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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第15話 「お前泣かせるくらいなら、俺が傷つく方がマシだ」

翌日。

教室の空気は、 どこか妙だった。

「……」

玲緒菜が、 兼次郎を避けている。

朝の挨拶もない。

目も合わせない。

普段なら真っ先に隣へ来るのに、 今日は女子グループの中にいる。

それだけで。

胸の奥が、 妙に落ち着かなかった。

「うわ、重症」

天野大将がぼそっと呟く。

「桐谷、お前今めちゃくちゃ分かりやすいぞ」 「……何が」 「篠田見すぎ」 「見てない」 「いや見てる」

寺田一将も頷く。

「さっきからずっと目で追ってる」 「……」

否定できなかった。

気づけば探している。

笑ってるか、 元気あるか、 誰といるか。

それが見えないだけで、 落ち着かない。

すると。

「……兼次郎」

前田茉優が、 静かに声をかけてきた。

「昨日、玲緒菜泣かせた?」 「っ……」

図星だった。

大将が「うわぁ……」みたいな顔をする。

兼次郎は小さく息を吐いた。

「……泣いてはない」 「泣きそうだったんでしょ」 「……」

また答えられない。

茉優は少しだけ真顔になる。

「兼次郎」 「なんだ」 「中途半端が一番傷つくよ」

胸に刺さる。

「玲緒菜、 ずっと兼次郎だけ見てるじゃん」 「……」 「その子に期待させるなら、 ちゃんと向き合ってあげなよ」

兼次郎は目を伏せた。

分かっている。

玲緒菜を傷つけたくない。

でも。

茉優への感情も、 まだ整理できていない。

すると。

「だからって」

茉優が小さく笑う。

「玲緒菜泣かせるのは、 ちょっとムカつく」

「……悪い」

素直に謝ると、 茉優は少し驚いた顔をした。

「ほんと最近変わったね」 「……」 「前なら絶対、 そんな顔しなかった」

その時。

ガラッ。

教室のドアが開いた。

玲緒菜だった。

「っ……」

兼次郎と目が合う。

でも。

玲緒菜はすぐ逸らした。

その瞬間。

胸が、 ズキッと痛んだ。

「……」

玲緒菜は何事もないように席へ向かう。

だけど。

笑顔がない。

無理してるのが、 一瞬で分かった。

兼次郎は立ち上がる。

「お、おい桐谷?」 「どこ行く」 「……ちょっと」

気づけば、 玲緒菜の腕を掴んでいた。

「っ!?」

教室が静まる。

玲緒菜は驚いた顔でこちらを見る。

「け、兼次郎……?」 「来い」

そのまま、 教室の外へ連れ出す。

「え、ちょっ……!」

廊下。

人気のない階段前で、 兼次郎はようやく足を止めた。

「……なんで避ける」 「……避けてない」 「下手な嘘つくな」

玲緒菜が俯く。

「……だって」 「?」 「どう接していいか分かんないもん」

苦しそうな声だった。

「兼次郎、 茉優のことまだ好きなのかなって思ったら……」 「……」 「私だけ浮かれてた気がして」

胸が締めつけられる。

玲緒菜は笑おうとした。

でも失敗した。

「ごめんね、重くて」 「重くない」 「え……」 「お前がそう思うくらい、 ちゃんと好きなんだろ」 「っ……」

玲緒菜の目が揺れる。

兼次郎は少し黙ってから、 ゆっくり言った。

「……俺、自分でもまだ整理できてない」 「……うん」 「茉優とのこと、 後悔してる部分もある」

玲緒菜の表情が曇る。

だけど。

兼次郎は続けた。

「でも」

真っ直ぐ玲緒菜を見る。

「昨日、お前泣きそうになってるの見て」 「……」 「めちゃくちゃ苦しかった」

玲緒菜が息を呑む。

兼次郎は拳を握る。

「お前泣かせるくらいなら、 俺が傷つく方がマシだと思った」

その瞬間。

玲緒菜の瞳から、 ぽろっと涙が零れた。

「っ……」

慌てて拭う。

「な、泣くつもりじゃ……」 「……泣くな」 「だってぇ……」

玲緒菜は泣き笑いみたいな顔になる。

「そんなこと言われたら、 また好きになるじゃん……」

兼次郎の心臓が、 大きく跳ねた。

そして。

その瞬間。

兼次郎は少しだけ気づき始めていた。

自分が、 どれだけ玲緒菜を特別に思っているのかを。

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