表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

3話 ダンジョンに人が来ました

凄い久しぶりですね。長らくの間お待たせしてすみませんでした。

 ■■■


「僕が作ったダンジョンがどれほどのものかな」

 僕はウィンドウを操作して侵入してきた冒険者達の行動を画面に映した。


「新人ですね、ひよっこです」

 いつの間にか隣に回っていたリリスがそう呟く。


「彼ら新人なの?」

「はい、見てください。まだ装備がそんなに汚れていないでしょ?」

「はぁ、なるほど」

「それにしてもカタケ様のお創りになったダンジョンが彼らに通用するか見させてもらいます」


 僕とリリスは冒険者たちの行動をじっと見ることになった。






 ■■■


 カタケのダンジョン内。


「うわっ、なんだ!? 粉っぽいぞ」

「けほっけほ。埃っぽいのね……」

「風が吹いてる。どこからだろう」


 サトウとミリンとショーユは暗がりの中、前へ前へ突き進んでいた。灯りはサトウの持つ松明を頼りに、お宝を求めてざっくざっくと湿った地面の上を歩いた。地面には背丈のそこそこある草がびっしりと生えていて、あまりいい足場とは言えなかった。


「歩き辛いね……燃やしちゃおうか♪」

「馬鹿言うな! 燃やしたら俺たちまで危ないだろ、ミリン」

「私たちも燻されちゃう」

「うぅー冗談だよぉ……」


 ミリンはしょんぼりとしながら顔を下に向ける。すると地面に生えている草の中に小さなキノコがぴょこぴょこ動いているのが見えた。


「っ! モンスターがいる!」

「どこだ!」

「足元!」


 ミリンの呼び声にサトウとショーユは剣を構える。

 そして、目の前に来たスモールマッシュルームを切り飛ばす。


「ふぅー所詮雑魚だったな」

「大したことなかったね」


 サトウとショーユは剣を中段に構えたまま前へ進んでいく。その後ろを魔法使いであるミリンがそろそろとついていく。






「うぅ……なんか空気が悪い」

「あぁ。それとなんか腰が痛いし」

「えーまだ私たち若いでしょ? そんなこと言わないの」


 サトウ達のパーティはゆっくりと洞窟の中を進んでいく。

 この道中大したモンスターが出て来ず、また一本道であるため、3人はいつしか気が抜けていた。

 時折出てくる人食いマイタケや名状しがたきGもなんとか倒していったが、3人はいつの間にか疲労状態にあることに気付かなかった。


「そろそろ戻らない?」


 そう言うミリンにサトウとショーユは否定の言葉を掛ける。


「いやだって、このダンジョン、全然強いモンスター出て来ないんだよ。これってラッキーじゃん」

「このままダンジョンストーンの部屋まで楽勝に着いてしまうんじゃないの」


 ははは、と笑いを上げる二人。しかしミリンは一人嫌な予感を感じていた。






「おっ! あそこはもしかして」

「ダンジョンストーンのある部屋だわ!」


 二人の視線の先には、ダンジョンストーンがあると思わしき部屋があった。


 勢いよく走っていこうとした二人の前に大きな傘の付いたキノコが飛び掛かってきた。


「「わぁ!」」


 二人は驚きながらも剣を構え、そのキノコへ振り下ろすが、ひょうひょい躱されてしまった。


「なにくそぉ!」

「おおお!」


 猛々しい茸は持ち前のフットワークですべての攻撃を躱す。


「はぁ、はぁ……」

「なんか息が苦しい……」


 二人は目の前がかすんで見えるのを感じた。そして二人は体の力が抜け落ち地面に倒れた。


「あれ、なんで……」

「サトウ! ショーユ!」


 唯一激しい運動をしていなかったミリンを残して、サトウとショーユの意識は途絶えた。


「きゃっ!」


 猛々しい茸はミリンにターゲットを移し、隙をついて跳び蹴りを喰らわせた。


 魔法使いであるミリンはその一撃で体力の半分以上を失い、地面に倒れた。


(あれ、私たち、これでお終いなのかな……)


 そして、体に回っていた毒が体力の少なくなったミリンの意識を静かに眠らせた。







 ■■■


「ふぅ、こんな感じか。それにしても毒の周りが遅かったな。ここを改良すべきか」

「……」


 ダンジョンストーンのある部屋にて。

 僕はウィンドウを通して戦闘結果を見ていた。

 結果、3人の冒険者の捕獲完了。


 どうやら手に入れた冒険者は奴隷にして自分が所持していてもいいし、売ることもできるらしい。


「リリスさん、この冒険者3人を売っておいてください」

「いいのですか、女性が2人いますが……せっかくの奴隷ですよ」

「構いませんよ、特に興味ないですから」


 リリスさんはどうも首をひねっていたが、どうしてだろう?

 だって、奴隷の女の子ってなんだか悪いじゃないか。

 そうやって縛り付けても僕はその女の子を愛せるとは思えないんだよ。





 


「さて、結果冒険者を捕獲することができましたがかなり危なかったのはわかりますね」

「はい……」


 リリスさんが怖い。

 なんだか怒っている。

 どうしてだろう?


「私は、別にどのようなダンジョンにしてもいいと言いましたが……」


 リリスさんが息を吸い込む。


「それでもこれは如何でしょう。ろくにモンスターを配置しない・一本道・効果のあるかわからないもので構成されている。これでは冒険者をうまく退けることができますか? 今回はビギナーズラックでなんとかうまくいきましたが、次はどうでしょうね。今回得た魔力でもう少しまともなのにしてください。これではいくつ心臓があっても足りません」

「はい……」



 僕は言われるがままにモンスターを追加し、道を複雑なものにした。

 これでいいんでしょ?





次回はこれまた時間が空きそうです。それまでゆっくりと待っていただけると光栄です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ