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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第70話 「名前を呼ぶ声」

翌日。

昼休み。

三年B組はいつも通り騒がしかった。

購買帰りの男子。 机をくっつける女子。 スマホで動画を見るグループ。

そんな中。

篠田玲緒菜は、 机に突っ伏していた。

篠田玲緒菜

「……無理」

後ろから声。

「何が」

武田雷斗。

武田雷斗

玲緒菜は振り返らずに言う。

「昨日のこと思い出した」

雷斗は少し黙る。

数秒後。

「……忘れろ」

玲緒菜が勢いよく顔を上げる。

「言った本人がそれ言う!?」

結衣がニヤニヤしながら会話へ入ってくる。

結衣

「昨日なんかあったの?」

玲緒菜が固まる。

「な、何もない!」

雷斗は普通にパンを食べている。

結衣は二人を見比べる。

「怪しい」

「怪しくない!」

「篠田さん顔赤いし」

「これは暑いだけ!」

「今日涼しいけど」

玲緒菜が詰まる。

雷斗が小さく笑った。

玲緒菜が即振り返る。

「今笑った!」

「別に」

「絶対笑った!」

結衣は完全に楽しんでいた。

「最近ほんと距離近いよねー」

その時。

教室のドアが開く。

「玲緒菜ー」

茉優だった。

茉優

後ろには兼次郎もいる。

兼次郎

茉優は玲緒菜を見るなり、 目を細めた。

「……なんかあった?」

玲緒菜の肩が跳ねる。

「な、なんで!?」

「分かりやすすぎ」

兼次郎も静かに頷く。

「顔赤い」

玲緒菜は机へ突っ伏した。

「もうやだこの人たち……」

茉優が楽しそうに笑う。

「武田くん、何したの?」

雷斗は平然としている。

「別に」

「絶対別にじゃない顔なんだけど」

結衣まで混ざる。

「昨日昇降口でなんかあったっぽい!」

玲緒菜が絶望した顔になる。

「なんで広まってるの!?」

「女子ネットワーク舐めすぎ」

茉優が笑いながら言う。

雷斗は少し面倒そうにため息をついた。

「お前ら暇か」

兼次郎がぼそっと返す。

「お前が分かりやすい」

教室がざわつく。

玲緒菜だけ心臓が限界だった。

その時。

担任が教室へ入ってくる。

「おーい席つけー」

みんなが慌てて戻る。

茉優と兼次郎も手を振って教室を出ていった。

授業開始。

でも。

玲緒菜は全然集中できない。

昨日の言葉が、 頭から離れない。

「他の男の話、そんな楽しそうにすんな」

思い出した瞬間、 また顔が熱くなる。

後ろから小声。

「また赤い」

玲緒菜が振り返る。

雷斗が、 教科書を見ながらぼそっと言った。

「分かりやすすぎ」

玲緒菜は小声で反撃する。

「雷斗くんに言われたくない」

「何が」

「耳」

雷斗の動きが止まる。

玲緒菜は少し笑った。

昨日、 嫉妬を指摘された時。

雷斗の耳は、 少しだけ赤かった。

その仕返し。

雷斗は数秒黙っていたが、 そのあと小さく舌打ちした。

玲緒菜は吹き出しそうになる。

担任が黒板を叩く。

「そこー、静かにー」

教室に笑いが広がる。

その空気が、 なんだか心地いい。

放課後。

帰り支度をしていると、 玲緒菜のスマホが鳴った。

メッセージ。

送り主は茉優。

『ねえ』 『武田くん完全に玲緒菜のこと好きじゃん』

玲緒菜の手が止まる。

一瞬で顔が熱くなる。

『違うって!!』

即返信。

するとすぐ返ってくる。

『じゃあ玲緒菜は?』

玲緒菜が固まる。

心臓が跳ねる。

画面を見つめたまま、 動けない。

その時。

後ろから声。

「帰るぞ、玲緒菜」

名前。

自然に呼ばれた。

玲緒菜はゆっくり振り返る。

雷斗が鞄を肩にかけて立っている。

その呼び方が、 前よりずっと自然だった。

玲緒菜は小さく笑う。

「……うん」

そして、 スマホをそっと閉じた。

茉優への返事は、 まだ送れなかった。

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