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RELIS  作者: 孤独
”闘技島”タドマール編
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無敵艦隊②

インビジブルが戦闘を好まなくなったのはいつの頃からだ?

昔はまだ、数だけでの存在。大海原にばら撒かれる稚魚のように脆かった。



残酷だが、当たり前だろう。



今、生きている世界は。昔、死んだ奴等がいたからだ。蛇口を捻れば水が出る喜び。忘れたのはいつの時代の遺伝子だ?死者を出したほどの苦労が、何時の日か報われて幸せに替わり、幸せは忘却と無知に替わっていった。

増やして、増やして、増やして。多くの経験を積み。インビジブルという名と顔、性格はそのままでそれ以降は自分が、オリジナルのインビジブルとして戦った。数だけでは強さは得られない。根本的に強くなるため、己を己にぶつけて強さを求めた。

多くの過去という自分を潰してきた。欲しい強さが入った時、戦場の苦しさは共食いが一番だと感じた。敵を倒したインビジブルは別のインビジブルに殺されると悲しい。



インビジブルは自分を生んだら自分を始末する事にしていた。気持ち悪いからだ。不安で溜まらない。自分の性格が分かっている。これほどの美貌を持つ自分が、近くに沢山いたらダメだろう。周りも混乱してしまう。だから、標的との戦いが終わったら後始末をつけるため、自分達同士で殺し合いを始める。この殺し合いを勝ち抜いたインビジブルは誰よりも強いインビジブルとなった…………。




バキイイィッッ



「く、くそがあぁぁっ」

「ふっ…………」

「このまま、押し込ませてもらう」



一時は単体のパイスーに押されていたインビジブルであったが、生誕と成長を繰り返して多くのインビジブルがパイスーと戦えるだけの力をつけた。

"無敵艦隊"にスタミナ切れはない。数と強さは増す一方。



「ふはあああぁぁぁっ」

「!」


パイスーは決断する。

この数と強さに対抗するためには大きな一手が必要だった。これから先、さらにインビジブルが増えようが関係はない。

数じゃどうにもならない現実を突きつけないとならねぇ。



ドゴオオォッッ



「むっ」


周囲から襲い掛かるインビジブルをまずは吹っ飛ばす。さすがに少しの集中時間が欲しい。



「わりぃーな、インティ」


パイスーが全力で攻撃を叩きこむ場所は。



ガゴオオオオオオオオォォォォォォォォッッッ



「ちょおぉっ!?!」

「な、なんですか!!?」

「ゆ、揺れてるよ!!」


巨大な揺れが起こった。燃え盛り、壊れかけ、インビジブルだらけの闘技場を見守る、タドマールの住民達に再度、不安を押し与えた。



ザザザァァ…………


「な、波の音………?」


ゴゴゴゴゴゴ…………



「こ、こ、この島が揺れてる」

「い、いや違う……」



一部の者達にはパイスーのやりやがった行為を理解できた。男臭くて汗臭くて、イカ臭くて、血臭くて、18歳以上の童貞は死刑されるという法律があるこの世界でも。今思うと、誰もが立派な世界だと気付く。



「し、島が壊れる!!」

「に、逃げ場なんてないぞ!!」



力を溜めた拳一発で島を沈めようとするパイスー。その巨大な衝撃の中心に多くいるインビジブル。パイスーの拳の衝撃で巨大な穴が生まれ、引きずり込まれたのは100名ほどだった。


「くっ」

「さーーー、やるぞ。インビジブル」


パイスーはこのタドマールをぶっ壊す気である。数では絶対に叶わない出来事を起こす。そして、"超人"だけではインビジブルを倒せないとパイスーは認めた。

まだ闘技場に入ってからは一度も使っていない魔術"キング"を発動させる。



ズズズズウゥッ


「!!」

「悪いが"超人"以外にも一芸を持ってんだよ」


瞬間に作り出す獅子の数は穴に引きずり込んだインビジブルの倍はいる。サイズは小さめであるが、自動操作にそれなりの連携ができ、獅子としての性能も高め。


「テメェ、自分より多い敵とは戦った事、ねぇーな?」

「……ふふっ」



当たり前だろ。



「"ダブルスタンダード"って奴か……」



わずかに数で劣り、絶対的な個を持つパイスーもいる。パイスーの言葉通り、自分の優位性が他者に劣った事などなかった。生殖された自分達は心を共有しない。ある程度のチームワークはあるが、パイスーの獅子よりも動きがぎこちなかった。獅子相手なら1対1で楽々勝てるが、1対2だと不利だ。中には数人掛かりでも抑えられないパイスーもいる。



バゴオオォッッ



「ひゃひゃひゃひゃひゃーーー!!ここは全滅だ!!」



穴に落ちた100人ほどのインビジブルは"無敵艦隊"を持ってしても、全滅してしまった。100人では狭すぎる空間だったことなどもある。だが、外で生き延びたインビジブル達はチャンスと見て大量の生殖を行った。

ずらりずらりと穴の外からパイスーをずーっとみつめるインビジブル達。



「俺が持久戦で負けるわけない」

「俺っていうか、俺達だな」

「今、この瞬間に。生ができる限り」

「死は追いつけない」



キリがない。とんでもない数が生まれていく。


「おいおいおいおいおいおいおいおいおいぃぃぃぃっ」

「!」


だが、そんな数などももはや関係ないと言いたげな狂っている笑顔を向けるパイスー。


「もうテメェーは狙わねぇー。早めるぜ」


タドマールそのものをぶっ壊してやる。邪魔が完全にいない。さらに一押しすれば一気に崩壊が早まる。



ガゴオオオォォォォォッッ



拳一つで本当に世界を潰す気であるパイスー。そんなに世界は甘くないと伝えたい顔をしたインビジブルであったが、それが冗談じゃないってくらいの拳の強さは見た。

多勢を揃えても穴に向かえなかったのは確実に、より確実に。自分を多く産むためだった。パイスーもすぐには地上に出て来ないというところから生まれた安牌な考えだ。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



「島を鎮めて…………その先は………」




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