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2話 ダンジョン作成しました

 ■■■


「それではダンジョンの説明をしたいと思います。長くなると思いますので、こちらへ」


 リリスが手を差し向けた方を見ると、そこには木でできた机と長椅子が2脚あった。


「あっ、はい」

 僕が椅子に座ると、リリスは向かい側に腰を下ろした。


「それでは説明を始めさせてもらいます。

 まずダンジョンとは、簡単にいえば魔力が集まりモンスターが巣食う、奥にお宝が眠るとされているものです。この世界には冒険者という職業の人たちがいるわけですが、冒険者にとってダンジョンとは生計を立てる手段の一つであり、より上位のダンジョンを攻略することは目標となっています」


「へぇ……」

 僕はふとつい最近までやっていたゲームを思い出した。自分が冒険者となってダンジョンを攻略していくゲームだった。ダンジョンの中にいるモンスターを倒しながらお宝を集め、最奥を目指して進んでいくのが目的だった。

 おおよそ自分の想像したダンジョンと同じものであることがよくわかった。


「ダンジョンの最奥にはダンジョンストーンというものがあります。あれです」

 リリスが指さした先には部屋の中心にくるくると回りながら浮かぶ赤色のサッカーボール大の宝石があった。


「冒険者にとってダンジョンストーンはそのダンジョンを踏破した証で、冒険者の誇りです。中には仲間内で見せびらかす輩もいるそうです。また、ダンジョンストーンはそれ自身に膨大な魔力を有するため、体に取り込むことができればパワーアップできる代物となっています。ダンジョンストーンはそれぞれダンジョンに一つだけ存在して、ダンジョンストーンがなくなったダンジョンは崩落します」

「なるほど……つまりダンジョンストーンって大事なんだね?」

「はい、そうです。ダンジョンの管理者に限ってですが、ダンジョンストーンを操作することによってダンジョンを構築できます。実際にやってみてください」

「えっ? どうやって?」

「『開け、ダンジョンストーン』と力を込めて唱えてみてください。それで画面が開けるはずです」

「わかった……『開け、ダンジョンストーン』!」


 ウィーン、と僕の目の前に何枚かのプレートが現れた。宙に浮いていて半透明なプレートで、それには文字がズラリと書いてあった。




 『メインステータス』

 『カタケ・ダンジョン』

 ダンジョンLV.1

 性質:未定

 階層:1階

 モンスター:未定

 保持魔力:500

 管理者:カタケ・タンハシ





 『管理者ステータス』

 管理者:カタケ・タンハシ

 Lv.1

 称号:見習いダンジョン管理者(勉強中)

    

スキル:自動魔力吸収(微)

    >1日辺り1魔力を自動的に手に入れることができる


    キノコラバー

    >キノコを愛する存在であることの証明。植物系キノコ属のモンスターの設置魔力を半分にする




 『モンスターステータス』

 この画面ではモンスターの設置を行うことができます。

 カタケ様が今設置しているモンスターはこちらです。


 なし

 

 カタケ様が設置できるのはこれだけです。


 獣系

 鳥系

 水性系

 爬虫類系

 虫系

 植物系

 不定形系

 金属系




 

 『構造ステータス』

 この画面ではダンジョンの構造を改造したり物を設置したりすることができます。


 階層:1階

 状態:一本道


 カタケ様が設置できるのはこれだけです。


 魔力餌発生装置(50)

 小さな落とし穴(100)

 大きな落とし穴(300)

 扉(20)

 スプリンクラー(50)

 泥スプリンクラー(75)

 吊り天井(200)

 蝋燭(10)





「これは……」

「今カタケ様の目の前に開いているウィンドウはダンジョンステータスと呼ばれるものです」

「これで、タッチしていけばいろいろ設置できるわけか……あと、管理者ステータスのところにスキルってあるけどそれは何?」

「スキルというのは誰しもが何かしらかは持っているものです。カタケ様はどうでしたか?」

「自動魔力吸収(微)というのとキノコラバーというのだったよ」

「キノコラバーの方は聞き覚えはないですが、自動魔力吸収は大変珍しいスキルです。1000人集めても1人いるかいないかというスキルですよ」

「へぇ……それと文字の横にある()は?」

「それは設置する時に必要な魔力の量です」

「なるほど」

「とりあえず、モンスターの設置と構造を弄ってみてはいかがでしょう」

「わかったよ、やってみる」




 僕は『モンスターステータス』から設置できるモンスターの一覧を見た。

 せっかくだから自分の好きそうなモンスターを選んでみようと思った。

 いろいろ見て、いいなと思ったモンスターをピックアップしてみた。


 植物系

 >キノコ属

 『スモールマッシュルーム』(0)

 体長10センチメートルほどのマッシュルームにしては大きいがモンスターにしては小さなキノコ。飛び跳ねることによって移動する。主な攻撃方法は体当たり。動くことで胞子をまき散らすが、その胞子には毒はなく、せいぜいホコリっぽくなるだけ。防御力は大したことなく剣で簡単に裂ける。魔力餌装置があれば勝手に増える。


 『ポイズンダケ』(10)

 体長50センチメートルのそこそこ大きな毒キノコ。動きはとても遅いが、吸盤によりどこにでも張り付くことができる。体から毒の胞子を撒き散らす。


 『人食いマイタケ』(50)

 人の子供ほどの大きさのマイタケ。頭のビラビラが口となっていて自分の大きさほどのものでも飲み込める。普段はじっと動かないが、獲物を見つけた時の移動速度は素早い。基本雑食だが、何も食べなくてもしばらく生きてる。


 『猛々しい茸』(70)

 キノコとしては珍しく草を主食とする。体長は30センチメートルほどだが、その凶暴さは侮れない。防御こそ所詮キノコだが、攻撃力は獣族に匹敵する。


 >樹木属

 『エアウッド』(10)

 青々とした葉を付ける木。高濃度の酸素を吐き出しそよ風を吹き起こす。攻撃力は皆無。防御力はそこそこ高い。


 『吊りツリー』(20)

 天井に吊り下がる木。ただ吊り下がっているだけで特に攻撃をするわけではない。そこそこの耐久力を持ちHPを超えるダメージを受けてもしばらく残骸は残る。


 >草花属

 『ザッソー』(0)

 雑草のモンスター。草丈は30センチメートルほど。何もなくても勝手に増える。踏まれても踏まれても、踏まれるたびに強くなっていく。攻撃力は皆無。


 『ヤッソー』(10)

 誰もが食べることができる野草のモンスター。根っこでも残っていれば勝手に増えていく。ザッソーと見分けがつかない。



 虫系

 >羽虫属

 『齧り虫』(1)

 体長1センチメートルにも満たない小さな虫。敵対する存在に対して齧り付いていく。微々たるダメージを継続的に与えることができる。齧られてもなかなか気づかないことが多い。草が生えているところなら自然と増えていく。


 『名状しがたきG』(30)

 体長1メートルの何とも名状しがたき(ゴキブリ)。頑丈さには定評がある。体当たりはなかなかの脅威。HPが危なくなった時の逃げ足にも定評がある。




 こんな感じだろうか。

 僕は、ダンジョンの構造を弄りながらモンスターを設置した。


 入口に、ポイズンダケと吊りツリーとエアウッドを設置し、そこから真っ直ぐ道が続く中一面にザッソーとスモールマッシュルームと齧り虫を設置。途中に少し大きな部屋を用意し、人食いマイタケと名状しがたきGを設置した。そこからずっとザッソーとスモールマッシュルームと齧り虫を設置し、ダンジョンストーンがある部屋の前に猛々しい茸とヤッソーを設置した。ある程度のポイントごとに魔力餌装置を置いた。あと、湿度を高めるためスプリンクラーも設置した。


 モンスターを多く設置したため、魔力が思うように回せずダンジョンの構造は簡単になってしまった。



「こんな感じでどうでしょう」

「ずいぶんと個性的で……正直言うとあまりいいダンジョンじゃないわね。肝心の冒険者の体力を削るモンスターが少ないし」

「そうですか……それでもこれならそこそこいけると思うのですが」

「うーん……」


 リリスが頭を悩ませているところへサイレンがウーウーと鳴り響いた。


「なっ、何事ですか?」

「まさか……もう来てしまったのね」

「えっ、何がですか?」


 リリスは少しタメを作ったあとにこう言った。


「冒険者よ、冒険者がこの出来立てホヤホヤのダンジョンに入り込んできたの」







 ■■■


 カタケ・ダンジョンの入口付近にて。


「おーい、どうやら新しいダンジョンがここに出来たようだぞ」

 サラサラとした髪のまだ新しい鎧に身を包んだ青年が遅れてくるパーティメンバーに声をかけた。


「サトウ、はしゃぎすぎよ。もっとしゃんとしてよ」

 サトウと言う名の青年をたしなめたのは、これまたまだ使い込まれていないローブを着た女だった。杖を持っていて魔法使いだった。


「ミリンの言うとおり」

 ミリンという名の女に同調したのはもう一人のパーティメンバーの女だった。手にしている剣はキラキラと光っていて、使用者の初々しさを物語っていた。


「ミリン、ショーユ。わかってるけど、なんたってダンジョンだぜ。わくわくしないか?」

 サトウは目をキラキラさせて二人に訴えかけた。


「まぁ、出来たばかりだから私たちにでも攻略できそうね」

「昨日はなかったから今日出来たばかり」

「だからさ、行こうぜ」


 サトウの期待に満ちた姿を見てミリンとショーユはため息をついた。


「いいけどさ、無理はしないこと!危ないと思ったらすぐ戻るよ」

「わかってるさ、それじゃ出発進行!」


 3人は木が鬱蒼と生い茂るダンジョンへ足を踏み入れた。






 



 


 

 

 

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