は別だが、あれは誰が見ても男共の戦いだ。あの男。インビジブルは誰よりも人間に成りたかったのを、拙者は知っている」

「!………」

「…………」


桂には見えていてなお。……。手を貸すつもりはなかった。パイスーはインビジブルに託す。ならば集中できるように


「拙者の科学も貸しに行くか。ライラまでもやるようだ。あの魔法陣は使うなと言ったはずなのにな」

「………………ウチも、帰らせてもらうよ」


桂との距離を一気に離したインティ。敵意はないと知っても、桂の前で馬鹿みたいに異世界へ移動できるわけがない。



「ディスカバリーM!」


インティはパイスーよりも早くこの世界から脱出した。最後まで見ていたかったが……、ほぼ詰みに入ったところまで見れた。パイスーが戻ってくるのは時間の問題と分かった。



「…………」


桂はほぼ見届けることにする。仲間の危機ではあるが、このような結末に向かっている以上。奴に、インビジブルに任せる。普段は馬鹿と性欲の塊であるが、奴は崩壊と強敵を相手にする緊迫感を望んでいる。

他人の辛さを見かけたら、楽しくさせたい、救ってやりたい。



ドガアアァァッ



「底なしの戦闘狂だな……」



島が沈み始め、崩壊が加速していく。桂の科学、ライラの魔法陣で移送できても、ネセリアの"掃除媒体"でいくつかの人間を格納しても……まだ数は多い。生まれ続ける自分達ほどに人はいる。全て救えるか?



「全員、護ってみろ。その体を張ってよぉぉぉっ」



パイスーを相手にしつつ、住民達を護る。

"キング"の発動によって数の優位性も怪しい。奴にとってはインビジブルを倒すだけの簡単な作業である。


「まったく」

「そうしてやる」

「誰もお前に殺させるつもりはない」



穴から這い上がり、獅子と共にインビジブルを相手にするパイスー。生まれ続けるほど強くなる個体のインビジブルであるが、戦闘要員のインビジブルの数が劣勢に陥った瞬間。生殖も抵抗も無意味と化していく。

いたずらに自分を産み、殺している。

勝てないという恐怖をわずかに思いつつの生殖は、生まれてくるインビジブルにも影響を与える。心で置いていかれたら二度と勝てない。



「ただ」

「ここで退ける道を」

「選べるほど」

「男はやっていない」



生まれてくる自分はパイスーと戦うことを決めていた。もう何千と生まれたインビジブル。記憶はある、経験はある、温もりも思い出せる。

けど、あの胸に来る熱狂感が振り返るだけではダメなのだ。ドキュンと来て、人間とは違うが装着された○ニ○が○○するほど、女性に向かい合う本能が今、飢えている。自分がパイスーとの戦いから勝ち上がり、その後にあるインビジブル同士の決闘にも勝ち上がり、飯よりも女だーーーーっと大きな声で叫び、生き延びた女性達とお祝いがてら一週間のエロエロハーレム状態を満喫したい。色んなプレイをしてぇ、色んな女性とやりたい。つーか、今やりたい。


だって、ついさっき生まれた俺達は経験と思い出だけがあって。現在進行形ではまだヤッてねぇーんだ。これは紛れもない事実。俺達の女性との経験を悪く言ったら、仮想空間にいる女性とヤリまくっていたという切ない現実で、男は命を終えて良いのか?女だってそうだ。

男に○○スがついていた、女に○○トリスがついていたら、性交するしかないだろう!!これが人間の生存本能なんだ!と行き付けの美容師は言っていた。俺も同意だ。間違いない。



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